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ゲラン新作香水「ルール ブルー」誕生|調香師デルフィーヌ・ジェルク スペシャルインタビュー

  • 2026.8.28
ⒸGUERLAIN

1912年、ジャック・ゲランがパリの“蒼の時(ブルーアワー)”に心を奪われ、その感情を香りにした「ルール ブルー 1912」。

それから114年を経た2026年、「ゲラン」専属調香師&フレグランス クリエイション ディレクターのデルフィーヌ・ジェルクが、“蒼の時”を現代に再解釈。メゾンが受け継ぐ先駆的精神とヘリテージへの愛情を結び、一人の女性として、すべての女性のための新たな「ルール ブルー」を完成させました。

夕方から夜へ、夜から朝へと移ろう“蒼の時”。それはあらゆる二面性が溶け合う美しく幻想的な時間です。

そのひとときに現実は曖昧になり、夢は手が届くほどの近さへ。そんな儚くも高揚感溢れる瞬間を描き出した香りが「ルール ブルー」といえるでしょう。

ルール ブルー オーデパルファン[30㎖]12,320円、[50㎖]17,600円、ルール ブルー オーデパルファン リフィル[200㎖]30,800円、ルール ブルー センティッド ソープ[120g]6,050円〔2026年8月28日(金)全国発売〕2026年8月26日(水)伊勢丹新宿店にて先行発売。同日午前10時より、ゲラン公式オンラインブティック、ISETAN BEAUTY onlineにて先行発売予定 ⒸGUERLAIN

オゾニック アコード(澄んだ空気や海辺など水の気配を思わせる爽やかな香りの調和を表す香水用語)が、明るく透明感のある喜びを描きます。そこへアイリス、ギモーヴ アコード、オレンジブロッサムがパウダリーな柔らかさと穏やかな優しさをプラス。ベースにはグルマンな甘さとウッディなニュアンスを持つヴァニラと、香りに奥ゆきをもたらすアンブロクサン(マッコウクジラの結石である稀少な天然香料アンバーグリスの主成分を再現するために作られた香料)。力強さと親密さを湛えた余韻が続きます。

調香師デルフィーヌ・ジェルク、次の100年へ

デルフィーヌ・ジェルクが大型の香水を手掛けるのは2017年の「モン ゲラン」以来、なんと9年ぶり。このたび来日のタイミングで新しい香水「ルール ブルー」についてお話をお聞きしました。

<strong>デルフィーヌ・ジェルク(Delphine Jelk)</strong>●「ゲラン」専属調香師、フレグランス クリエイション ディレクター。1977年スイス生まれ。1999年よりパリのファッション専門学校エスモードでデザインとファッションを学び、卒業後は香料会社大手「フィルメニッヒ」に入社。その後、「グラース インスティテュート オブ パフューマリー(GIP)」で修業を重ねる。14年に「ゲラン」専属調香師に就任。21年には「ゲラン」における調香の功績が認められ、フランス文化大臣から芸術文化勲章(シュヴァリエ)を受勲 ⒸGUERLAIN

Q.この新しい「ルール ブルー」は、どのような物語をもつ香りなのでしょうか?

物語は、自然現象としての“ルール ブルー(蒼の時)”に結びついています。1912年にジャック・ゲランが抱いた感情は、いまの私たちが抱く感情と、それほど違わないのではないかと思います。大きく異なるのは、私の手元にはこの“ルール ブルー”という着想を表現するための、当時とは異なる香料があるという点。空に現れる“ルール ブルー”を目にしたときの“本物の感覚”をそのまま表現できると考えました。だからこそ私は今回、空の香りを呼び起こすという発想に強くこだわりました。

そして私が女性であることは、この創作においてとても重要でした。今回は、女性による女性のための香水を作りたかったのです。

いまは「香りにジェンダーはない」というスタンスが流行していますが、実際には、そういうものでもないと思っていて、だから私は、はっきりと“女性のために”調香することにしました。女性を空想して描くのではなく、私自身も女性だからこそ、何が大切なのかがわかる。姉妹のような感覚で、“私たち”のために作ることができると思ったのです。

とはいえ、この香りを“誘惑のためのもの”にはしたくありませんでした。私たちの女性性に誠実な香りにしたかった。香水は私たちの気分をよくし、守ってくれるもの。身につけることで、つけていないときよりも心地よくいられるものであってほしい。もちろん「ルール ブルー」にも官能性はあります。しかしそれは“誘惑”という意味ではありません。清潔で、自分を力づけてくれるフレッシュな魅力があることに気づいてほしいと思います。

fujingaho

Q.目に見えず、形をもたない「香り」だからこそ表現できる芸術性や創造性とは?

嗅覚は、脳の大脳辺縁系に直接つながっています。だから、考えるより先に感情が生まれる。これは、考えることが感じることより先になりがちな現代社会において、とても頼もしいことだと思います。香りでは、まず感じ、そのあとで考える。それは人間のあり方に気づき、自分が何者であるかと再びつながることを助けてくれるでしょう。私たちの気分をよりよくしてくれるのです。

この香りによってどんな感情を抱くべきか──。私から示唆するつもりはありません。感情は、とても個人的なものだからです。私の願いは、香りを嗅いだときに何かを感じてもらうこと。それによって気分がよくなり、もう一度香りに戻りたくなり、皆さんが少しだけより自分らしくいられるならとても嬉しいです。

感情は、その人自身の物語や文化と結びついています。私には想像もできないようなつながりも生まれるでしょう。それは、とても素晴らしいことだと思います。

新しい「ルール ブルー」の発表会会場には富士山のイメージ。「日本に私は多くのつながりを感じています。だからこそ、日本の女性たちにこの香りを好きになってもらいたいと思っています。『ルール ブルー』には、詩情、優雅さ、ロマンティシズムがあります。繊細さ、優しさ、詩情は日本文化の真の価値だと思います。日本の人々は自然にとても敏感で、立ち止まって自然を見つめることを大切にします。“蒼の時間”は長くは続かない、ほんの短いひととき。きっと日本の方々なら、その瞬間を特別豊かに味わうことができるでしょう」 fujingaho

Q.ジャック・ゲランの数ある香りのなかで、「ルール ブルー」に惹かれた理由は?

名香の「ルール ブルー 1912」は、ジャック・ゲランの香りのなかで、私が最も好きな作品です。オレンジブロッサム、アイリス、ヴァニラによるギモーヴ アコードが好きですし、いまなおモダンな香りだと思います。「ルール ブルー」という、詩情に満ちた美しい名前も好きです。

そして繊細で儚く、柔らかいところにも惹かれます。香水の世界では、ときに女性性が大声で叫ぶかのようにアピールされることがあります。「女性であることは素晴らしい」「エンパワーメント」と強く主張しなければならないかのように。でも、私たちは少し疲れているのではないでしょうか。大声で主張するのではなく、ただありのままでいたい。優しさや柔らかさをもつことは、強く、力に満ちていないという意味ではありません。私は、柔らかくありながら強い、という発想が素敵だと思っています。

それは、私自身にも近い感覚なのかもしれません。私は平穏や静かな空気、優しさが好きです。一方で、私も皆さんと同じように、毎日闘わなければなりません。4人の子どもがいて、多くの場所へ旅をし、たくさんの用事をこなしています。そんななかで、静かで、柔らかく、優しく、穏やかであることを大切にしています。私は硬く、鋭い直線が苦手で、輪郭がぼやけた、柔らかく丸みのあるものが好き。「ルール ブルー」には、そうした優しさがたくさんあるのです。

Q.100年以上愛されてきた象徴的な香りに新しい章を加える意義をどう考えますか?

その意義は“物語を続け、100年以上前に生まれた香りを生き続けさせるため”にあると思います。香りに新たな光を当てて続きを描く。それは祝福であり、敬意の表明。オリジナルへのオマージュです。私がしたかったのは、まさにそれでした。「ルール ブルー」の物語はあまりにも美しく、続きを作らずにはいられなかったのです。

最大の挑戦は期待を裏切らないようにすること。今回の調香の目的は、既存の「ルール ブルー」をよりよくする、現代化する、変えることではなく、敬意を捧げることでした。アイコンそのものには触れたくなかった。アイコンはすでに存在しています。ただ、その続きを紡ぎたかったのです。ジャック・ゲランへの敬意をすべて込めて。

もちろん、“これが新しい「ルール ブルー」?”“「ルール ブルー」と呼ぶにふさわしいのか?”という人もいるでしょう。それでも私は挑戦しました。革新することはいつも挑戦です。クリエイターは革新する勇気をもたなければなりません。そうでなければ、過去にとどまってしまう──。それは、あまりよいとはいえません。

fujingaho

Q.ご自身も「ゲラン」の200年近い歴史の一部となったいま、新しい香りを送り出す意味をどう考えますか?

私は「ゲラン」で20年近く働いています。入社した頃は、まだ駆け出しの調香師でした。でも、「ゲラン」には新しい世代、つまり新しい世代のための香水が必要だという確信がありました。その頃につくったのが「ラ プティット ローブ ノワール」です。

「ラ プティット ローブ ノワール」は、依頼を受けてつくったものではありません。私の心のなかから生まれたものでした。私は「ゲラン」を、世界で最も美しい香水のメゾンだと思っていました。その一方で当時の私にとって「ゲラン」の香水は、母や祖母のためのもので、自分のためのものではありませんでした。

200年近い歴史があっても、「ゲラン」に「いま」を刻むこと。それが、私が抱き続けてきた志です。同じ着想でも、異なる方法で表現できる──。新しい「ルール ブルー」では、現代の調香師であることは、100年前の調香師であることとは違うということを示したかった気持ちもあります。

Q.ファッションデザインを学んだ経験は、調香師としての仕事にどのような影響を与えていますか?

とても大きく影響しています。私はいつも、ドレスを作るように香りを作る、と話しています。私にとっては同じプロセスです。感情がインスピレーションとなり、頭のなかで物語へと育ち、それを香水に翻訳していく。

ファッションとのもう一つの強い結びつきは、私がとても視覚的な人間だということです。私は創作のたびにムードボードを作ります。調香しながら、画像、質感、リボン、言葉など、あらゆるものを選んでボードに置いていく。ムードボードと香水は、鏡のように向き合い、頭のなかにあるものを表現することができます。

ムードボードには、ブルーではないギモーヴのようなイメージも。「オリジナルの『ルール ブルー』から受け継いだアコード。私にとって『ルール ブルー』の魂であるものは、オレンジブロッサム、ヴァニラ、アイリスのアコードです。それがギモーヴ アコードを生みます。心を安らげ、おいしそうで、やみつきになり、また戻りたくなる。香水に必要なのは、そうした性質です。そして可愛いという点も大事ですよね」 fujingaho

ムードボードは「ゲラン」のチーム、例えばマーケティングチームと意思を通わせるときにも、とても役立ちます。創作をあくまで創作として保ち、マーケティングだけのものにしたくはありません。一方で、ボトルデザインやキャンペーンビジュアルに取り組むマーケティングチームがいることは非常に嬉しいもの。創作が尊重され、一貫したプロダクトになるように緊密に連携する──。そのためにもムードボードは役立ち、それは皆さんにも伝わっていくのだと思います。

今回のムードボードにある、さまざまなブルー、メイクアップ、ファッション、自然、1912年のオリジナルのボトル、印象派絵画といったイメージはすべて、創作時に私の頭のなかにあったものです。制作の舞台裏とプロセスを、こうして多くの人たちと共有できることを嬉しく思います。

香水は、ジュエリーやバッグのように、装いを完成させる鍵にもなります。「ルール ブルー」に合う装いを挙げるなら、きれいなジーンズに白いTシャツ、あるいは青いボーイフレンドシャツでしょう。あっさりとした青色、白いTシャツの清潔感。そこへ力強いネックレスを合わせるかのように、洗練された香りを添える。私は、ファッションと香水のあいだに、こうした橋を架けることが好きで、いつもそうしています。(デルフィーヌ・ジェルク)

1912年に生まれた「ルール ブルー」と1905年に創刊した『婦人画報』。それぞれに一世紀を超える時を重ねながら、女性の美意識に寄り添ってきました。

歴史を受け継ぐこと、それは過去にとどまることではなく、いまを刻んで未来へとつないでいくこと。新たな“蒼の時”が、これからどのような物語を紡いでいくのか。ともに歩みながら、その未来を見つめていきたいと思います。

●お問い合わせ先=ゲランお客様窓口 tel.0120-140-677

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