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【イベント報告】クリストフルのサロンで特別セミナーを実施

  • 2026.8.27
CEDRIC DIRADOURIAN

「婦人画報&美しいキモノプレミアム」では、2026年6月26日(金)、東京・青山にある老舗シルバーウエアブランド、クリストフルのサロンで特別セミナーを開催しました。本イベントはプレミアムメンバーズの皆さまに先行して募集を行った特別な企画。

シルバーウェアが生まれた歴史的背景から実践的なテーブルセッティングの方法まで、ホストとしてもゲストとしても知っておきたいテーブルマナーの基本を学ぶ、一日限りの貴重なレッスンとなりました。

CEDRIC DIRADOURIAN
CEDRIC DIRADOURIAN

お話を伺ったのは、「クリストフルジャパン」シニアブランドマネジャーの川島千穂さん。ブランドの広報担当として、これまで数多くのセミナーを担当。今回のセミナーでは、フランス流の食卓文化や「アール・ド・ヴィーヴル(暮らしの芸術)」に基づくおもてなしの心得をお話されました。

フランスの食卓文化は、単に食事をとる場所ではなく、歴史や外交に由来する「もてなしとコミュニケーションの場」です。日本のマナーとは異なる独自の習慣や背景を知ることで、より深く楽しむことができます。

1. 人との距離感と挨拶(ビズ)

日本では初対面でも一定の距離感を保ちますが、フランスでは親しくなると距離が急接近します。2〜3回一緒に食事をすると境界線がなくなり、「ビズ(ほっぺたを合わせる挨拶)」を交わすようになります。左右どちらから行うかの厳密な決まりはありませんが、一般的には2回(地域により回数は異なる)行い、親しくなった証として受け入れられます。

2. アペリティフ(食前酒)とディジェスティフ(食後酒)

フランスでは食事前にリビングやバーに移動し、「アペリティフ(アペロ)」として手軽なカクテル(白ワインにカシスを入れた「キール」など)と軽食を楽しみながら会話を盛り上げます。レストランでも食事前にバーエリアへ促されることがあります。

また、食後には「ディジェスティフ(食後酒)」を楽しむ時間があり、コニャックなどの強いリキュールをストレートで少しずつ味わいます。フランスでは食事の場所を「リビング」と「ダイニング」で分けるのが一般的です。

3. 乾杯と目線

フランスの乾杯で最も重要なルールは、必ず相手の目(アイコンタクト)をじっと見て乾杯することです。

これには歴史的背景(一説)があります。中世の宮廷では毒殺が横行していたため、足のないゴブレット型のグラス同士を強くぶつけ合い、互いのワインを混ざり合わせることで毒が入っていないことを確認していました。そして相手が飲むまで目を見つめていた名残が、現代の「目を合わせて乾杯する」文化として残っています。

過去の図版を使って、テーブルセッティングの話を行う川島さん。 CEDRIC DIRADOURIAN

4. 食事中の手と手袋のマナー

食事中、日本では手を膝の上に置くのが一般的ですが、フランスでは必ず手首あたりをテーブルの上に出しておきます。これは「テーブルの下で怪しいもの(武器など)を持っていない」ことを示し、相手に安心感を与えるための習慣です。同様に、挨拶時に手袋を外すのも「手に武器を隠していない」ことを示す歴史的な配慮に由来します。

5. シーティング(席順)の法則

招かれた席では、ホストが席順(シーティング)を指定するまで待ちます。席順には明確なルールがあります。

男女交互に座る場合: 同性同士で固まらず、男性が両隣の女性をアシスト、ケアをします。

夫婦や婚約者の扱い: 新婚(1年以内)や婚約中は隣同士にしますが、1年以上経過した夫婦は離れて座り、他者との会話を楽しみます。

上座の考え方として、 ホスト(ご主人)はテーブルの中央に座ります。最も価値のある上座(1番)はご主人の右隣の女性です。次いでご主人の左隣(女性2番)、ホストの奥様の右隣(男性1番)と続きます。

ドリンクを配る順番について。 ご主人がドリンクを注ぐ際、女性(1番、2番の順)に配り、次に男性、最後に自分の分を注ぎます。フランスでは伝統的に「女性が自らアルコールを注ぐのはNG」とされ、男性がエスコートします。

配布された資料をもとに、具体的なマナーの解説が進められていきました。 CEDRIC DIRADOURIAN

6. チーズ(フロマージュ)の嗜み方と切り方

フランスは世界有数のチーズ消費国であり、日常の食事でもメインの後に「チーズ専用の時間」が存在します。チーズは切られた状態ではなく丸ごとサーブされるため、切り方のルールを知っておく必要があります。

ルールは「一番おいしい場所を全員でシェアする」こと。 白カビチーズ(カマンベール等)は外側から内側へ熟成するため、中心(トロッとした部分)がいちばんおいしい場所です。ホールケーキのように中心から放射状に切り分けます。そして、自分が食べたい全種類を切り取ってから次の人に回します。ナイフにチーズが付着した場合は、ちぎったパンで拭い取って綺麗にしてから戻します。

7. テロワール(土壌)とペアリング

「テロワール」とは土地や土壌を意味します。ワインの「シャンパーニュ」のように、特定の土地と製法で作られたものだけがその名を名乗れる仕組み(原産地統制呼称)があります。チーズも同様に、牛が食べた牧草(土地の草)の味が影響するため、農家製か集約型かでクオリティが異なります。料理と飲み物を合わせる際は、同じ土地(テロワール)で育った素材同士を組み合わせるのが基本です。

8. テーブルセッティング(フランス式)

フォークやスプーンの背を上に向けて伏せるのがフランス式です。イギリスや日本では背を下にするのが一般的です。これは、昔、紋章をカトラリーの背に刻印していた名残りとされ、控えめな美意識に由来します。

皿やカトラリーはテーブルの端から指2本分(約2cm)内側に配置します。近すぎると肘が上がり、隣の人に当たってしまうためです。

グラスを置く順番は、左側からウォーターグラス(一番大きい)、赤ワイン、白ワインとなります。

ゲストが器とカトラリーのセッティングを確認できるようにわかりやすく展示されました。。 CEDRIC DIRADOURIAN

9. おもてなしの美学(アール・ド・ヴィーヴル)

フランスの食卓文化の根底には「宮廷外交」の歴史があり、現在のおもてなしでも以下の2点が重視されます。

ひとつは、話術(会話を楽しむ)。食事は全員で会話を楽しむ場です。無口でいると「気がない」とネガティブに捉えられるため、自らトピックを提供して会話に参加することがマナーです。

ふたつめは、演出力(アール・ド・ヴィーヴル/生活芸術)。高級な食材を並べることではなく、テーブルセッティングやペアリングにちょっとした工夫や美意識(アート)を取り入れることが真のおもてなしとされます。また、ホストがキッチンに籠りきりになるのはNGで、客が到着する前に準備を完璧に終え、全員で食卓を囲むのが理想とされています。

招かれた際は、約束時間より5〜10分ほど遅れて到着するのがホストへの配慮とされ、手土産にはデザートとバッティングしない「チョコレートの詰め合わせ」や「バスケット入りのアレンジメントフラワー」などが好まれます。

お話がひと段落ついたところで、お飲み物とフィンガーフードが提供されました。 CEDRIC DIRADOURIAN

「婦人画報&美しいキモノプレミアム」では、こうした特別なセミナーをはじめ、さまざまな体験をお楽しみいただけるイベントを今後も予定しています。こうした集いは、プレミアムメンバーズの方々へ優先してご案内をさし上げております。皆さまもぜひプレミアムメンバーズの一員として、心豊かな体験への扉を開いてみてはいかがでしょうか。

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