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16年前、スペインで“わずか3秒”で姿を消した女優。「霊感のある」美人女優の現在地

  • 2026.10.8
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2006年9月、映画『オトシモノ』プレミア試写会で舞台あいさつした沢尻エリカ(C)SANKEI

2026年10月2日、読売テレビ・日本テレビ系『情報ライブ ミヤネ屋』が20年あまりの歴史に幕を下ろした。その最終回の生放送、画面の向こうから現れたのは沢尻エリカだった。

番組と彼女には、忘れがたい因縁がある。遡ること16年前、番組ディレクターは海を渡り、スペインの滞在先マンションまで彼女を追跡した。しかし、接触できたのはわずか「3秒」。沢尻は足早にマンションの中へと姿を消してしまう。のちに独占インタビューが実現し、落ち着いたらスタジオに遊びに行かせてほしいと話す当時の貴重な映像が、最終回の画面にも映し出された。

そして迎えたフィナーレ。リモート画面の中で、ミヤネ屋が大好きだから絶対に行きたかったと話していた沢尻は、イヤホンを外して立ち上がる。歩いて向かった先は、なんと今まさに生放送が行われているスタジオだった。

ドレス姿でスタジオに現れ、サプライズでやってきましたと笑顔を見せた沢尻。司会の宮根誠司に花束を手渡し、16年前のスペインでの一件は、たぶんびっくりして一瞬で隠れちゃった、と振り返った。かつてメディアに追われ、身を潜めた人が、20年の節目には鮮やかなサプライズを仕掛ける側に回る。

奇しくも『ミヤネ屋』がスタートを切ったのは、2006年7月31日のこと。あの夏から秋にかけて、当時20歳だった沢尻エリカを取り巻く熱狂は、まさに怒涛の渦の中にあった。

監督の霊感トークを逆手に取った映画初主演の秋

今から20年前の2006年9月13日、沢尻の映画主演作となったホラー『オトシモノ』の特別試写会が都内で開かれた。

演じたのは、妹が拾った定期券をきっかけに怪異へと巻き込まれていく高校生・木村奈々。若槻千夏や小栗旬らが脇を固める作品の試写会で、メガホンを取った古澤健監督は、沢尻を「霊感のある子」と紹介した。撮影中、急に「そこはマズい!」と叫ぶことがあったのだという。

並の主演俳優なら、怖がって場を盛り上げるところかもしれない。だが、沢尻の返しは一味違っていた。

ホラー作品は大好きだと前置きしたうえで、「ひょっとしたら映画のなかでも何か映ってるかもしれませんよ!」とアピールしたのだ。

監督のスピリチュアルなトークを否定するでもなく、怯えるでもなく、そのまま作品の最高のフックへと昇華させてしまった。観客を怖がらせる側に回ってみせる。

ちなみにこの日、主題歌『I WILL』を歌った加藤ミリヤも登壇していた。ホラーが実は苦手な加藤は、7月の試写会に目をふさぐためのハンカチをたくさん持っていった。同世代で活躍する“ハンカチ王子”こと早稲田実業の斎藤佑樹投手のように、大好きなハロー・キティが描かれた白いハンカチを持参していたことも明かし、その日の記事には「“ハンカチ女王”を襲名!?」の見出しが躍った。

見出しをさらったのは、ホラーを怖がる加藤ミリヤのほうだった。

記録破りの快進撃と30秒足らずの一筋の涙

この『オトシモノ』試写会が行われた時期は、沢尻エリカという才能が一気に駆け上がっていく時期でもあった。

2006年春、映画『パッチギ!』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。前年秋の主演ドラマ『1リットルの涙』(フジテレビ系)に続き、この年の7月期には『タイヨウのうた』(TBS系)に主演。難病を抱えながら夜の広場で歌うストリートミュージシャン・雨音薫を演じ切った。その劇中歌を収め、役名であるKaoru Amane名義で発売されたシングル『タイヨウのうた』はヒットした。

『オトシモノ』の舞台に立っていたのは、まさにそのシングルの発売からわずか2週間後のことだった。

音楽の現場には、このヒットより前から彼女の表現力を知る人がいた。同じ年の1月に発売された歌手・KのアルバムのCMに出演した際、求められたのは、片目のまぶたの中央から涙を一筋だけ流すという難しい演出だった。スタッフは目薬を用意していたが、沢尻はそれを使わない。ものの30秒とかからずに、注文どおりの涙を一筋流したという。

現場にいたスタッフはみな、鳥肌が立つくらい驚いた。レーベルのチーフプロデューサーは、歌い手としてどうこう以前に、彼女が表現者としてとてつもない才能を持っていると実感していた。

作り込んだ20年前を経て見つけた自然体

そして2026年5月、沢尻はひさしぶりの写真集『DAY OFF』を世に送り出した。撮影場所から衣装に至るまで、すべて自分で選んだ一冊だ。

刊行記念の取材会では、自身の来し方に思いをはせ、「20年前は作り込むのが好きだった」と口にした。そして、自然体の自分でいられるところをようやく見つけられたのかな、と続けている。

2026年1月からの舞台『ピグマリオン』では、下町で花売りとして生きてきた娘が教養を身につけ、自立した女性へと変わっていくイライザ役を任された。2024年の初舞台に続く、2度目の舞台主演だ。

さらに2026年12月11日には、丸山隆平と二人で主演する映画『薔薇の鎖』が公開される。目覚めると手錠で繋がれていたスーツの男と、Tシャツの女。互いに記憶を失い、どちらかが警察で、どちらかが犯罪者という極限状況を描くノンストップサスペンスだ。

公開決定に寄せたコメントでは、普段体験することのないシチュエーションでの芝居がとても新鮮だったと振り返り、「演じていて本当に楽しかったです」と記している。

驚かされる側より仕掛ける側へ

20年前、監督から「霊感」というパスを出されたとき、沢尻エリカはただ怯えるのではなく、映画の中に何か映っているかもしれないと観客を劇場の闇へと誘い込んだ。そして20年が経った昼下がりの生放送では、リモートの画面から立ち上がり、長く自分を追いかけてきた番組をサプライズで祝福した。

守りに入るのではなく、観る者の予想を軽やかに裏切り、驚かせる側に回ること。あの頃も今も、彼女は仕掛けることを面白がっているのではないか。

手錠で繋がれ、記憶を失った女という不条理な設定すら、本当に楽しかったと振り返る沢尻エリカ。スクリーンの中で今度はどんな仕掛けをこちらに放ってくるのか、楽しみに待ちたい。


※記事は執筆時点の情報です

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