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15年前、デビュー作で興収20億!深夜ドラマからスタート、ネトフリ大ヒット作を手がけるまでの13年

  • 2026.9.11
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2011年11月、「日経トレンディ」のイベントに登場した大根仁(C)SANKEI

大根仁の映画監督としての出発点は、2011年の『モテキ』だった。深夜ドラマで描いた恋の物語から、映画、大河ドラマ、そして配信へ。2024年の『地面師たち』までの13年をたどると、懐かしいあの作品が、ずっと大きな物語の入口に見えてくる。タイトルだけなら意外な組み合わせも、監督の名前でつなぐと見え方が変わるのだ。

あの恋が映画館へ飛び出した

2010年に放送されたドラマ『モテキ』(テレビ東京系)で、大根は脚本と演出を担当した。久保ミツロウの漫画を原作に、森山未來が演じたのは29歳の派遣社員・藤本幸世。女性たちから突然連絡が入り、訪れたモテ期に向き合うことになる男だ。

野外フェスで一緒に過ごした相手や、趣味の合う女友達。幸世の周囲には、恋人というひと言ではくくれない関係がある。そこにJ-POPやJ-ROCKの楽曲が重なる。恋の相手だけでなく、そのとき好きだった音楽まで一緒に思い出すような近さが、この作品にはある。恋愛と音楽が隣り合う場所から、大根の仕事に出会った人もいるはずだ。

翌2011年9月には劇場版が公開され、大根は映画監督デビューを果たす。興行収入は11月初めの時点で20億円を突破した。深夜のテレビから始まった作品が、映画館でも大きなヒットになったのだ。

同じ作品名を引き継ぎながら、届く場所は変わっている。『モテキ』には、恋愛映画として楽しむ喜びに加え、ひとりの監督が映画の世界へ踏み出す瞬間まで刻まれている。

好きな人のためにペンを握る

2015年の映画『バクマン。』で大根が描いたのは、漫画家を目指す高校生たちだった。佐藤健が演じる真城最高と、神木隆之介が演じる高木秋人。絵を描く才能と物語を作る才能を持つ2人が組み、週刊少年ジャンプでの連載を目指す。

最高の背中を押すのは、声優を目指す同級生との約束でもある。互いの夢がかなったら結婚する。その恋心が、漫画家への道を踏み出すきっかけになるのだ。仕事の夢と恋が、別々の引き出しに収まっていないところがいい。

『モテキ』では、女性たちとの関係が幸世の日常を動かした。『バクマン。』では、好きな人への思いが漫画を描く行動へとつながっていく。扱う世界は変わっても、誰かに心を動かされた人間から物語が走り出す。そのつながりを見つけると、2本を続けて見たくなる。

真実を追う人にも人生がある

2019年、大根はNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』の演出に参加した。NHK局員以外の演出家が大河を手がける初めての例となった。テレビに戻るその場所も、『モテキ』のころから大きく広がっていた。

そして2022年に演出を手がけたのが、『エルピス―希望、あるいは災い―』(カンテレ・フジテレビ系)だ。長澤まさみが主演し、アナウンサーや若手ディレクターたちが連続殺人事件の冤罪疑惑を追う。

ここで物語の中心にいるのは、テレビを作る側の人たちである。事件を追う過程が、一度は失った自分の価値を取り戻していく過程にも重なる。大きな社会の問題を、そこで働く人間の物語として受け取れるのが、この設定の強さだ。恋や夢を追う若者から、仕事を通して自分を問い直す大人へ。大根の作品をたどる楽しさは、こうして出会う人物の幅にもある。

ヒットの先に待っていた5年

2024年7月に配信が始まったNetflixシリーズ『地面師たち』では、大根が監督と脚本を担当。新庄耕の小説を原作に、100億円の不動産を巡る詐欺を描いた。綾野剛と豊川悦司が主演し、騙す側、騙される側、追いかける刑事の思惑がぶつかる。

恋をかなえたい、漫画家になりたい、真実を明らかにしたい。そして今度は、巨額の金を手にしたい。目指すものの善悪は違っても、何かを求めて動く人間がいる。大根の作品をひと続きに眺めると、その欲求が物語を動かす力の大きさに気づかされる。

同年9月、Netflixは大根との5年間の独占契約を発表した。新作のシリーズや映画を複数製作し、独占配信する契約だ。『モテキ』で映画監督として出発してから13年。次に目を向ける先には、1本の作品にとどまらない、複数の物語を作っていく時間が用意された。

『モテキ』の名前がまた違って見える

『モテキ』から始まる13年は、映画とテレビを行き来しながら、配信へも表現の場所を広げた時間だった。その歩みを、描いてきた人物からたどるとさらに面白い。恋に揺れ、夢を追い、仕事や欲望に突き動かされる人たちがいる。

懐かしい作品を見返すことは、当時の気分に戻ることでもあり、その後を知った目で新しく出会うことでもある。大根仁の『モテキ』は、その両方を楽しめる1本だ。あの恋の先に、これほど違う人間たちの物語が待っていた。その広がりを知ったいま、もう一度、出発点から見届けたくなる。


※記事は執筆時点の情報です

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