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ヒロインは4人、キスは3人。15年前、ヒット映画のたった“15秒”予告にいたもう1人

  • 2026.9.11
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2010年5月、2人芝居「Griffon」の製作発表に出席した森山未來(C)SANKEI

映画『モテキ』の恋の騒ぎは、15秒にもぎっしり詰まっている。2011年9月の公開を前に解禁されたTVスポットでは、森山未來と長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗のキス場面が続けざまに登場した。映画のヒロインは、この3人に真木よう子を加えた4人。では、もう1人はどこにいたのか。その姿まで見渡すと、甘い場面を畳みかける短い映像から、この映画のにぎやかさが別の顔をのぞかせる。

4人目は飛びげりで

公開されたのは「TVスポット15秒(モテ編)」。森山演じる藤本幸世の叫び声から始まり、長澤、麻生、仲とのキスが次々に映し出される。恋に不器用な主人公が、こんなにも女性たちと近づく。その目まぐるしい変化を、顔と顔が触れ合う瞬間で見せていくのだ。

そこに、真木が演じる素子の飛びげりも入っている。幸世に近づく動きでも、こちらはずいぶん手荒い。キスをする3人に目を奪われていると見落としそうになるが、4人目もちゃんと同じ映像にいる。それも、甘い気分に勢いよく割り込むような姿で。

この飛びげりがあると、女性に囲まれた幸世を見る目も変わってくる。ひたすらうらやましい男として眺めていたはずが、次にはその慌ただしさがおかしくなる。キスと蹴りを受ける森山の体ひとつに、浮かれる恋と振り回される恋が重なって見えるのだ。

ヒロインが4人いることと、キス場面に3人が登場すること。その小さな数のずれには、幸世に対する4人の接し方を見比べる楽しさがある。同じ場所に並ぶ女性たちを、同じ役回りだと思い込めないところが面白い。

彼女たちにはそれぞれの日常がある

映画の幸世は、ニュースサイトのライターとして働き始める。テレビ東京系ドラマ『モテキ』から1年後を舞台にした、映画オリジナルの物語だ。仕事も出会いも新しくなるその生活に、4人の女性が関わってくる。

長澤が演じるみゆきは、雑誌編集者。幸世はSNSを通じて彼女と出会い、ひかれていくが、みゆきには同棲相手がいる。キスの一瞬を取り出せば2人だけの世界に見えても、彼女には幸世と出会う前から続く暮らしがある。この事情を知るだけで、縮まった距離の受け止め方は変わる。

麻生が演じるるみ子は、みゆきの親友であるOLだ。幸世を中心に見れば、新たに現れた女性の1人。それでも、みゆきとるみ子のあいだには、彼とは別に続いてきた友人関係がある。幸世が誰を好きになるかという線だけを追っていると、その横につながっている2人の関係を通り過ぎてしまう。

仲が演じる愛はガールズバーで働き、真木が演じる素子は幸世の会社の先輩にあたる。雑誌の編集、OLの日々、夜の店、同じ職場。それぞれの仕事を並べてみると、4人の顔ぶれに生活の手触りが加わる。とりわけ、飛びげりをする素子が職場の先輩だとわかると、彼女の登場は恋の場面だけに収まらなくなるのだ。

短いスポットで印象に残るのは、幸世との距離が一気に縮まる瞬間だ。そこへ名前や仕事、友人関係を重ねると、彼女たちの姿がもう少し遠くまで見えてくる。4人分の暮らしを持った女性が、幸世のいる場所へ入ってくる。その出会いの入り組み方にも、この映画を見たくなる理由がある。

15秒の中で踊りだす

同じスポットには、幸世がPerfumeと共演するミュージカル場面も盛り込まれている。キスをして、蹴られて、さらに踊る。恋の行方をじっくり説明するには短い時間なのに、主人公の身に何かが次々と起こる感覚は、十分に伝わってくる。

ここでは、物語の事情より先に、動きの楽しさが目に飛び込む。誰とどうなるのかを考える前に、幸世の騒がしい時間へ巻き込まれるようなのだ。15秒の魅力は、その勢いに身を預けられることにある。そして人物を知った後なら、同じキスや飛びげりにも、それぞれ違う関係が見えてくる。

キスの向こうの4人に会う

『モテキ』のCM15秒は、3人とのキスを強く印象づけながら、飛びげりをする4人目も映していた。そのちょっとした発見から、みゆき、るみ子、愛、素子の顔をあらためて思い浮かべたくなる。

恋をする幸世の目線に乗る楽しさは、そのままに。彼女たちの仕事や、彼女たち同士の関係にも目を向けると、同じ映画にもう少し長くとどまりたくなる。15秒で近づいた顔の向こうに、どんな日常が続いているのか。4人のヒロインがいるという華やかさは、そこまで想像を広げてくれたのだ。


※記事は執筆時点の情報です

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