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80代患者「誰かに財布を盗られた」病棟を大捜索するも見つからず…→その後“判明した事実”に「思わず力が抜けました」

  • 2026.9.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、病棟看護師のもなです。

「ここに置いていたはずなのに、ない」

みなさんも、財布や携帯電話など、身近なものが見つからず焦った経験はありませんか?

入院中の患者さんにとって、財布などの貴重品は大切な持ち物です。紛失や盗難の訴えがあれば、看護師にとっても見過ごせない出来事になります。

ある日、80歳の患者さんから、

「財布を盗られたかもしれない」

と訴えがありました。病室を探しても見つからない財布。誰かが持っていったのか、それとも別の場所にあるのか。

一つずつ確認していくと、思いもよらない事実が分かりました。

「財布を盗られた」突然の訴えに、病棟で大捜索

その日、80歳の患者さんが、焦った様子で私たちにこう話しました。

「ここに置いていた財布がなくなった。誰かに盗られたかもしれない」

「盗られた」という言葉に、看護師も緊張しました。

まずは、最後に財布を見たのはいつなのか、どこに置いていたのかを患者さんに確認しました。

そのうえで、病室やベッド周囲、身の回りの持ち物などを一つずつ探しました。

私の中には、「どこか別の場所にあるのではないか」という思いもありました。

しかし、だからといって「勘違いではないですか」と決めつけることはできません。

もし本当に紛失や盗難が起きていたとしたら、早めに確認する必要があります。

そこで、患者さんの訴えをそのまま事実と決めつけることも、逆に軽く扱うこともせず、まずは「何が起きたのか」を確認することにしました。

しかし、いくら探しても財布は見つかりませんでした。

「最後に財布を見た後、何か別のことが起きていないだろうか」

そう考え、患者さん本人だけではなく、周囲にも確認することにしました。

誰かを疑う前に、家族へ確認して分かったこと

財布が見つからないと、どうしても「誰かが持っていったのでは?」という可能性が頭をよぎります。

でも、まだ事実は分かっていません。

そこで私は、ご家族に連絡し、財布について確認することにしました。

「財布が見当たらないとおっしゃっていて、色や形などを確認したいのですが……」

すると、ご家族から思いがけない返事がありました。

「使わないから、持って帰りましたよ」

その瞬間、

「え……よかった」

と、思わず力が抜けました。

財布も、お金も、盗まれていたわけではありません。

ご家族は、「入院中は使わないだろうから、持って帰っておこう」と考えていたのです。

一方で、そのことが患者さんには伝わっていませんでした。

ご家族にとっては、善意からの行動。

患者さんにとっては、「置いていた財布が突然なくなった」という出来事。

そして看護師にとっては、「盗難の可能性もある」という重大な訴えです。

それぞれの立場から見れば、どれも不自然ではありません。

ただ、一つの情報が共有されていなかったことで、「財布を盗られた」という大きな不安につながっていました。

この出来事を通して私は、強い訴えを聞いたときほど、最初から一つの可能性に決めつけず、周囲を含めて事実を確認することが大切だと感じました。

私物の「これまで」を知ることが、トラブルを防ぐ

この経験以来、患者さんの私物について確認するときは、

「入院前は誰が管理していたのか」
「入院中は誰が管理するのか」

この2点を意識するようになりました。

入院をきっかけに、お金や貴重品の管理方法が変わることもあります。

その変更が本人や家族、医療スタッフの間で共有されていなければ、今回のような行き違いにつながる可能性があります。

「今どうなっているか」だけを見るのではなく、「入院前はどうしていたのか」まで確認する。

それだけでも、見えなかった経緯が分かることがあります。

強い訴えほど、「これまで」を確認する

「盗られた」と聞くと、目の前の事実だけで判断したくなります。

でも、「なぜ今こうなっているのか」と経緯をたどると、見えていなかった事実に気づけることがあります。

仕事でトラブルが起きたときこそ、誰かを責める前に「これまで」を確認する。その一呼吸が、思わぬ誤解を解くきっかけになるのだと思います。


もな|病棟看護師・看護師ライター

看護師歴7年。急性期・整形外科、地域包括ケア病棟(混合病棟)、訪問看護を経験。現在も看護師として勤務しています。看護師として働く中で経験したリアルなエピソードを通して、技術だけではない「看護の本質」や、患者さん・ご家族との関わりから得た気づきを発信しています。


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