1. トップ
  2. エピソード
  3. 保護者「先生、全部集めてもらえませんか?」児童が友達にあげた“私物”の回収を頼まれ→2週間後、担任に返ってきた言葉に困惑…

保護者「先生、全部集めてもらえませんか?」児童が友達にあげた“私物”の回収を頼まれ→2週間後、担任に返ってきた言葉に困惑…

  • 2026.10.3
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。小学校教諭のみずいろ文具です。

初任者として担任をしていたころのことです。

当時、子どもたちの間では、某アニメ作品のコレクションメダルが大流行していました。

休み時間は、そのアニメのダンスをして盛り上がっていたのを覚えています。

そんなある日、Aさんの保護者から一本の電話がかかってきました。

「先生、全部集めてもらえませんか?」

電話口でAさんの保護者は、困った様子でこう話しました。

「うちの子が、放課後に友達へメダルを配っていたみたいなんです」

理由を聞くと、

「仲良くなりたかったから」

と、Kさんは話していたそうです。

しかし、保護者はメダルを友達にあげることを許可していませんでした。

そして、

「私は相手のお母さんたちの連絡先も知らないので、先生から返すように言ってもらえませんか?」

と頼まれたのです。

今振り返れば、学校外で行われた私物のやり取りについて、担任が一つひとつ回収するところまで対応する必要があったのか、最初に立ち止まって考えるべきだったと思います。

けれど、当時の私は教員になったばかり。

「困っている保護者の力にならなければ」

という気持ちが先に立ち、

「わかりました。確認してみます」

と引き受けてしまったのです。

配った相手は10人以上

翌日、Aさんに事情を聞きました。

すると、メダルを渡した相手は一人や二人ではありませんでした。

「○○くんと、△△ちゃんと……」

名前を挙げてもらうと、その数は10人以上。

思っていた以上の人数でした。

そこから、一人ずつ、

「Aさんのおうちの人は、メダルをあげることを許可していなかったみたいなんだ。持っていたら返してもらえる?」

と声をかけていきました。

必要に応じて、相手の保護者にも電話をしました。

多くの家庭は、

「わかりました。家で確認します」

と、快く対応してくれました。

しかし、すぐにすべてが戻ってくるわけではありませんでした。

「もう、なくしちゃった」

翌日、保護者からの手紙を添えて持ってきてくれる子もいれば、「どこにあるかわからない」

と話す子もいました。

一度「もらった」と思って人の手に渡ったものです。

大切に保管している子もいれば、遊んでいるうちにどこかへいってしまった子もいました。

休み時間や放課後に、一人ひとりの子どもや保護者とやり取りを重ねながら、最終的にメダルを集め直すのには2週間ほどかかりました。

それでも、すべてを取り戻すことはできませんでした。

私はKさんの保護者へ、そのことを伝えました。

すると返ってきたのは、

「えっ……レアなメダルもあったのに。困ります。貴重な休みに朝から並んだんですよ」

という言葉でした。

そう言われても、すでになくなってしまった物を、学校側が用意することはできません。

事情を説明し、見つからなかった分についてはそのまま対応を終えることになりました。

「できません」と伝えることも大切だった

今振り返ると、あのときの私は、

「保護者から頼まれたことには、できる限り応えなければ」

と思い込んでいたのだと思います。

教員になったばかりで、どこまでが学校として対応する範囲なのか、自分でもよくわかっていませんでした。

メダルを集め始めてから、その話を学年主任にすると、「そこまでする必要はないんじゃないかな」と言われました。そのとき初めて、先に相談するべきだったと反省しました。 

もちろん、学校生活に影響するトラブルであれば、学校が間に入る必要があることもあります。

一方で、放課後に起きた私物のやり取りまで、担任がすべて解決するのは難しいです。

「ここまでは学校で対応できます」

「ここから先は家庭でお願いします」

と、できることとできないことを事前に整理して伝えることも必要なのだと、経験を重ねる中で学びました。

初任者だったからこそ、抱え込んでしまったあの出来事。

仕事をするうえでは、「なんでも引き受けること」だけでなく、「線を引くこと」も大切なのだと感じています。



ライター:みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ