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乗客「今すぐミルク作って!」出発準備中、強い口調で哺乳瓶を渡された新人CA→難しい要求に先輩CAが対応したワケ

  • 2026.9.7
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元CAのマンゴーアレルギーです。

今回は、新人CAだった頃に出会った、とある赤ちゃん連れのお母さんのお話です。
突然の強い言葉と難しい要求に驚いてしまいましたが、今でも忘れられない出来事の一つです。

出発間際、「すぐミルク作って!」

その日は平日の夕方。
機内はビジネスマンのお客様が多く、赤ちゃん連れは一組だけでした。

そのお母さんと赤ちゃんが搭乗されたのは、ほぼ最後。

座席に着くとすぐ、切羽詰まった様子で、

「今すぐミルクを作って!」

と、私に哺乳瓶を渡してきました。

まもなく飛行機のドアが閉まるタイミングです。
CAは離陸に向けて、安全確認をしなければなりません。

赤ちゃんは泣いておらず、落ち着いているように見えました。

さらに機内のお湯は温度が高く、赤ちゃんが飲める温度に調整するには少し時間がかかります。

私は「安全確認を優先して、ミルクは離陸後にお渡ししよう」と考えました。

「私がミルクを作るから」

そのとき、私たちの様子を見ていた先輩CAが声をかけてきました。

産休から復帰したばかりのママCAでした。

「私がミルクを作るから、私の担当のお客様の安全確認をしておいてくれる?」

私は言われた通り、先輩の担当エリアも含めて安全確認をしました。

その間に先輩は手際よくミルクを作り、お母さんへ。
受け取ったお母さんは、ほっとしたように見えました。

なかなか消えないベルト着用サイン

離陸後、その日は揺れが続き、なかなかベルト着用サインが消えませんでした。

私は、
「離陸後だとミルクを渡すまで時間がかかるから?」
「上昇中に赤ちゃんの耳が痛くならないように?」

と考え、自分の判断を少し反省していました。

ところが、先輩の理由は別のところにありました。

ママCAに見えていたもの

上空でのサービスが一段落した頃、先輩が話してくれました。

「私にも同じくらいの子どもがいるんだけど、夕方になると黄昏泣きするの。泣き始めるとなかなか泣き止まないし、本当に大変なんだよ」

私はそのとき初めて「黄昏泣き」という言葉を知りました。

赤ちゃんを連れて搭乗口まで来るだけでも大変。
いつもと違う機内で、このあと泣き出すかもしれない。
しかも周囲は仕事帰りと思われるビジネスマンばかり。

「だから、お母さんがちょっと強い言い方になっちゃう気持ちもわかるんだよね」

その言葉が、とても印象に残りました。

「要求」だけを見ていた私

新人だった私は、

「もうドアが閉まる」
「今は安全確認の時間」
「赤ちゃんも泣いていない」

目の前の状況だけを見ていました。

もちろん、安全を最優先にすることは間違っていません。

でも先輩は、私と役割を入れ替えることで安全確認をしながら、お母さんが必要としていたミルクも準備しました。

そして先輩には、私には見えていなかったものが見えていました。

「すぐミルクを作って」という言葉の、その先です。

今なら、あの優しさがわかる

現在、私も子育て中です。

赤ちゃんを連れて出かける大変さ。
「今は泣かないで」と願うときほど、泣いてしまうこと。
周囲に迷惑をかけないよう、気を張り続けるしんどさ。

今なら、あのお母さんの切羽詰まった表情も、少し乱暴に聞こえた言葉も、当時とは違って見えます。

一見すると「筋の通らない要求」に見えても、その人の立場を知れば、見え方が変わることがあります。

安全を守りながら、その言葉の奥にある事情まで想像する。

新人CAだった私にそれを教えてくれたのは、出発間際の一本の哺乳瓶と、ひとりのママCAでした。


ライター名: マンゴーアレルギー

グランドスタッフ3年、客室乗務員として7年、勤務した経験を持つ元航空業界人。航空業界での経験や子育てで得た学びを生かし、思わず「なるほど」と感じてもらえるような体験談や、暮らしに役立つ情報をわかりやすくお届けします。


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