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瀬戸康史さん「白井晃さんと出会わなかったら、俳優を辞めていたかも」新舞台で11年ぶりタッグ

  • 2026.8.26

主演舞台『キュー』で、恩師的存在である演出家・白井晃さんと11年ぶりにタッグを組む瀬戸康史さん。「白井さんと出会わなかったら俳優を辞めていたかもしれない」と語る、大きな転機となった出来事、さらに「運命を感じている」という今回の作品への期待、意気込みについてお聞きしました。

瀬戸康史/せとこうじ 1988年福岡県出身。2006年に俳優デビュー。2015年の『マーキュリー・ファー Mercury Fur』(白井晃・演出)などで注目を集め、2017年の『関数ドミノ』で第72回文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。ドラマや映画等の映像作品のほか、舞台にも数多く出演し、近年の主な出演作は舞台ケムリ研究室 no.5『サボテンの微笑み』、ドラマ『再会~Silent Truth~』、映画『木挽き町のあだ討ち』等。イラストや造形作品などデジタルアート制作にも取り組み、オリジナルソフビ等を発表している。

白井晃さんの演出が教えてくれた「役を生きること」

演出の白井(晃)さんとは11年前にご一緒して、その後も白井さんの舞台を観に行くたびに「また一緒にやりたいね」という話はしていたんです。今回の作品をお受けしたのも、まず白井さんの存在がありました。

映像もそうですが舞台はさらに正解がないし、最初から小道具や舞台装置が揃っているわけでもない。稽古の段階では椅子があるべきところにまだ椅子がなくて、ただテープで位置が示してあるだけだったり。若い頃は舞台についてわからない部分が多すぎて、なんだか恐怖があったんですよね。

白井さんと『マーキュリー・ファー Mercury Fur』で初めて出会った時も、舞台に対して漠然とした恐怖感があって。その稽古をやるのですが、白井さんに「じゃあ、始め」と言われて一歩出たとたん、「違う」と言われる、そういうことが何度もありました。

白井さんは結構、体育会系なので「じゃあ、やめよう」、もっと強い言葉だと「帰れ」と言われることもありました。でも「やらせてください」って、わけもわからないまますがりついていました。がむしゃらになっていましたね。

そのおかげで、恥ずかしいところを見られたくない気持ちや変なプライドなど、余計なものに支配されていた当時の自分が、「役を生きること」だけに集中できました。ほかのものをそぎ落として、お芝居だけに集中させてくれたのが白井さんなんです。

愛のない「帰れ」なら響かなかったと思うけど、白井さんはとっても愛がある人。俳優に対しての愛がとてもある人なので、言葉がすごく響いたんです。その時は本当にがむしゃらにやっていたので気づいていませんでしたが、数年経って「あれはそういうことだったんだ」と。

出会いが、俳優人生の転機に

当時はすごく辛かったですよ、でもそこで負けるのが嫌で。意地ですよね、わからない自分にイライラするし、できない自分にもイライラする。

本番に入った頃から徐々に気持ちが変化してきましたが、これが転機だったと感じられたのはもう少し時間がたって、自分の中で整理ができてから。「白井さんと出会わなかったら、もしかしたら俳優を辞めていたかもな」って思える出会いです。

いろいろなところで自分が変わったきっかけ、恩師として白井さんのお名前を挙げさせていただいています。たくさんの方とご一緒している中で、白井さんが僕を思い浮かべながら今回の原作を読まれていたと聞いてすごく嬉しかったです。『マーキュリー・ファー Mercury Fur』の時も、作品の中で起こっていることと世界で起こっていることがリンクしている部分があったのですが、不思議な巡り合わせ、繋がりみたいなものを今回の作品でも感じています。「運命ってあるんだ」って思いますね。また白井さんと次の段階へ一緒に登れそうな気がするので、とても楽しみです。

『キュー』

撮影/古末優一 ヘア・メイク/須賀元子 スタイリスト/田村和之 取材/中畑有理

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