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「テレビで見た本を探しているんです」タイトルも著者も分からない客。だが、店員の対応で表情が一変

  • 2026.8.25

題名も著者も、はっきり覚えていなかった

書店で働いていた頃のことです。夕方、カウンターで作業をしていると、買い物袋を提げた男性が少し困ったような顔で声をかけてきました。

「テレビで見た本を探しているんですが、題名を忘れてしまって」

聞いてみると、著者の名前も自信がないとのことでした。思い当たる言葉をいくつか教えてもらい、店内の検索システムで調べてみましたが、それらしい本は出てきません。

男性は申し訳なさそうに、「これじゃ分からないですよね」と苦笑しました。

そこで私は、検索する手をいったん止めました。

「題名は分からなくても大丈夫です。ほかに覚えていることはありませんか?」

すると男性は、少し考えながら記憶をたどり始めました。

番組では小説が紹介されていて、雨の降る道で誰かを待つような場面があったこと。読んだ人が「最後のほうで泣いた」と話していたこと。表紙は明るい色で、帯には大きな文字が入っていた気がすること。

「それくらいしか覚えてなくて…」

「十分ですよ。ちょっと見てきますね」

話を聞いているうちに、私は一冊の本を思い出していました。

平台に積まれた一冊を見て、表情が変わった

それは、その頃よく動いていた話題書の一冊でした。普段から平台を整えるたびに表紙や帯を目にしていたため、男性が話した「明るい表紙」と「雨の場面」という言葉が引っかかったのです。

棚から本を取り、カウンターへ戻って差し出しました。

「もしかして、こちらではないですか?」

男性は表紙を見るなり、ぱっと顔を上げました。

「あ、これです!これこれ。全然違う題名を覚えてましたね」

自分でもおかしくなったのか、男性は照れたように笑いました。私もつられて笑いながら、「見つかってよかったです」と返しました。

男性はその本を購入し、「今度から気になった本はちゃんとメモしておきます」と言って帰っていきました。

その後も何度か来店され、顔を合わせると「あの本、面白かったですよ」と声をかけてくれることがありました。

題名や著者が分からなくても、表紙の色や紹介されていた場面など、意外なところに手がかりは残っています。「分かりません」で終わらせず、もう少しだけ話を聞いてみてよかったと思った出来事です。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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