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あなたを、私を「醜い」と判断するのは誰?一人二役で主演!韓国映画『顔 -かお-』パク・ジョンミンインタビュー

  • 2026.8.26

今年10周年を迎える『新感染 ファイナル・エクスプレス』から「地獄が呼んでいる」「寄生獣 ザ・グレイ」、大ヒット中の「ガス人間」の脚本まで――。クリーチャーが跋扈(ばっこ)する世界を中心に、人間の業(ごう)にまで踏み込んだ骨太な作品づくりで知られるヨン・サンホ監督の新作映画『顔 -かお-』が、8月28日に劇場公開を迎えます。

『顔 -かお-』
配給:ツイン
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8月28日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
 
脚本/監督:ヨン・サンホ『新感染 ファイナル・エクスプレス』
出演:パク・ジョンミン『密輸1970』クォン・ヘヒョ『新感染半島 ファイナル・ステージ』
シン・ヒョンビン「賢い医師生活」イム・ソンジェ『非常宣言』ハン・ジヒョン『啓示』
2025年/韓国/韓国語/103分/シネスコ/5.1ch/原題:얼굴/字幕翻訳:朴澤蓉子/提供:ツイン、Hulu
kao-movie.com

生まれつき目が見えないハンデを乗り越えて、韓国を代表する篆刻家(てんこくか)となった父ヨンギュと、傍らで支えてきた息子ドンファン。40年前に失踪した母の遺体が山中で発見されたことから、父子の関係が揺らいでいく……。
 
ルッキズムにも鋭く切り込んだ本作で若き日のヨンギュ/ドンファンの1人2役を務めたのは、ヨン監督の常連俳優でもあるパク・ジョンミンさん。『それだけが、僕の世界』や『ただ悪より救いたまえ』『君と私』ほか、新たな作品に出演するたびにイメージを一新してきた彼は、自身の“顔”とどう向き合ってきたのでしょうか。作品の舞台裏と共に語っていただきました。

――パク・ジョンミンさんはヨン・サンホ監督のアニメ時代からのファンと伺いました。3作品でタッグを組まれてきて、まさに盟友といえるのではないでしょうか。

私は監督や映画人の方々とそこまで頻繁に会うタイプではありません。でも、ヨン・サンホ監督は別です。『サイコキネシス ―念力―』と「地獄が呼んでいる」でご一緒し、多くの時間を過ごさせていただきましたが、彼はいつも、いまこの時代に必要なテーマでしたり、人々が議論するべき問題提起について考えていらっしゃいます。
 
――『顔 -かお-』もまさに、ルッキズムの醜悪さをサスペンスに組み込んだ力作でした。
 
そうですね。ヨン監督は観客に面白さを届けるだけでなく、立ち止まって考えさせるものを投げかける勇気を持った方だと思います。そしてなにより、彼の現場はとても面白い。多くの人たちが楽しみながら一緒に仕事をしていますし、監督と私は笑いのツボが似ているようにも感じます。一緒にいるとずっと笑いながら仕事ができるんですよね。そこも好きな部分です。

――『サイコキネシス ―念力―』の舞台挨拶の際に、『顔 -かお-』の原作漫画を受け取ったそうですね。
 
2018年のことでした。その際に「もしかしたらこれを原作にした映画を作るかもしれない」と聞き、「もし実現したら僕にやらせてください」とせっつきまして。監督はちょっとめんどくさそうな顔で「おお、わかった」という風にはおっしゃっていました(笑)。それから長い時間――7・8年が経ち、オファーをいただきました。その際に、「低予算だし約2週間で撮りきる映画だけど、参加する意向はありますか」と聞かれました。
 
――聞くところによると、仮にノーギャラでもいいから出たいとおっしゃったとか。すさまじい熱意ですね。
 
原作漫画に対してもとてもいい印象を持っていましたし、ヨン監督との信頼関係も積み上がっていた時期だったので、もう一度ご一緒できるだけでも本当に楽しくうれしいことでした。そのため正直、お断りする理由はなかったんです。ただ、「ノーギャラでもいい」とは、自分からは言っていません(笑)。

――ありゃ(笑)。でも、息子と父の二役を演じるプランはご自身が提案されたんですよね? ただでさえ2週間(13回の撮影)の超タイトスケジュールなのにさらにご自身を追い込んだ理由は何だったのでしょう。
 
最初は息子役としてオファーをいただき、OKして帰宅しました。そこでもう一度漫画を取り出して読んだのですが、俳優としての欲が出てしまいまして(笑)。息子はストーリーを進めるうえで重要な役どころですが、生き生きとした登場人物がひしめいているなか進行役として終始してしまうのではないかという懸念が湧いてきてしまいました。俳優としてはいくら辛くても、チャレンジできることがやっぱり一番うれしいものです。そこで監督にそれとなく「ちなみに……父親の若き日は誰が演じるんですか……?」と探りを入れたらすぐ察してくださり「1人2役も考えていますよ」と仰って下さったんです(笑)。そこで2人で話し合い、合意のもとでこの形に行きつきました。ポスターでも大きく扱われていますが、それくらい若き日の父はインパクトが強い役なんです。きっと多くの役者が演じてみたいと思うほどに。

公式ポスターがこちら。息子・ドンファンは右上にのみ、若き日のヨンギュは3カ所に配置されています。

――パク・ジョンミンさんご自身も野心的な作品に多く出演されていらっしゃいますが、世に問うべきテーマ性を持っているかどうかが作品選びのキーワードなのでしょうか。
 
それはあると思います。もちろんだからといって、作品選びの基準がそこだけに限られているわけではありません。ただ、自分が参加することで世に出るべき物語の役に立つなら参加したいという気持ちは、年々強まっています。以前であれば、自分をよく見せられる作品や、憧れていた監督、素晴らしい俳優たちとご一緒できるかどうかにもっと関心が向いていた気がします。それらも重要な要素ですが、最近は「監督が伝えようとしている物語の具現化を助けるのが俳優という職業」という方向により意識が向いてきました。となると、監督のメッセージに同意・共感できる必要が出てきます。そのため、仰って下さった部分により重きを置くようになりました。

――パク・ジョンミンさんはこれまで、出演作ごとにがらりと顔つきを変えてきたと感じています。『顔 -かお-』でも父と息子で全くイメージが違う、けれど親子と思わせる絶妙なラインを構築されていました。俳優として、ご自身の顔をどう活用してきたのでしょう。
これは過去のインタビューでも語ってきたことですが、実は私は自分の顔があまり好きではありません。自撮りなんかも全くしないですしね。俳優としてありうる顔なのかなとは思いつつ、作品ごとに役柄に合わせた顔になれるようにメイク部とも話しながら、どこか自分の顔を消そうと努めてきました。ただ、自分の顔に対するこうした感情は、今後私が克服していかないといけない課題でもあると思っています。この顔に慣れて、受け入れること――それが自分の目標ですし、いかにこの顔を活用して観客の皆さんに魅力的な人物として見てもらえるかをこれからも考えていかなければなりません。

――となると、例えば現場でご自身のお芝居をモニターでチェックすることもあまりなさらないのでしょうか。
 
そうですね、自分の演技に不安を感じたときは見に行きますが、大丈夫かどうかの確認に留めて細かくはチェックしないようにしています。見てみたら「思ったよりよかった」というときはそれでOKですし、あくまで違和感があるときの判断基準としてモニターを使っています。
 
――ということは、ご自身の肌感をメインにして2役を演じ分けていたわけですよね。もちろん監督の演出もあったうえでかと思いますが、それであの精度なのは驚嘆します。

私は基本的に「監督がOKを出して下さればいい」というスタンスです。仮に監督がOKでも自分の中でもう少しこうした方がいいんじゃないかと思うときには、「あと1回だけ感じるままにやってみてもいいですか」とご相談しますが、どのテイクを使うかは監督が決めるもの。自分としてはあくまでもう一つのオプションを提供する気持ちでいます。自分の中でうまくいったなという手ごたえがあるときにはモニターを見ないでそのまま次に行く、どうもしっくりこないなと思ったときにはモニターを見つつ話し合って別の表現を試す、そしてOKテイクに対してまた違った解釈を見せたいという気持ちになった際は進言する――こうしたプロセスでいつも取り組んでいます。

Interview&Text_SYO
Photograph_KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
 

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