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強豪校の練習は何が違う?福岡大大濠×Bリーガーが次世代中学生に「現在地と覚悟」を伝える『88 Special Camp 2026』

  • 2026.8.24

この夏、9年ぶりにインターハイ王者となった福岡大学附属大濠高校。その日本一への道のりが始まる少し前、同校の体育館には全国から30名の中学生が集まっていた。

同校OBでBリーガーの橋本竜馬や、篠山竜青、湊谷安玲久司朱ら1988年生まれの同級生たちが企画する「88 Special Camp 2026」。「次世代が現在地を知り、学び、将来を考えるきっかけにしてほしい」。そんな思いに大濠高の片峯聡太監督らも協力し、バスケの技術だけでなく、大切な言葉も贈られた熱い2日間に迫る。

「日本で一番強い高校の環境、空気を感じてもらえたら」(橋本)

時計を2024年6月まで戻す――。篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、橋本竜馬(ベルテックス静岡)、湊谷安玲久司朱(元横浜ビー・コルセアーズ)という1988年生まれの同級生3人が、バスケットボールを通じて得てきた経験を次世代へつなぐ活動「88 Basketball」をスタートさせた。自ら企画を練り、協力先やスポンサーも募り、現場に立って子どもたちを指導する、情熱の詰まった取り組みだ。

そんな3人が、名門・福岡大学附属大濠高校の協力を得て6月13、14日に開催したのが「88 Special Camp 2026 88 Basketball × 福大大濠トロージャンズ」である。今年で2回目を迎えたキャンプは、中学生を対象とした1泊2日の合宿形式。同校を率いる片峯聡太監督もキャンプコーチを務め、大濠高バスケ部の部員たちも練習をサポートした。橋本にとってトロージャンズ(大濠高)は母校であり、片峯監督は1つ上の先輩という間柄。そうした縁もあり、片峯監督も3人の思いに賛同して一肌脱いだ格好だ。

開催の目的は、次世代が自らの現在地を知り、将来を考えるきっかけをつくること。篠山が「今の自分がどのくらいのレベルにあるのか、僕らとともにバスケットボールをすることを通じて感じてもらいたい」と言えば、橋本は「日本で一番強い高校の環境、空気を感じてもらえたら嬉しい」と語る。湊谷も「強豪チームに所属していないためにスポットライトが当たらない子にも機会が与えられるような場所をつくりたい」と明かす。

画像1: ©88 Basketball

「どうステップアップして行くかは自分次第」(篠山)

6月13日朝、大濠高の体育館には書類選考を勝ち抜いた30名の中学生が集結した。緊張の面持ちを見せる選手もいれば、2年連続で挑戦する姿もあり、それぞれの意気込みの高さが伺える。

画像2: ©88 Basketball

開催に先立ち、橋本は「2日間全力で頑張って、いろんな空気を吸ったり、いろんなことを学んだり。大濠の選手たちからいろんなことを触れて感じてほしい」と語りかけ、片峯コーチも「自分の持っている素晴らしいものを、きょう明日と体育館でたくさん表現してもらえればと思います」と期待を込めた。

Day1は、大濠高の練習メニューをアレンジしたプログラムからスタート。片峯監督からは「状況を判断してプレーする意識」が説かれた。例えばオフェンスのフィニッシュドリルでは、シュートをリリースする手とディフェンスの位置関係や、コンタクトしながら最後まで相手の出方を見極めるなど、細部まで徹底した指導が行われた。

ゲーム形式の5対5や夕食後のスキルのワークアウトには、サポートコーチの大森勇氏(トライフープ岡山・アソシエイトヘッドコーチ)、菊地敦友氏(参加時:ベルテックス静岡・アシスタント&スキルディベロップメントコーチ。現:信州ブレイブウォリアーズ・アシスタントコーチ )、多良耕太郎氏(performance training center THE BASE 代表)というプロフェッショナルが加わり、直接指導にあたった。

画像3: ©88 Basketball

さらにキャンプでは別会場にて、橋本、篠山、湊谷と中学生の保護者による懇親会も開催。3人が中学生当時を振り返りながら進路選択の考え方や高校時代の過ごし方を明かすなど、親御さんの悩みに寄り添うプログラムとなったことも印象深い。

Day2は前日の学びを実践する場となった。中学生を「チーム橋本」と「チーム篠山」に分けて試合を実施。単なる対戦にとどまらず、後半戦は選抜メンバーのみが出場できるという、競争心を煽る演出も取り入れられた。優れたパフォーマンスを見せた選手は「セレクションチーム」として大濠の高校生との試合にもチャレンジ。最終的にはベスト5とMVPが選出された。

画像4: ©88 Basketball

メンバー選考の基準となったのは「遂行力」と「リスクをとる姿勢」だ。篠山は「コーチの意図を理解して体現できること、常にミスを恐れずチャレンジする姿勢を持ち続けることが大切。そういうメッセージを伝えたいという狙いがありました」と意図を明かし、キャンプの締めくくりにこうエールを送った。

画像5: ©88 Basketball

「日々いろんなふるいにかけられて、残ったり残らなかったり、落ちたり受かったりの繰り返しだと思いますが、そこから何を得て、どうステップアップして行くかは自分次第。最後までプレーできた選手、ここには来られたけど最後までプレーできなかった選手。それをどう自分の中で咀嚼して、明日に繋げるか。これが、すごく大事だと思いますので、意識して取り組んで欲しいと思います」

「バスケを通じて、自分の言葉・行動で何かを与えられるような人間になってほしい」(片峯)

2日間の最後、バスケの技術以上に大切な「人としての姿勢」を語りかけた片峯監督の言葉も胸に刺さる。

「ただシュートが上手くなる、スキルを身につけるだけではなく、人間としてどう生きていくかをバスケットボールの競技の中で、僕は学べると思っています。これからは少しずつ自分の言葉、行動で人に何かを与えられるような人間になってほしい。また、どこかで会えることを楽しみに互いに成長して良い姿で会いましょう」

片峯監督は、いま日本の育成年代を支えるコーチの一人だ。筑波大学卒業後に母校・大濠高へ戻り、2010年に22歳の若さで監督に就任。ウインターカップ2025では同校初となる大会2連覇を達成し、さらに今年8月にはインターハイで9年ぶり5度目の優勝を果たした。今年2月からは男子U18日本代表のヘッドコーチも務めている。

画像6: ©88 Basketball

大濠高といえば全国屈指の超強豪だが、片峯コーチは常に「高校生が人としてどうあってほしいか。どう成長してほしいか」を説き続けている。2024年にウインターカップを制した際、大会観客動員数が史上最多を記録するなどバスケ人気が高まる現状について、記者会見でこう語っていた。

「たくさんの方に声をかけいただくようになっていますし、選手たちは本当にいろんなところで注目していただいているので感謝しかないと思っています。だからこそ、彼らのプレーだけではなく、人間性。あるいはチームも強いだけではなく、そのチームのあり方がいろんな人から見られる時代になってきているので、我々もチャンピオンチームに今回なりましたけど、だからどういう人間なんだ。だからどういう組織なんだ。そういう正しいあり方、人間性を今後も示していって、よりバスケットボールが価値のあるスポーツになるように、我々は大濠高校として努めていきたいと思っております」

「来年はさらに価値のあるキャンプに」(湊谷)

そんな片峯監督に対し、「88 Basketball」の3人も深く感謝している。後輩の橋本は「片峯先生の指導を中学生という世代に肌で感じてほしいという想いの中、実施できたことは僕にとって、とてもいい時間になりましたし、株式会社はちはち(=88 Basketballの運営会社)として自信になる時間でした。また継続することで、全国のバスケットファンの方々に認知してもらうこともできました」とコメント。

篠山も「片峯先生に指導をお願いしたことで、中学生から高校生というバスケット選手としても人間としても重要な時期に、大切な事をしっかりと伝えていただくことができたと思います」と語った。さらに、湊谷は「来年はさらに価値のあるキャンプにしていきたい」と、早くも3回目を見据えている。

全国から集まった中学生が、高校日本一の環境で過ごした2日間。バスケの技術だけでなく、未来を描き、ここで得たものをどう自らの成長に変えていくか。キャンプを駆け抜けた子どもたちの未来が、心から楽しみだ。

画像7: ©88 Basketball

取材=Qoly編集部バスケットボール班
構成=大橋裕之
写真=88 Basketball

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