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提案を断り続けた私が、次の定例で「この形なら通せます」と言えた理由

  • 2026.8.19
ハウコレ

理由を聞かれて返せたのは、持ち帰るという言葉だけでした。怖かったのは、断ることよりも、期待させて裏切ることのほうでした。

断ったはずの企画書を、私は帰りの電車の中でもう一度開いていました。

席上で断り続けた半年

私は販売代理店の営業で、メーカーの企画担当者と月に1度の定例を持っています。彼女の提案はいつも作り込まれていて、資料だけを見れば欠点は多くありません。それでも私は、資料の途中で顔を上げて「それは難しいと思います」と返してきました。うちの決裁は費用に厳しく、席上でどれだけ良く見えても、社内で通る形は別にあるからです。ただ、その事情を、私は一度も説明しませんでした。

答えられなかった質問

あの日、彼女は資料を閉じる前に「難しい理由を教えていただけますか」と聞いてきました。理由なら言えました。費用の枠のこと、決裁の通り方のこと。口にしなかったのは、以前、席上で安請け合いをして社内で通せず、先方に頭を下げた経験があるからです。また期待させて裏切るのが怖くて、私は「持ち帰って、上と相談させてください」とだけ答え、企画書を鞄にしまいました。説明して向き合うより、短く断るほうが楽だという弱さから、私は逃げ続けていました。

通せる形に書き直した資料

持ち帰った企画書を、私は費用の欄から読み直しました。店舗数を絞れば、決裁の枠に収まる余地があります。彼女の陳列の図はそのまま生かし、規模だけを直した資料を作って、2週間後の定例で広げました。「この形なら、社内に通せます」。説明しながら、彼女が図の端を見ていることに気づきました。半年分の説明を、私はこの1冊に詰め込もうとしていたのだと思います。

そして...

定例のあと、私は短いメッセージを送りました。通せない約束をしたくなかった、と。それが言い訳の側面を持つことも分かっています。次の定例では、断る前に費用の枠を先に伝えるところから始めるつもりです。彼女の資料を、最初のページで止めないために。

(40代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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