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「仕事したらだめなのか」台風で休園になった日。だが、子どもを見ていた私が言われた一言に感じた本音

  • 2026.8.19

休園の連絡と、閉まった扉

朝から雨が窓を叩いていた。

台風が近づいていると前の晩から言われていて、その日の登園は取りやめになった。

「今日はお休みだって」

そう伝えると、子どもはうれしそうにおもちゃ箱をひっくり返した。

夫はその日、家で仕事をする予定だった。

「悪い、今日は会議が詰まってる」

夫はパソコンを抱えて奥の部屋へ入っていった。

扉が閉まる音がして、それきり物音がしなくなった。

夫の仕事が大切なことは、私だってわかっている。

家計を支えているのは夫の働きだし、休みの日でも呼び出しがかかるのを見てきた。

だから扉が閉まったこと自体に、文句を言うつもりはなかった。

ただ、その日の私は、いつもと同じことを、いつもより長い時間やり続けていた。

朝ごはんを出して、こぼれた牛乳を拭いて、洗濯物を部屋の中に干して、絵本を読んで、昼ごはんを作って、また拭いた。

外に出られないぶん、子どもは家の中を走り回る。

「ママ、こっち来て」

呼ばれるたびに手を止めた。

台所に戻ると、湯が沸きすぎて音を立てていた。

洗い物を片づけながら時計を見ると、まだ昼を過ぎたばかりだった。

外は昼間なのに暗く、風の音が強くなったり弱くなったりを繰り返している。

奥の部屋からはときどき夫の話し声がもれてきて、そのたびに私は子どもに向かって、静かにね、と口の前で指を立てた。

言いたかったのは、そういうことじゃない

雨の音がいちだんと強くなったころ、夫が部屋から出てきた。

「今日は疲れた」

その一言が、なぜかその日だけは素通りしなかった。

「私だって、ずっと動いてたよ」

言い方は、たぶん柔らかくなかったと思う。

夫の顔つきが、すっと変わった。

「仕事したらだめなのか」

強い口調だった。

換気扇の音だけが残った。

違う、と思った。

仕事をするなとは言っていない。

会議を抜けてほしいわけでも、皿を洗ってほしいわけでもない。

ただ、この一日が私にとってどういう一日だったのかを、少しだけ知っていてほしかった。

大変だったね。それだけあれば、たぶん何も残らなかった。

けれど説明しようとするほど、責めている形になっていく気がして、言葉は喉のところで止まった。

「ごはん、できてるよ」

結局、口から出たのはそれだった。夫はうなずいて、席に着いた。

子どもはいつもどおり食卓で笑っていて、夫もいつもどおり箸を取る。

窓の外を、風が音を立てて通り過ぎていく。言いたかったのはそんなことじゃなかったのにな、と思いながら、私は台風の音を聞いていた。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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