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「後輩なんだから当たり前でしょ」とパシリ扱いされた私が、最後の一品で主役になったBBQ

  • 2026.8.10
ハウコレ

BBQ場に着くと、炭も網も食材も、荷物のすべてが私の足元にだけ置かれていました。肉が残り少なくなった終盤、私はクーラーボックスから包みを取り出しました。部長が口にしたのは、私の実家の店の名前。先輩たちの表情が変わったのは、その直後でした。

幹事は先輩のはずだった

職場の親睦BBQの幹事は、同じ課の先輩2人です。それなのに、前日に私へ届いたのは買い出しの一覧だけでした。当日も火起こしから席の設営まで、気づけば全部が私の仕事になっています。手が空いた先輩に網を代わってほしいと頼むと、返ってきたのは笑い声でした。

「後輩なんだから当たり前でしょ」

周りの同僚は目を合わせず、紙コップに口をつけています。私は軍手をはめ直して、炭の位置を整えました。

聞こえないふり

肉が焼き上がるたび、先輩たちの席から紙皿だけが差し出されました。先輩たちは焼けた端から取り分けて、自分たちの話に戻っていきます。予算を渡されたのは私なのに、肉が薄いという不満が続きました。

「もっといい肉、買えなかったの?」

渡された金額で買えるものを選んだと説明しても、聞こえないふりをされました。それでも腹が立たなかったのは、クーラーボックスの底の包みがあったからです。実家は駅前で小さな精肉店を営んでいます。今回のために、一番いい部位を選んで仕込んできたのです。

最後の一品

網の火が落ち着いたころ、私は包みを開けました。切り分けたのは、塊のまま火を入れたローストビーフです。前の週から店の冷蔵庫で寝かせて、切る直前まで温度を保ってきました。取り分けた皿が回るうちに歓声が広がり、部長が席を立ってこちらへ来ました。

「この肉、どこの?」

「実家で、朝から仕込んできました」

駅前の店名を伝えると、部長は何度もうなずきました。そこへ、隣にいた同僚が付け加えます。

「準備も買い出しも、全部彼女がやってくれたんですよ」

先輩たちの表情が一変したのは、その瞬間でした。

そして...

解散の間際、幹事の先輩が私の隣に来ました。

「次は、私も仕込みから入れて」

私は黙ってうなずきました。謝罪の言葉はありませんでした。それでも、帰りの車で先輩が助手席を譲ってくれて、扱いが変わったことだけは伝わってきました。次の買い出しの一覧は、2人で書くことになっています。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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