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「ここドライヤー少なくない?」旅館の脱衣所で鏡の前を占領し、宿への不満を口にする女性→母の対応で感じたこと

  • 2026.8.12
「ここドライヤー少なくない?」旅館の脱衣所で鏡の前を占領し、宿への不満を口にする女性→母の対応で感じたこと

混み合う脱衣所で、母と順番を待っていた

まだ小学生だった頃、家族で温泉のある旅館に泊まったときのことです。

連休中だったこともあり、館内には多くの宿泊客がいました。

夕食を終えたあと、私は母と一緒に大浴場へ向かいました。お風呂から上がって脱衣所へ戻ると、洗面台とドライヤーが並ぶ一角はかなり混み合っていました。

髪を乾かしている人もいれば、スキンケアをしている人もいます。

空いている席はなかったため、私と母は少し離れたところで待つことにしました。

「混んでるね。少し待とうか」

母にそう言われ、私は濡れた髪をタオルで拭きながらうなずきました。

しばらくすると、私たちの近くの席に座っていた女性がドライヤーの電源を切りました。これでそろそろ席が空くのかな、と私は思いました。

ところが、その女性は立ち上がりませんでした。

髪を整え終えると、今度は大きな化粧ポーチを取り出し、鏡の前でゆっくりと化粧直しを始めたのです。

待つ人がいる前で聞こえてきた言葉

女性は隣にいた友人らしき人と話しながら、ファンデーションやブラシを次々と取り出していました。

そのうち、こんな声が聞こえてきました。

「それにしても、ここドライヤー少なくない?こんなに待つ旅館って初めてかも」

友人が「今日は混んでるから仕方ないんじゃない?」と返しましたが、女性は鏡を見たまま続けました。

「せっかく泊まりに来たのにね。もうちょっとちゃんとしてほしいよね」

その言葉を聞きながら、私はなんとも言えない気持ちになりました。

たしかに脱衣所は混んでいました。しかし、後ろには私たち以外にもドライヤーを待っている人がいます。

そんな中で、髪を乾かし終えたあとも席に座ったまま化粧を続けながら、旅館への不満を口にしていることのほうが、子どもの私には不思議に思えました。

女性は途中で鏡越しに後ろを見ました。待っている人がいることには気づいていたようです。

それでも席を立つ様子はなく、友人との会話を続けながら、今度は髪を整え始めました。

「お母さん、まだかな」

私が小さな声で聞くと、母は女性のほうを見ずに答えました。

「もう少し待とうね」

母は注意することも、嫌な顔をすることもありませんでした。

その後、別の席が空いたため、私たちはそちらを使うことができました。母が私の髪を乾かしている間も、先ほどの女性たちはまだ鏡の前で話を続けていました。

当時はただ「ずいぶん長いな」と思っただけでしたが、大人になった今なら、母が何も言わなかった理由も少し分かる気がします。旅先でわざわざ揉め事を起こしたくなかったのでしょう。

混雑している場所だからこそ、使い終わったら次の人に場所を譲る。ほんの少し周囲を見るだけで、お互いに気持ちよく過ごせるはずです。

あの旅館の脱衣所で黙って順番を待った時間は、今でも時折思い出します。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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