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東京湾の最新レストランクルーズ船「海音(AMANE)」2027年デビュー!“大規模”のイメージから“ブティックホテル”な体験に進化

  • 2026.8.7

日本郵船は2026年11月に引退を迎える東京湾レストランクルーズ船「LADY CRYSTAL(レディ クリスタル)」の後継船として、新造船「AMANE(海音)」を発表。2027年の5月ごろの就航を計画している。記者発表会では、東京湾を巡る新たなクルーズ船のポイントとともに、日本郵船が東京湾クルーズ事業を継続する思いが語られた。

新クルーズ船「AMANE」デザインイメージ
新クルーズ船「AMANE」デザインイメージ

あえて定員を半減。「ブティックホテル」のような上質空間と新エンジンで変わる東京湾クルーズ

【写真】桟橋からの乗船イメージ
【写真】桟橋からの乗船イメージ
AMANEは、広く「あまねく」人々に届くよう願いを込めて命名された
AMANEは、広く「あまねく」人々に届くよう願いを込めて命名された

今回発表された新型船「AMANE(海音)」は、船体サイズは全長約48メートル、総トン数約480トン。先代のレディ クリスタル(全長46.5メートル、総トン数346トン)と船体のサイズは同等規模でありながら、定員はレディ クリスタルの190人から約90人(着席時)へと大幅に絞り込まれた。

1階の廊下にはアーティスト・山口幸士さん描き下ろしの作品を展示しギャラリーとしても機能予定
1階の廊下にはアーティスト・山口幸士さん描き下ろしの作品を展示しギャラリーとしても機能予定

貸し切りでのパーティーなど大人数利用のイメージも強いレストランクルーズ船にあって、AMANEのコンセプトに携わる株式会社タイソンズアンドカンパニーの寺田心平さんは「大型のホテルに対して、都会にはブティックホテルと呼ばれるような小規模のホテルがあります。 同じように小規模でデザイン性が高く上質で、人と人との距離が近い、ホスピタリティのある、そのような距離感のシティクルーズ体験を目指そう」と、狙いの一端を明かす。

1階メインダイニングイメージ。日本建築に由来する格天井を現代的に取り入れ、ピラーが空間に出ない構成としている
1階メインダイニングイメージ。日本建築に由来する格天井を現代的に取り入れ、ピラーが空間に出ない構成としている

AMANEの外観・内観デザインは、株式会社ワンダーウォールが担当。同社代表でインテリアデザイナーの片山正通さんは旧岩崎邸庭園にインスピレーションを受け、「東京湾を庭に見立て、そこに浮かぶ邸宅」をコンセプトにしたと話す。西洋の文化を取り込んできた近代日本の“和魂洋才”の精神を踏襲し、船内に新旧の文化の調和を感じながらも、それが主役ではなく東京湾を楽しんでもらうためのデザインを意識しているという。

2階バーラウンジは船尾側に設けられる予定
2階バーラウンジは船尾側に設けられる予定

また、船内2階には6名用の個室2部屋と、船首部分に12名用の個室1部屋を設ける。12名用の個室は前方が円形のラウンドガラスで、個室にいながら東京湾を一望できる圧倒的な開放感が特徴だ。三世代での集まりや家族の特別な記念日など、プライベートな空間で気兼ねなく眺望を満喫できる作りといえる。個室1階のメインダイニングをはじめ、バーラウンジや船首デッキ、フライングデッキなど、多様な過ごし方が楽しめる空間を設けている。

船首に個室を設けることで船内にいながらパノラマビューが楽しめる
船首に個室を設けることで船内にいながらパノラマビューが楽しめる
2階、船首側個室イメージ。船首デッキを備え、室内と外部が連続する構成に
2階、船首側個室イメージ。船首デッキを備え、室内と外部が連続する構成に
2室設けられる予定の6名用の個室は、各個室から個室前のデッキへ直接出られる構成となる
2室設けられる予定の6名用の個室は、各個室から個室前のデッキへ直接出られる構成となる

和のエッセンスを交えたフレンチや、新導入エンジンも見どころ

船内での食事は客船文化の伝統であるフランス料理を引継ぎ、和食経験も持つ料理長が和の技法や現代的なエッセンスを織り交ぜて作る、“日本でしか食べられないフレンチコース”を準備しているという。国産食材にこだわり、日本各地の魅力ある食材や食材などを積極的に取り入れる方針だ。

 1階メインダイニングイメージ
1階メインダイニングイメージ

AMANEの航路は、東京・天王洲アイルの専用桟橋を発着拠点とし、東京湾を巡るクルーズを予定している。航路は当日の気象や海象、他船の運航状況などを踏まえ柔軟に設定するといい、毎回少しずつ異なる表情の東京湾を楽しめることも同船の魅力となると、日本郵船の曽我貴也社長は話す。クルーズで楽しめる眺望には、間近に臨むレインボーブリッジや橋下をくぐり抜ける景色、羽田空港を発着する航空機、大井埠頭に並ぶコンテナターミナルなどを挙げ、「陸上からはなかなか見ることのできない東京湾ならではの風景をご覧いただけます」と語った。

お台場方面コース、東京ゲートブリッジコース、羽田空港方面コースが検討されている
お台場方面コース、東京ゲートブリッジコース、羽田空港方面コースが検討されている

さらに、船の技術的なポイントとして、日本郵船の船舶として初めて水素燃料電池システムを採用した。ディーゼルエンジンに加えてバッテリーを搭載したハイブリッド型電気推進船となり、環境負荷の低減につながるだけでなく、振動や騒音、燃料油特有の臭いの低減も見込まれる。「エンジン音が静かで揺れやにおいが少ない」というメリットは、船酔いが心配な子ども連れやシニア層にとっても、より快適な船上体験をもたらすはずだ。

日本郵船が新クルーズ船にかける「次の時代の客船文化の創造」

日本郵船の曽我社長は、前述の水素燃料電池システムを採用による「環境配慮への取り組み」や「国産食材へのこだわり」と並び、「新たな客船文化の創造」をAMANEの象徴となるポイントに挙げた。

日本郵船の曽我貴也代表取締役社長
日本郵船の曽我貴也代表取締役社長

「戦前の豪華客船の時代から受け継がれてきたおもてなしの精神や、レディ クリスタルが培ってきたサービスの心はそのままに、現代のお客さまにふさわしい新たなクルーズ体験を作り上げます。 歴史を受け継ぐだけではなく、次の時代の客船文化を創造していくことも、この船に込めた大きな思いです」

フライング・デッキのイメージ
フライング・デッキのイメージ

一方、先代に当たるレディクリスタルの就航は、バブル経済が背景にあった1990年。レストランクルーズ船が人気レジャーの一角であった当時と比べ、36年の中で経済状況や消費活動は変化した。他社の東京湾のクルーズ船も船舶老朽化などの事情から運航を終了するケースも見られる。

そうした現状にあって、日本郵船が新造船を投入して東京湾でのレストランクルーズを継続し続ける理由はなんなのか。曽我社長は「(東京湾内でのレストランシップで)今残っているのは本当に数社」と前置きし、東京湾の魅力を語った。

「海から見る景色にどういう風に価値を持って、皆さんにエンジョイいただけるか。そこが私たちが一番訴えたかった部分。東京湾や海から見る東京の景色はすごくいいものがあるし、これはいまだに変わっていない。さらに(レディクリスタル就航当時から)36年も経つと、この景色がどんどん変わっていくんです」

船内デザインのみならず、東京湾ならではの景観を楽しめることをコンセプトにしている
船内デザインのみならず、東京湾ならではの景観を楽しめることをコンセプトにしている

そして曽我社長は「その移ろいを知るのはものすごく価値があることで、我々はこの事業をやめるのではなく、むしろもっと進化させて、皆さんにこの素晴らしいものを感じ入っていただきたい。そのために私たちとして何に力を入れて、どう変わらなきゃいけないか、これを考えた結果が、今回の後継船のプロジェクトでございます」と結んだ。

昨今のレストランクルーズでは、女子会やファミリー層の乗船、インバウンド需要など、往時とは異なる“自分へのご褒美”といった新たな需要も定着しつつある。2027年東京湾に新たに登場する最新のレストラン船・AMANEがもたらす体験に、期待が高まる。

株式会社タイソンズアンドカンパニーの寺田心平さん(写真左)、日本郵船の曽我貴也社長(写真中央)、株式会社ワンダーウォール代表でインテリアデザイナーの片山正通さん(写真右)
株式会社タイソンズアンドカンパニーの寺田心平さん(写真左)、日本郵船の曽我貴也社長(写真中央)、株式会社ワンダーウォール代表でインテリアデザイナーの片山正通さん(写真右)

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