1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 【眼科医が解説】コンタクトで海やプールは大丈夫?水とレンズの注意点

【眼科医が解説】コンタクトで海やプールは大丈夫?水とレンズの注意点

  • 2026.8.6

コンタクトレンズをつけたままプールはNGと聞いたけれど、どうして?必ず外す必要があるの?コンタクトの代替案や、もし付けたままプールに入ってしまったらどうすればいい?そんな疑問について、医療法人社団久視会いわみ眼科理事長岩見久司先生にお伺いしました。

ママ広場

夏になると、患者さんからよく聞かれる質問があります。
「コンタクトレンズをつけたままプールに入っても大丈夫ですか?」
裸眼ではほとんど見えない方にとって、「外してください」と言われても困りますよね。お子さんなら、「プールサイドが見えない方が危ないのでは?」と心配になる保護者の方もいるでしょう。
結論からいえば、コンタクトレンズはできるだけ水に触れさせないのが基本です。
ただし、必要以上に怖がる必要もありません。
大切なのは、なぜ水が問題なのかを知り、もし水に触れてしまったときにどうすればよいかを知っておくことです。

なぜ「コンタクト+水」はよくないの?

まず知っておいてほしいのは、私たちの周囲にある水は「無菌」ではないということです。
プール、海、湖はもちろん、水道水にもさまざまな微生物が存在します。

その中で眼科医が特に注意するものの一つが「アカントアメーバ」です。アカントアメーバは水や土壌など身近な環境に存在する微生物で、まれではありますが、角膜に感染すると「アカントアメーバ角膜炎」という非常に治療しにくい病気を起こすことがあります。

米国CDC(疾病対策センター)は、コンタクトレンズと水について「相性の悪い組み合わせ」として、泳ぐときだけでなく、シャワーや温泉などでもレンズを外すよう勧めています。FDA(米国食品医薬品局)も、水道水、プール、湖、海などの水にコンタクトレンズを触れさせないよう注意しています。

米国眼科学会(AAO)の角膜感染症ガイドラインでも、コンタクトレンズをつけたまま泳ぐこと、シャワーを浴びること、温泉を利用することは角膜感染症のリスクとして挙げられています。

なぜ裸眼よりコンタクト装用時の方が問題になるの?

目にはもともと、涙やまばたきによって異物を洗い流す仕組みがあります。
しかしコンタクトレンズは、角膜の上に長時間乗せて使う人工物です。レンズ表面には微生物が付着・蓄積する可能性があり、そこに水中の微生物が入り込むことで、感染症のきっかけになることがあります。

ですから、「プールの水が少し目に入ったらすぐ感染する」という話ではありません。
問題なのは、水に含まれる微生物がレンズに接触し、眼表面にとどまる機会をつくってしまうことです。
日本でも厚生労働省は、アカントアメーバ角膜炎などを防ぐため、ソフトコンタクトレンズの洗浄や保存に水道水や井戸水を使わないよう注意喚起しています。

ソフトコンタクトは、水を吸って状態が変わることも

もう一つ理由があります。
ソフトコンタクトレンズは水分を含む素材でできています。
CDCは、ソフトコンタクトレンズが水に触れると、膨らんだり形が変わったりして眼に張り付き、角膜表面に小さな傷をつける可能性があると説明しています。その傷が、微生物が侵入するきっかけになることがあります。

プール、海、温泉では、塩分や消毒成分、pHなど水質もそれぞれ異なります。ただ、医学的に最も大切なのは、「どの水なら安全か」を選ぶことではなく、コンタクトレンズをできるだけ水に触れさせないことです。

「塩素消毒されたプールなら大丈夫」ではありません

「プールは塩素消毒しているから大丈夫では?」と思うかもしれません。
しかし、消毒されたプールだから完全な無菌というわけではありません。
FDAは、プール、hot tub、湖、海でのコンタクトレンズ装用について感染症の危険性を指摘し、水泳前にレンズを外すよう勧めています。

日本国内でも、PMDAに登録されている複数のコンタクトレンズの正式な添付文書に「水泳の際はレンズをはずしてください」と明記されています。
つまり、「海外だけの厳しいルール」というわけではありません。

海や温泉ならどう?

海水にも微生物は存在するため、「塩水だから殺菌されていて安全」とは考えない方がよいでしょう。FDAも海水を含め、コンタクトレンズを水に触れさせないよう勧めています。

温泉についても考え方は同じです。
日本の温泉を名指しした国内ガイドラインは多くありませんが、「コンタクトレンズと水をできるだけ接触させない」という原則から考えれば、温泉でもレンズを外して入るのが安全です。

「プールはダメだけど温泉ならOK」と場所ごとに覚えるより、
「コンタクトレンズは水と一緒に使わない」
と覚えておく方が簡単です。

コンタクトを外したら見えない!どうすればいい?

特に近視の強いお子さんでは、裸眼のまま泳ぐことにも不安があります。
その場合、まず検討したいのが「度付きのスイミングゴーグル」です。
CDCも、コンタクトレンズを外すと十分に見えない水泳愛好者には、度付きゴーグルを選択肢として紹介しています。
眼鏡店などで相談すると、近視の程度に合わせたものを選ぶことができます。

ママ広場

それでもコンタクトを使いたい場合は?

医学的な原則は、やはり「水に入る前に外す」です。
ただ、競技や視力の問題などで、どうしてもコンタクトレンズが必要になる場面も現実にはあります。

英国コンタクトレンズ協会(BCLA)は、そのような場合には密着性の高いゴーグルを上から使用し、水中活動の終了後にはレンズを速やかに廃棄することを勧めています。
ただし、これは「ゴーグルをすれば安全」という意味ではありません。あくまで水がレンズに触れる可能性を減らすための方法です。

特に1日使い捨てタイプであれば、水から上がった後は手を石けんでよく洗って乾かしてからレンズを外し、そのレンズは捨てるのが分かりやすいでしょう。
再使用するタイプの場合は、レンズの種類によってケア方法が異なるため、自己流で水洗いせず、指定された方法で洗浄・消毒してください。

うっかり水が入った!そんなときは慌てないで

ここが一番覚えておいてほしいところです。
コンタクトをしたまま一度水に入ったからといって、「感染してしまった」と慌てる必要はありません。
CDCでは、水に触れたレンズは廃棄するか、再使用する場合には適切に洗浄・消毒し、一晩おいてから再装用するよう勧めています。

つまり、
「入ってしまったからもう遅い」
ではありません。
水から出たら、そのまま何時間も装用し続けない。これが大切です。

痛い、赤い、まぶしい、見えにくい。そんなときは眼科へ
ほとんどの場合、水が少し入っただけで大きな問題が起きるわけではありません。
だからこそ、必要以上に怖がる必要はありません。
一方で、

○目が強く痛む
○充血が続く
○涙が止まらない
○光をまぶしく感じる
○ゴロゴロする
○レンズを外してもかすむ、見えにくい

といった症状が続く場合は、コンタクトレンズの使用を中止して眼科を受診してください。
日本コンタクトレンズ学会の診療ガイドラインでも、コンタクトレンズによる重い合併症の一つとして角膜感染症が挙げられています。

コンタクトレンズは、とても便利な医療機器です。
だからこそ、「怖いから使わない」でも「いつも大丈夫だから気にしない」でもなく、正しい知識を持って使うことが大切です。

プール、海、温泉では、まずレンズを外すことを考える。
もし水に触れてしまったら、慌てず、できるだけ早く外す。
そして異常が続けば眼科へ。

怖がりすぎず、軽く見すぎず。「正しく恐れる」ことが、コンタクトレンズと上手に付き合う一番の方法だと思います。

【主な出典】
・Centers for Disease Control and Prevention(CDC) “Healthy Habits: Keeping Water Away from Contact Lenses”, 2025.
・U.S. Food and Drug Administration(FDA) “Contact Lens Risks”.
・American Academy of Ophthalmology. “Bacterial Keratitis Preferred Practice Pattern”. Ophthalmology.
・厚生労働省「ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の適正使用等について」2009年.
・日本コンタクトレンズ学会「コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)」2014年.
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)コンタクトレンズ添付文書.
・British Contact Lens Association(BCLA)“Contact lenses and sport”.

※記事の作成にあたり、校正の補助として生成AIを使用しました。ファストチェックは医師が確認しています。

執筆者

プロフィールイメージ
岩見久司
岩見久司

大阪市立大学医学部卒
医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長
眼科専門医・レーザー専門医
医学博士
兵庫医科大学非常勤講師

経歴
1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁に行っている。
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医。
網膜の病気に将来繋がっていく可能性のある小児の近視が現在急増しており、近視治療にも積極的に取り組んでいる。
令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動を展開している。

いわみ眼科ホームページ

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ