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「やっと治った」息子の“おたふくかぜ”が完治→2週間後、40代父を直撃した陰嚢の激痛と真っ赤な腫れに「薬で治らないなんて…」

  • 2026.9.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「子どもの病気がやっと治ったと思ったのに……」

子どもの感染症が家族にうつるのは、よくあることです。多くは同じような症状で済みますが、おたふくかぜが大人の男性にうつると、思わぬ場所に症状が出ることがあるのをご存じでしょうか。

今回は、お子さんのおたふくかぜのあと、お父さんの陰嚢(いんのう)が腫れてしまったご家族のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

「パパ、それどうしたの!?」

Bさん(41歳・男性)の5歳の息子さんが、おたふくかぜにかかりました。

保育園でも流行っていた様子はなく、どこでうつったのかは分からないまま。幸い軽く済み、家族はほっとしていたそうです。

ところが2週間ほどたったころ、今度はBさんが発熱。翌日には片方の陰嚢が赤く腫れ上がり、触れるだけで顔をしかめるほどの痛みが出ました。

「パパ、それどうしたの!? 早く病院に行って!」

奥さまは大慌て。当のBさんは「子どもの頃、軽いおたふくになったような気がするんだけどなあ」と首をかしげていらっしゃいました。

「残念ですが、元から治す薬はないんです」

泌尿器科で超音波検査を受けたところ、精巣が腫れて炎症を起こしていることが分かりました。息子さんのおたふくかぜの話も合わせて、診断は「ムンプス精巣炎」。

「おたふくかぜのウイルスによる精巣の炎症です。残念ですが、ウイルスを退治して元から治す薬はないんです。痛み止めなどで症状を和らげながら、落ち着くのを待ちましょう」

Bさんと奥さまは、思わず顔を見合わせたそうです。「薬で治らないなんて……」——奥さまの不安は、帰りの車の中でも消えなかったといいます。

ムンプス精巣炎ってどんな病気?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによる感染症です。ウイルスは血液にのって全身に広がるため、耳の下の腫れだけでなく、ほかの臓器に炎症を起こすことがあります。そのひとつが精巣です。

子どもではまれですが、思春期以降の男性がかかると、およそ2〜3割に精巣炎が起こるとされています。耳の下が腫れてから数日〜1週間ほどで出ることが多く、耳の下の腫れがはっきりしないまま起こることもあります。多くは片側だけですが、両側に起こることもあります。

また、おたふくかぜは症状が出ないままウイルスをうつすことがあり、感染源が分からないことも珍しくありません。「子どもの頃にかかったはず」という記憶も、実は別の病気だったということがあります。確実に知りたいときは、血液検査で抗体を調べることができます。

治療は、痛みを和らげることが中心

ムンプス精巣炎の治療は、対症療法(症状を和らげる治療)が中心です。安静にして、陰嚢を下着などで持ち上げるように支え、冷やす。熱や痛みには解熱鎮痛薬を使います。多くは1〜2週間ほどで落ち着きます。抗菌薬(抗生物質)は細菌に効く薬のため、ウイルスが原因のムンプス精巣炎には効果がありません。

Bさんも1週間ほど仕事を休まれ、10日ほどで腫れが引きました。

「まさか子どものおたふくかぜが、自分にこんな形で出るなんて。腫れが引いたときは本当にほっとしました」

気になるのは将来への影響です。炎症のあと、精巣が小さくなることがありますが、片側だけであれば、子どもができにくくなることはまれとされています。心配な場合は、落ち着いてから主治医に相談するとよいでしょう。また、両側に炎症が及んだ場合は精子形成に影響し、将来的な不妊リスクが高まることがあるため、気になる方は回復後に精液検査等をご相談ください。

大人の男性こそ、予防を意識して

おたふくかぜには、ワクチンがあります。日本では任意接種ですが、子どもは1歳と小学校入学前の2回の接種が推奨されています。大人でも、かかったことがなくワクチンも受けていない場合は、接種を検討する価値があります。

なお、陰嚢の急な痛みや腫れは、精巣がねじれる「精巣捻転(せいそうねんてん)」の可能性もあります。こちらは時間との勝負になる病気のため、おたふくかぜの流行時期であっても、自己判断せずすぐに受診してください。

「子どもの病気」と思われがちなおたふくかぜ——家族みんなの予防を見直すきっかけにしていただければと思います。


執筆・監修:小内友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士 女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。 【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

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