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「合計が違う。俺が計算した分より、ずいぶん高いぞ」思わず声を荒らげてしまった客。だが、店員が履歴を照らし合わせた結果

  • 2026.8.3

合計が違うという訴え

その日のスーパーは、閉店前の時間で、どのレジにも長い列ができていました。

私のひとつ前に並んでいた年配の男性が、レシートと財布を見比べながら、店員に食い下がっていたのです。

「合計が違う。俺が計算した分より、ずいぶん高いぞ」

語気は強く、後ろの客が落ち着かない様子で足を踏みかえています。

店員はまだ二十代に見える女性で、私は内心、気の毒だな、と思っていました。

男性はレシートの数字を指で叩きます。

列はさらに伸びていきました。後ろのほうから、小さなため息もいくつか聞こえてきます。

男性は引くつもりがないようで、財布を握った手が、少し震えているようにも見えました。

履歴を照らして

けれど店員は、慌てるでも言い返すでもなく、静かに答えました。

「一緒に確かめさせてください。少しだけ、お時間ください」

「そんなに買った覚えはないんだ。おかしいだろう」

「ええ。ですから、ひとつずつ突き合わせてみましょう」

そう言って、レジに打ち込んだ履歴を画面に呼び出し、買われた品を上から順に読み上げ始めました。

「お茶、ひとつ。豆腐、ひとつ……」

ひとつずつ、男性に見えるよう画面を傾けながら確認していきます。

読み上げる声はどこまでも穏やかで、いつしか男性も、レシートを叩く手を止めて画面に見入っていました。

そして中ほどまで来たところで、店員の指がぴたりと止まったのです。

「同じ品を2回、レジで打っていた」

惣菜のパックが、続けて二度スキャンされていたのです。金額が合わなかったのは、まさにそのぶんでした。

下げられた頭

店員はすぐにレジを開け、多く受け取った分を数えて、男性の手に返しました。

声を荒らげていた相手に対しても、その物腰はまるで変わりません。

「私どもの打ち間違いです。申し訳ありませんでした」

強い口調だった男性が、返された小銭を握って、ばつが悪そうに視線を落とします。

あれだけ食い下がっていた勢いは、もうどこにも見当たりませんでした。

「いや……騒いで、こっちこそ悪かったな」

店員は最後に、顔を上げてこう添えました。

「気づいてくださって、助かりました。ありがとうございます」

その一声で、ぴりついていた列の空気がふっとゆるみました。男性は照れたように頭をかき、袋を持って帰っていきます。次に進んだ私は、その落ち着いた背中に、思わず頭を下げていました。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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