1. トップ
  2. 「子どもの人生は子どもが主役」中学受験に苦しむ親の物語を通して、伝えたかったこととは【著者インタビュー】

「子どもの人生は子どもが主役」中学受験に苦しむ親の物語を通して、伝えたかったこととは【著者インタビュー】

  • 2026.8.3

【漫画】本編を読む

子どものための“伴走者”だったはずが、いつしか母自身が「合格」にとらわれていく……。

とーやあきこさんの『合格にとらわれた私 母親たちの中学受験』(KADOKAWA)は、中学受験を通した母親たちの葛藤を描いた物語。自分がかつて諦めた学校を娘・綾佳に挑戦させることにした真澄。しかし成績が伸び悩み、焦燥感を募らせる。そんな中、ママ友かなえの娘・まりんが下のクラスから綾佳のクラスに上がってくることに。まりんの飛躍を素直に喜べない真澄。それどころかさらに焦り、綾佳にきつく当たるようになってしまう……。一方、2家族と昔から仲が良く成績優秀な優也の母・潤子は、夫が自分の出身校以外を受験するなと息子にプレッシャーをかけることに疑問を感じる。とはいえ、潤子自身も学歴コンプレックスがあり、息子を守りきれないでいた。

数多くの取材を重ねて執筆したという本作。とーやさんに取材の中で見えた昨今の中学受験事情や、自身も経験したという子どもに辛い言葉をかけてしまうときの心境についてなど、話を伺った。

――本作品のラストは、最初から決まっていたのでしょうか?

とーやあきこさん(以下、とーや):綾佳とまりんの受験結果は最初から決めていました。ただ、優也の結果についてはかなり時間をかけて悩みました。一校しか受験せず、不合格だったら公立へ進学するというのはレアケースなので「この展開だけ急に現実味がなくなってしまうのではないか」と担当編集者さんと何度も話し合いました。ただ、優也の持つ「芯の強さ」を輝かせるためにはこの未来が一番しっくりくると思い、この結末に決めました。

――中学受験について描かれた作品は数多くありますが、本作は子どもたち自身が持つ力を強く感じる展開で、そこがとても印象的でした。どんなことを伝えたいと思って描かれたのでしょうか?

とーや:この作品の主人公は母親の真澄ですが、「子どもの人生は子どもが主役」という気持ちをかなり強く持って描きました。作中は親の苦しみにフォーカスしていますが、その隣では親の苦しみと関係なく、自分の力や仲間との支えを胸に、みんなで一緒に受験を乗り越えようとする子どもたちの世界がある。その対比を強く出したいと思っていました。

――なるほど。「子どもが主役」というのはどの親にとっても忘れてはいけないことですね。

とーや:ただ、中学受験は高校や大学受験とは違い親の力がかなり重要になってくるのも事実です。だからこそ「子どもに任せる」「親は子どもの世界と距離を置く」というのは現実的に考えると難しいんですよね。取材をする中で「お子さんが勉強したノートが残っていたら見せてください」とお願いしたことがあったのですが、ほとんどの親御さんが何冊ものノートを持ってきてくださいました。それだけ、中学受験は親御さんの関わりが密なんだと思います。私自身も親なので、当時のお話を伺うだけで胸が熱くなったり、一緒に苦しくなったりすることもありました。ただ、それらの現実を踏まえたうえで「どれだけ親の力が重要であったとしても、主役は子どもだということを忘れてはいけない」という気持ちを強く持って描き切りました。

取材・文=原智香

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ