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帰省や冠婚葬祭で「子どもの障害」どう伝える?親族に隠さず伝えた方が「親子が楽になる」ワケ

  • 2026.8.2
帰省時、親族に子どもの障害のことを親戚に伝えるべきか(画像はイメージ)
帰省時、親族に子どもの障害のことを親戚に伝えるべきか(画像はイメージ)

発達障害のある子どもを育てている保護者の中には、「親戚に障害のことを伝えるべきか」と悩んでいる人が少なくありません。

特に帰省の時期になると、「義理の両親にまだ話していない」「年に数回しか会わない親戚にわざわざ説明する必要があるのだろうか」と迷うこともあるでしょう。

私は、親族にはできるだけ早い段階で正直に伝えた方がよいと考えています。

もちろん、障害について話すことには勇気がいります。中には否定的な反応をされるのではないかと不安になる人もいるでしょう。

しかし、長い目で見ると、隠し続けることの方が親子にとって大きな負担になることが少なくありません。なぜなら、親族との付き合いは帰省だけで終わるものではないからです。

子どもが成長しても、法事やお盆、お正月、結婚式や葬儀など、親族が集まる機会は何度も訪れます。そのたびに障害を隠しながら振る舞うのは現実的ではありません。

障害特性のある子どもは、大勢が集まる場が苦手なことがあります。長時間座っていることが難しかったり、大きな音や慣れない環境で不安になったり、突然その場を離れたくなったりすることもあります。

ところが障害のことを知らない人から見ると、その行動は「しつけができていない」「わがまま」「親の育て方の問題」と映ってしまう場合があります。

実際には本人が困っている状態なのに、周囲にはその苦労が見えません。そして、その誤解は子ども本人だけではなく、親にも向けられます。

「あの母親は注意しない」

「甘やかしている」

「もっと厳しく育てるべきだ」

そんな目で見られてしまうこともあります。

もちろん、すべての親族がそう考えるわけではありません。しかし、何も説明されていなければ、人は自分の経験の範囲でしか物事を理解できません。だからこそ、障害について正しく伝えることには大きな意味があります。

昔は発達障害に対する理解が十分ではありませんでした。

「自閉症は親の育て方が悪いからなる」

「愛情不足が原因だ」

「冷たい心を持った母親、いわゆる『冷蔵庫マザー』が育てるから自閉症になる」という誤った考え方が広く信じられていた時代もありました。

現在でもそうした考えを持つ人がまったくいないわけではありません。しかし、少なくとも今の60代前後の世代であれば、発達障害という言葉を耳にしています。

テレビや新聞、インターネットなどを通して、以前よりも障害への理解は広がっています。もちろん、詳しい知識があるとは限りません。

それでも、「実は自閉症があります」「知的障害があります」と正直に伝えることで、見方が大きく変わることがあります。親族だからこそ、早めに理解してもらうことが大切なのです。

また、私は障害のある子どもを冠婚葬祭から遠ざける必要はないと思っています。

「迷惑をかけるから」

「じっとしていられないから」

「周囲に何か言われるかもしれないから」

そんな理由で参加をあきらめてしまう家庭もあります。

しかし、結婚式や葬儀、法事などは人生の大切な節目です。定型発達の子どもたちは、そのような経験を通して社会のルールや人との関わりを学んでいきます。

障害のある子どもたちにも、同じように経験する機会があってよいのではないでしょうか。

祖父の葬儀

私の父が亡くなったときは、息子は高校生だったのですが、移動支援でヘルパーさんにも協力していただきました。

親族には、「初めてのお葬式なので、笑ってしまったり落ち着かなくなったりするかもしれません。その時のためにヘルパーさんに来てもらっています」と説明しました。

親族席にヘルパーさんが座ることに違和感を持つ人もいるかもしれません。しかし、事前に説明しておけば、多くの場合は理解してもらえます。

成人してからの叔母の葬儀

叔母の葬儀に息子を連れて参列したことがあります。

息子は現在25歳ですが、自閉症と知的障害があり、長時間じっとしていることが得意ではありません。葬儀の最中も、スマートフォンで好きなトイレの動画を見ていました。

喪主に対して「ご愁傷さまでした」と言うように伝えたところ、「ご先祖さまでした」と言い間違えてしまったこともありました。

しかし、その様子を見ても親族は驚きませんでした。なぜなら、祖父の葬儀でもそうだったように息子の障害について幼い頃から伝えていたからです。そのため、私も余計な緊張をせずに参列することができました。

もし障害を隠したまま参列していたらどうだったでしょうか。周囲の反応を気にしながら過ごし、私はずっと神経を張り詰めていたかもしれません。事前に伝えていたことで、お互いに無理をせずに済みました。

現在は移動支援や居宅介護などの障害福祉サービスがあります。受給者証を持っている人であれば、地域によっては冠婚葬祭への参加時に支援を受けられる場合もあります。親だけですべてを抱え込む必要はありません。

利用できる制度やサービスを活用しながら、子どもがさまざまな社会経験を積めるようにしていけばよいのです。

私は、親の死も含めて人生の出来事を経験することはとても大切だと思っています。テレビのニュースで誰かの訃報を聞いても、それはどこか遠い世界の話に感じるかもしれません。

しかし、実際に葬儀に参列し、棺に花を供え、火葬を見送り、お骨を拾う経験は、命や死について考える大切な機会になります。

障害のある子どもだからといって、その機会を奪う必要はないでしょう。むしろ実際に体験することで理解できることもたくさんあります。

悲しいですが、いずれ親のお骨も拾うことになるのですから。

親族への障害のカミングアウトは決して簡単なことではありません。それでも、長い人生の中で親族との関係を続けていくのであれば、どこかのタイミングで伝える必要が出てきます。

その場合、必要以上に隠し続けるのではなく、正直に伝え、理解してもらう努力をした方が親も子も楽になれるのではないでしょうか。

「自閉症という生まれつきの障害があります」

「知的障害があり、言葉の理解に難しさがあります」

「ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします」

その一言が、これから先の親族関係を大きく変えることもあります。そして何より、障害を隠さずに生きられる環境こそが、子どもにとっても保護者にとっても安心できる居場所になるのではないでしょうか。

子育て本著者・講演家 立石美津子

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