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「今日は私服なんだね、お買い物?」偶然を装う近隣住民→退去の時の一言に背筋が凍った

  • 2026.8.2

親切のはずだった

一人で暮らしはじめて間もない頃、近所に住む年上の男性と、顔を合わせるようになりました。

すれ違えば軽く挨拶をする、それくらいの、浅い間柄でした。

玄関を出るたびに、その人は決まって声をかけてきました。

今日も仕事なの、大変だねと、気づかってくれる口ぶりです。

悪い人ではないのだろう。そのときの私は、そう思い込もうとしていました。

ときには、行き先まで言い当てられることがありました。

買い物なの、今日は早いんだねと。

教えた覚えのないことを、どうして知っているのだろう。

小さな引っかかりは、口に出すほどでもないまま、少しずつ胸に積もっていったのです。

偶然が多すぎる

けれど、重なる偶然は、だんだんと偶然と呼べなくなっていきました。

出勤の朝も、遅い帰りの夜も、その人はいつも、私の通り道のどこかにいるのです。

朝は、私が玄関の鍵を閉めるより先に、通りの先へ立っています。

夜は、私が角を曲がるのを待っていたように姿を見せる。

まるで、私の生活の時間割を、そらんじているかのようでした。

決定的だったのは、ある休日でした。

予定もなく、ふと思い立って出かけただけの日です。それなのに、玄関を出た私を見つけて、その人はこう言いました。

「今日は私服なんだね、お買い物?」

いつ、どんな格好で、どこへ向かうのか。まるで、はじめから待ち構えていたかのようでした。親切という言葉では、もう説明がつきませんでした。

気づかされた夜

怖くなった私は、管理会社に事情を話し、その部屋を引き払うことにしました。

場所を変えれば、この落ち着かなさから抜け出せる。そう自分に言い聞かせていたのです。

荷物を運び出す日も、あの人と鉢合わせないよう、時間をずらして動きました。

それなのに、その用心は、最後の最後であっけなく意味を失ったのです。

退去の日、最後の荷物を運び出していると、その人が近づいてきて、そっとつぶやきました。

引っ越してしまったら寂しくなると。

その夜、新しい部屋で一人になってから、ようやく実感がこみ上げてきました。

私が何時に出て、いつ帰り、どんな休日を過ごしていたか。

その全部を、あの人は把握していたのです。

悪気だったのかどうかさえ、今も分かりません。ただ、鍵をかけ直した指先が、しばらく震えていました。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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