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「成人までにかかったお金を返してほしいの」と主張する母。後日、通帳を記帳してわかった母の本当の顔

  • 2026.8.1

冗談だと思って笑っていた

実家に帰るたび、母は同じ話をしていました。私が働きはじめて何年か経ったころからです。

「成人までにかかったお金を返してほしいの」

「習い事も進学も、あんたが一番お金かかったんだから」

笑いながら言うので、私も笑って流していました。母は昔から家計のやりくりを一人で背負ってきた人で、冗談の中に少しだけ本気が混じっているのは、なんとなく分かっていたんです。

それでも、まさか本当に動くとは思っていませんでした。

記帳して分かったこと

気づいたのは、その2年ほど後でした。

まとまった支払いをしようとして残高を見ると、数字が記憶より100万円足りません。

記帳すると、何度かに分けて引き出された履歴が並んでいました。

通帳も印鑑も、実家の私の部屋に置いたままにしていたものです。

台所で通帳を広げると、母はすぐに認めました。

「私が下ろしたのよ。前から言ってたでしょう」

「言ってたけど、いいとは一度も言ってないよ」

「親なんだから、そのくらい当たり前でしょう」

声を大きくしたら終わりだと思って、私は向かいの椅子に座りました。

「何に使ったのか、それだけ教えて」

母は答えませんでした。ただ、湯呑みへ伸ばした手が途中で止まったのが見えます。

使い道を聞かれることまでは、想定していなかったのだと思います。私もそれ以上は問い詰めず、その日は帰りました。

言えばよかった、と聞こえた

2週間後、封筒に入った50万円を渡されました。翌月の朝、残りの50万円が同じ封筒で戻ってきます。

2回に分けて、100万円がそろいました。

「返したんだから、もうごちゃごちゃ言わないでちょうだい」

「うん。受け取ります」

私が封筒を鞄にしまうと、母は何か言いかけて、そのまま口を閉じました。強い顔ではありませんでした。目だけが泳いで、流しのほうへ向いてしまいます。

「……先に言えば、よかったんだよね」

聞こえるか聞こえないかの声でした。聞き返さずに、私は湯呑みを片づけました。

通帳と印鑑は、その日のうちに自分の家へ持ち帰っています。

帰り際、玄関まで出てきた母が、サンダルのまま言いました。

「次に要るときは、ちゃんと言うから」

「うん。言ってくれたら、話は聞くよ」

母とは今も週に一度は電話をしています。100万円のことは、お互いに持ち出しません。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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