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「スーパー、今週は何回行った?」何気ない夫と妻の会話。だが、ただの質問が亀裂を生みそうになったワケ

  • 2026.8.1

財布から1枚も出てこなかった

結婚して二か月目の夜、私は財布の中身をテーブルに広げていました。

ノートに日付と項目、その横に金額を書いていく。学生の頃から続けている習慣です。

向かいで妻も財布を開けましたが、出てきたのは診察券とポイントカードだけでした。

「レシート、もらってない?」

「いつもレジのところで捨ててる」

「レシートがないと、1万円の誤差が追えない」

「1万円って、何の1万円なの」

食費と日用品を足しても、通帳の減りと合わない金額がありました。それが月におよそ1万円です。

追いかけるほど遠くなった

それから私は、聞き方を変えて何度も尋ねました。

「スーパー、今週は何回行った?」

「三回か、四回。……ごめん、覚えてない」

「怒ってるわけじゃないんだ。数字が揃わないのが気になるだけで」

「うん。でも、責められてるみたいに聞こえるよ」

妻は嘘をついていません。使いすぎてもいません。ただ、記録という形で残っていないだけでした。

それでも私はファイルを閉じられずにいて、そのうち妻は買い物の話をしなくなりました。

台所で背中を向けたまま、袋の中身をしまう音だけが聞こえます。細かすぎたのは、こちらでした。

親戚の一言と、その帰り道

その夏、親戚の集まりで伯父に言われました。

「奥さんに全部渡さんから、そういうことで揉めるんだ」

妻は湯呑みを置いて、静かに答えました。

「揉めてはいないです。合う形を探しているところなので」

「うちのやり方は、うちで決めます」

私がそう続けると、伯父は言いかけた口を閉じ、庭のほうへ目をやりました。

隣の伯母が笑って、話は旅行へ戻ります。伯父はそのあと、一度も家計の話に触れませんでした。

帰りの車で、妻が先に口を開きました。

「あの言われ方は嫌だったけど、隣で同じこと言ってくれたのは嬉しかった」

「こっちこそ、家で追い詰めてた」

翌週、二人で紙を広げました。共有するのは家賃と光熱費、それに子どものために積むぶんだけ。

レシートは、その買い物のときだけ持って帰る。残りはお互いの財布のままにする。

1万円の行方は、今も分かりません。追う必要がなくなったので、ノートの空欄は空欄のまま残してあります。かわりに、月末に二人で共有の封筒を開ける時間ができました。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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