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【いま着たい日本ブランド】「ヨーク」待望のウィメンズ始動! 女性が美しく着られるメンズ服

  • 2026.7.31
Hearst Owned

東京ブランドの最前線で取材を続けるエディターが、「いま本当にいい」と感じた日本ブランドを紹介する連載。ブランドを象徴する「シグネチャーピース」、モノづくりの背景にある「ブランドフィロソフィー」、そしてエディターの「推しアイテム」という3つの視点を通して、デザイナーインタビューとともにその魅力に迫る。vol.1は、ユニセックスで楽しめる洗練された服作りで人気を集める「ヨーク(YOKE)」。

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【DESIGNER'S PROFILE】寺田典夫

文化服装学院を卒業後、OEM会社やドメスティックブランドで、企画・生産管理を経て独立。2018年に「つなぐ」をコンセプトに「ヨーク」を始動。素材やパターンにこだわったユニセックスな服作りで支持を集め、2022年に「TOKYO FASHION AWARD」、2025年には「FASHION PRIZE OF TOKYO」を受賞。

【1】シグネチャーピース:「ニット」から始まった原点

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「4種類の糸を複雑に混ぜたジャガードのグレンチェックで、当時はユニセックスな緩いシルエット。最初の展示会後のイベントで、来てくれたカップルたちが『これシェアして着ようよ』と喜んでくれて。数年後に復刻したときも即完売した、僕にとってずっと離せない名品です」

一見すると、クリーンで端正なたたずまい。けれど手に取った瞬間、「これ普通のコートじゃなくてニットコートなの!?」と驚かされる独創的な仕掛けが隠されている――そんな“隠れ家名店”に出会ったときのような高揚感を与える一着こそが、2018年秋冬のデビューシーズンに登場したこのグレンチェックのコートだ。

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「学校を卒業後、ドメスティックブランドの就職活動は軒並みダメで、OEM会社に入って企画生産を経験しました。その後一人でブランドを始めるとき、自分の強みは何かと考えたら、前職でふれた『ニットの可能性』だったんです。糸や編み地、番手の組み合わせで表現が無限に広がる。ファーストシーズンは基本的にはニットとカットの編み地組織だけで、10型ほどのコレクションを構成しました」

一見布帛(織物)で作るような重厚なアウターを、あえてニットの組織で表現するという逆転の発想。パーツ同士をニットテープでつなぎ合わせる仕掛けは、ブランド名である「ヨーク(=つなぐ)」の哲学をスマートに落とし込んだ、まさに知る人ぞ知る名刺代わりのような一着だ。

2027春夏ウィメンズ コレクションより。 Hearst Owned

メンズウェアとしての端正な仕立てでありながら、女性の身体にも自然になじみ、性別を超えて愛されたというこの体験。前職で「日常に着る服」をたたき込まれてきた寺田氏だからこそ生まれたその絶妙なバランス感が、のちに本格始動するウィメンズラインへとつながる自然な第一歩となった。

「ヨーク」のアトリエ。 Hearst Owned

派手な主張で飾るのではなく、「圧倒的な着やすさ」と「人目を惹くひとひねり」の絶妙なバランスで魅せるのが「ヨーク」の真骨頂。そうした独自のモノづくりを支えているのは、現場の職人たちとのチームワークだ。

「一人では絶対に服は作れない。日本の職人さんたちのすさまじいこだわりや技術を、僕らを通して着る人に『つなぐ』。このつながりがなければ、『ヨーク』はここまで大きくなれなかったと思います」

【2】ブランドのフィロソフィー:アートと服を「つなぐ」モノづくり

インスピレーション源となったシュールレアリスムの書籍。右上の扇子は2027年春夏パリコレクションの来場者に配られたもので、異なるものの融合による“違和感”が表現されている。 Hearst Owned

「ヨーク」の根底に流れるのは、「上質でありながら、常に実験的である」というスタンス。3シーズン目に出会ったヨゼフ・アルバースの個展を機に、毎シーズンひとりのアーティストを深く掘り下げるアプローチを継続している。

「『TOKYO FASHION AWARD』を受賞しパリに挑戦するタイミングで、シュールレアリストをテーマにし始めました。海外を意識するあまり強い服を作りすぎてお客さまを突き放しかけた反省もありましたが、パリのショーを経験して気づいたのは、特殊な強さばかりが求められているわけではないということ」

2027春夏コレクションのムードボード。 Hearst Owned

パリのランウェイでも発表された最新コレクションでは、一見タフなデニムに見えて実はレザー、コーデュロイのようで驚くほど軽やかなキュプラなど、私たちの視覚と触覚を心地よく裏切るモダンな質感の転換を仕掛けている。

「日本の尾州ウールのすごさや職人さんたちのマニアックな作り込みは、展示会でラックから服を取ってさわった瞬間にパッと手が止まる。そんな『いい裏切り』のある素材のパワーを、これからも徹底的に追求していきたいですね」

アートやインテリアのこだわりが詰まったアトリエのエントランス。 Hearst Owned

「ヨーク」の服を着る高揚感は、まるで毎シーズンひとりのアーティストの展覧会を訪れる感覚に似ている。アーティストの哲学というフィルターを通し、そのアプローチや独自の技法までもが服の製法やディテールへと昇華されていて、私たちの知的好奇心をさりげなく刺激してくれるのだ。

建築家ミース・ファン・デル・ローエの“MRチェア”をベースに、「ポジタム」とのコラボレーションで制作したチェアバッグ。 Hearst Owned

ただトレンドの服を消費するのではなく、その世界観を体験として楽しませてくれる。こうしたスタンスが、コンテンポラリーなアートやカルチャーを愛するいまの世の中の気分に、すごくフィットしているように感じる。

2026秋冬ウィメンズ コレクションより。 YOKE

こうした枠にとらわれない服作りを深めるなか、2026年秋冬コレクションより満を持して始まったのが待望のウィメンズラインだ。「展示会で女性のお客さまがサイズが大きすぎて諦めてしまう姿を見るのが悔しかった」という寺田氏の思いからスタートしたこのライン。

「メンズ服ならではのカッコよさを諦めずに自分サイズで着たい」という私たちのリアルな欲求に寄り添い、力の強い素材や端正な仕立てはそのままに、女性の身体にきれいに沿うパターンへアップデート。「女性が着たいメンズ服」を「きれいに着られる服」へと進化させた、まさにありそうでなかったコレクションだ。服と人、そして性別の境界線を軽やかにつないできた寺田氏だからこそ到達できた新しい提案が、私たちのデイリーなワードローブに心地よく溶け込んでくれる。

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【3】エディターの推しアイテム

2027春夏は、シュールレアリスムアーティストのメレット・オッペンハイムの思考を着想源に、質感の転換を試みたコレクション。レザーで魅せるデニムや、冷たさとぬくもりが共存するテクスチャーなど、日常をひそかに裏切る美意識が詰まったアイテムたちが登場。今回はそのなかから、エディターが思わず心をつかまれた名品をピックアップ!

①ピグメント コーテッド ウールツイル ダブルブレステッド ジャケット

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羽織った瞬間、体になじむ軽やかな着心地にほれぼれ。上質なウールツイルに顔料加工を施し、縫い目や縁に浮き出る繊細な白いアタリが、まるで着込まれたヴィンテージのような奥行きを醸します。相反する質感の融合が生み出す、マニッシュで洗練されたシルエットに胸が高鳴る一着。

②シアー ファー トップ

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毛足の長いフェイクファーでありながら、驚くほど軽やかで涼しげ。二種類の糸を染め分けたニュアンスのある表情と自然な毛流れが、装いにこなれた雰囲気をプラスします。ゆるやかなシルエットで夏でもサラリとまとえる、新しい質感のサマートップス。

③×Marbot チロリアンシューズ

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販売されるたびに完売する「フット・ザ・コーチャー」をはじめ、「へリュー」や「マルボー」との初コラボなど注目の靴がめじろ押しの今季。私がリアルバイしたのは「マルボー」とのチロリアンシューズ。黒のソフトレザーが醸すフレンチシックな表情と、天候を気にせず履けるラバーソールの実用性を兼ね備えた、まさに足元の最適解!

手持ちのデニムやスラックスにサッと合わせるだけで、いつものスタイルに洗練されたメリハリと新しい風を吹き込んでくれる「ヨーク」のアイテムたち。まだ手にとったことがない人にこそ、この知的な高揚感をぜひ日常で体感してみてほしい。

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