1. トップ
  2. エンタメ
  3. 今“地上波主演”で大活躍2人が共演!2年前、“遅咲き女優”が主演をつとめて話題になった【TBS火曜ドラマ】

今“地上波主演”で大活躍2人が共演!2年前、“遅咲き女優”が主演をつとめて話題になった【TBS火曜ドラマ】

  • 2026.8.20
undefined
松本若菜(C)SANKEI

現在放送中のテレビドラマ『告白-25年目の秘密-』で存在感を放つ松村北斗、そして『君の好きは無敵』で等身大の魅力を見せている松本若菜。そんな二人が共演し、2024年に話題を呼んだドラマがTBS系 火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』だ。

家事は生活をする上で欠かせない要素だ。特に女性にとっては社会的な圧力もある。本作は家事をせずに仕事に打ち込む女性が、何もかも自分で抱え込もうとするシングルファザーと出会い、偽家族を形成する様をコミカルかつ温かく描く作品だ。

しかし、ただコミカルなだけではない、家族とは何か、幸せとは何かを問いかける確かな奥深さも持っている。

家事をしない女性と、家事をする男性の“偽家族生活”

主人公の西園寺一妃(松本若菜)は、アプリ制作会社でバリバリ働く仕事のできる女性。自分の時間とエネルギーを大事にしており、「家事はしない」と決めている。便利家電を駆使しまくり、自分が快適に暮らせる“家事ゼロ”の家も手に入れている。

そんな西園寺の生活に入り込んでくるのが、松村北斗演じる楠見俊直だ。アメリカ帰りの優秀なエンジニアである彼は、クールで無愛想。けれど実は、幼い娘・ルカを一人で育てるシングルファーザーでもある。そんな楠見がある日、マンションの火事で(火事と家事をかけているのだろうか?)住む家を失ったことで、西園寺が自宅に招き入れることから物語が動き出す。

西園寺は家事をしない。一方楠見は、家事も育児も何もかも一人で背負おうとする。正反対の二人が、ひょんなことから同じ敷地で暮らし始め、やがて“偽家族”という不思議な関係を試すことになる。

思いついたら即実行の西園寺と、慎重かつロジカルな楠見の対照的な性格からくるやり取りも軽妙で面白い。西園寺が家事をしないのはルーズな性格ということではなく、自由に、何にも気を遣わずに生活したいから。しかし、他人との共同生活は気を遣うことが多い。そこで、彼女は「家族なら気を遣わなくていい」と考え、楠見父子と偽の家族になることを提案するのだ。

松村北斗が演じる、家事の上手い男の危うさ

楠見俊直という役は、『告白-25年目の秘密-』での松村北斗を観ている人にこそ、改めて見返してほしい存在だ。同作では、純愛と狂気が同居した青年を演じているが、こちらではまるで違う顔を見せてくれる。

楠見は、家事ができる男だ。料理も洗濯も育児も、きちんとやろうとする。亡き妻が作っていた家庭の形を守ろうとし、娘のために“正しい父親”であろうとする。
むしろ、彼は正しい父親や家族の姿に縛られすぎている。そして、他人に気を遣わせてしまうことを極端に嫌う。そんな楠見は何かあるたびに「すみません」と言う。頼ることが苦手で、甘えることができず、他人の手を借りることに罪悪感を抱いている。

クールで仕事のできる男である反面、人に頼るのが苦手。そんな職場と私生活でのギャップある男を好感度の高い演技で魅せてくれる。物語は、そんな楠見の肩の力を西園寺がほぐしていく過程が一つの見どころになっている。

松本若菜だからこそ成立する、等身大の西園寺

一方の松本若菜は、西園寺というキャラクターを実に魅力的に演じている。
松本若菜といえば、“遅咲きの女優”と言われる。確かに、彼女がドラマの主役を張るようになったのはここ数年のことだ。しかし、確かなキャリアに裏付けされた演技力と、飾らない等身大の存在感が視聴者に親近感を与えている。

『君の好きは無敵』でも本作同様にコミカルで、西園寺とは別の方向性で仕事一筋な女性を演じている。現代の働く女性たちの姿を気取らない姿勢で体現できる、今を生きる女優だ。西園寺は、いつも自分の“ワクワクする方”を迷いなく選ぼうとする。世間の常識よりも、自分で選んだ生活を肯定しようとするのだ。彼女が演じると、そういう人物も独善的に見えないから不思議だ。

また、津田健次郎演じるカズト横井の存在も見逃せない。料理系YouTuberとして登場する人物で、サングラス姿に渋い声、どこかミステリアスな雰囲気を漂わせている。ところが実際には、不器用で、誠実で、かなりかわいげのある大人の男性だ。そんなキャラクターを見事に演じる津田は、声だけでなく、その佇まいでも作品全体に貴重なアクセントを加えている。

家族ってなんだろう?

本作のテーマは家族のあり方だ。
西園寺たちは、“偽家族”という形を選ぶ。血縁でも、結婚でもない。けれど一緒にごはんを食べ、子どもを見守り、困った時には助け合う。そこには確かに家族のような温かさがある。これは確かに一般的な家族の形とは異なる。

しかし“偽家族”と一度決めてしまうと、今度はその形に囚われてしまうのだ。本当に好きになってしまったら、“偽家族”じゃなくなってしまう。常識に囚われたくないから始めたものを維持するために、別のことに気を遣わなくてはいけなくなる、という展開になるのが本作のユニークなポイントだ。

松村北斗の若きシングルファザーは頼りなくも応援したくなるし、松本若菜のポジティブな女性像も見ていて楽しい。本作はそんな2人を通して、家族のあり方を見つめなおす。コミカルさとドラマのバランスに優れた一作だ。


出典:火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』TBS公式サイトより

ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi

の記事をもっとみる

注目コンテンツ