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放送から“12年”経っているのに… 「何回バズるんだ」最強ヒロインによる“元祖あざと女子” 時代を越えて惹きつける理由

  • 2026.9.5
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石原さとみ(C)SANKEI

2026年10月期のドラマ『ポリティカルパン』で主演を務める石原さとみ。そんな彼女の過去作として、令和の今もたびたび注目を集めるのが、2014年放送の『失恋ショコラティエ』だ。なかでも石原演じる“サエコさん”こと高橋紗絵子は、ファッションやメイク、恋愛テクニックが繰り返し話題に。放送から12年を経ても色あせない、その魅力を振り返ってみたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

甘くて苦い片想いの物語

水城せとなによる同名漫画を原作とした『失恋ショコラティエ』。主人公は、松本潤演じる小動爽太。製菓学校に通っていた爽太は、高校時代から憧れていた先輩・サエコに夢中だった。

しかし、バレンタインデーを前に手作りチョコレートを拒絶され、サエコには別の恋人がいたことが発覚。失恋した爽太は、それでも彼女を諦めるどころか、振り向かせるためにフランスへ渡り、一流のショコラティエを目指す。

5年後、チョコレート王子として日本へ戻った爽太は、自らの店であるショコラ・ヴィをオープンする。一方のサエコは別の男性との結婚を控えていた。それでも爽太の片想いは終わらない。

爽太が新しいショコラのアイデアを考えるとき、その中心にいるのはいつもサエコだ。彼女ならどんな味を好むのか。どうすれば喜んでくれるのか。叶わない恋への執着が、皮肉にもショコラティエとしての爽太の創造力を刺激していく。

そこに爽太へ思いを寄せる井上薫子(水川あさみ)や、爽太と割り切った関係を続ける加藤えれな(水原希子)らの恋愛も絡み合う。

美しいチョコレートや華やかなファッションに彩られた世界とは裏腹に、描かれる恋はなかなか思い通りにならない。好きな相手から選ばれない苦しさや、誰かを好きだからこそ生まれる嫉妬、期待、執着。タイトル通り、甘さのすぐ隣にほろ苦さがあるのが本作の特徴だった。

令和のアイドルもお手本に 何度もよみがえる“サエコさんファッション”

放送から12年が経った現在、『失恋ショコラティエ』がふたたび注目されるきっかけのひとつになっているのが、石原演じるサエコだ。

淡いピンクやホワイトを基調にした女の子らしいコーディネート、ファーのついたコート、柔らかなニットやワンピース。ゆるく巻いたブラウンのロングヘアに、つややかなピンクのリップ。2014年という時代を感じさせるスタイルでありながらも、近年は平成レトロなファッションとして再評価されている。

SNS上では、現役のアイドルやインフルエンサーが、サエコさん風のファッションやメイクを再現することも。冬になるとファーやニットとともにサエコを思い出す人もいるようで、「サエコさん、何回バズるんだろう」といった声まで見られる。

さらに繰り返し取り上げられるのが、サエコの“あざとさ”だ。

相手を見るタイミングや話し方、お願いの仕方、自分をかわいく見せる仕草。爽太が振り回されるのも納得してしまうほど、サエコは自分が相手からどう見えているのかを理解し尽くしている。

ただし、その振る舞いを単なる“ぶりっ子”として片づけにくいところが、このキャラクターの魅力でもある。

サエコにとって、かわいく見せることはある意味で努力だ。お菓子がおいしそうに見えるよう工夫するのと同じように、自分自身も魅力的に見せる。その徹底ぶりには、どこか潔さすら感じられる。

“あざとい”という言葉が以前より肯定的な意味でも使われるようになった令和だからこそ、サエコの自己演出力があらためて注目されるのかもしれない。

“完璧にかわいい女性”ではない 石原さとみが見せたサエコの孤独

もっとも、『失恋ショコラティエ』におけるサエコの魅力は、ファッションやあざといモテテクニックだけではない。

物語序盤で彼女は、爽太の視点を通して描かれることが多い。いつもかわいらしく、男性を惹きつけ、手を伸ばしても簡単には届かない。爽太の妄想のなかでは、現実の女性というより“理想のミューズ”に近い神秘的な存在でもあった。

ところが物語が進むにつれ、そのイメージに収まらないサエコ自身の人生が見えてくる。

結婚すれば幸せになれるとは限らない。愛されるための振る舞いを知っていても、自分の孤独まで消せるわけではない。爽太が思い描いていた“完璧なサエコさん”の裏側には、結婚生活に悩み、自分の居場所を求める一人の女性がいる。

石原は、爽太の前で見せる甘い表情と、ふとした瞬間に現れる寂しさを行き来しながらサエコを演じた。だからこそ、視聴者にとっても彼女は単純な“悪女”にはなりきらない。

そして、サエコという存在が複雑であるほど、爽太や薫子、えれなたちの恋愛観も浮かび上がってくる。誰かに選ばれたい人もいれば、好きな人に振り向いてもらえない人もいる。傷つかないために関係を割り切ろうとする人もいる。爽太とサエコだけではなく、それぞれ異なる苦しさを描いた群像劇としても、本作は振り返ることができる。

2026年10月には、『ポリティカルパン』で石原が主演を務める。今度演じるのは、不透明な政治の金を狙って政界へ潜入する“女ルパン”こと如月弥生だ。

かわいらしさを武器に周囲を翻弄したサエコを演じてから12年。何度もSNSで掘り起こされる『失恋ショコラティエ』を振り返ると、ファッション以上に、石原が作り上げたサエコという人物そのものが、時代を越えて興味を引き続けている理由が見えてくる。


出典:『失恋ショコラティエ』フジテレビ公式サイト

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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