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朝ドラで“再放送”だからこそ気づけた再発見「出てたっけ!」「ある意味贅沢」本人の経歴が生きた“説得力”のある配役

  • 2026.9.3
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NHK連続テレビ小説『ひよっこ』第5回(C)NHK

再放送中のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』で、思わぬ“懐かしい顔”が視聴者を驚かせている。本作のナレーションを担当する増田明美が、実は本編にも体育教師役として登場しているのだ。毎朝、温かな語り口で谷田部みね子(有村架純)たちを見守っている“声の主”が、今度は物語のなかへ。SNS上でも「出てたっけ!」「ある意味贅沢」と、再放送だからこその新鮮な反応が寄せられている。

※以下本文には放送内容が含まれます。

増田明美が体育教師として本編に登場

昭和39年、東京オリンピック開催を控えた日本から物語が始まる『ひよっこ』。茨城県北西部の奥茨城村で育ったみね子は、東京へ出稼ぎに行ったまま行方不明になった父・実(沢村一樹)を捜すため、高校卒業後に集団就職で上京する。

東京の下町にあるトランジスタラジオ工場・向島電機、洋食屋・すずふり亭と居場所を変えながら、さまざまな人と出会い、自分自身の人生を見つけていくみね子。大きな事件は起こらず、分かりやすい悪役も出てこない。地に足を着けた、市井の人々が交わす言葉や小さな思いやりを丁寧に積み重ねていくところに、本作ならではの温かさがある。

そして、そんなみね子たちを画面の外側から見守っているのが、増田のナレーションだ。

元女子マラソン日本代表で、スポーツジャーナリスト・解説者として知られる増田。マラソン中継では、選手の競技歴だけでなく、人柄や意外なエピソードまで盛り込む“細かすぎる解説”でも親しまれてきた。その持ち味は『ひよっこ』でも存分に発揮され、単なる状況説明にとどまらず、登場人物に語りかけたり、ときには視聴者と一緒になって物語にツッコミを入れたりする。

その“声の主”が、作品のなかにも登場してしまうのが『ひよっこ』らしさだ。増田が演じるのは、みね子たちが通う高校の体育教師・木脇先生。元オリンピック女子マラソン日本代表を体育教師にキャスティングするという、考えてみればあまりにも説得力のある配役である。

再放送だからこそ味わえる驚き

本放送から時間が経った再放送だからこそ、この登場がより楽しく感じられる部分もある。

一度『ひよっこ』を完走した視聴者であっても、半年間にわたる物語の細部まですべて覚えているわけではない。だからこそ、記憶の扉が不意に開く瞬間がある。

むしろ再放送のおもしろさとは、結末を知っていることだけではないのかもしれない。物語の大筋を追う必要がなくなったぶん、初見時には見逃していた小さな表情や台詞、脇役たちの姿まで目に入ってくる。増田の出演も、まさにそんな“再発見”のひとつだろう。

そもそも『ひよっこ』での増田は、一般的なナレーターとは少し立ち位置が違う。

物語を俯瞰して淡々と説明するのではなく、みね子が大変な状況になれば心配し、個性的な人物が現れれば興味津々。登場人物のちょっとした情報まで拾い上げ、時にはドラマそのものにまでツッコミを入れる。視聴者と同じ立ち位置と距離感で、『ひよっこ』を見守っているのだ。

そう考えると、増田は最初から物語の“外”だけにいた存在ではなかったのだろう。視聴者と同じ場所に立ちながら、半分だけ『ひよっこ』の世界へ足を踏み入れているような、不思議な語り手だ。

『ひよっこ』らしい遊び心

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NHK連続テレビ小説『ひよっこ』第15回(C)NHK

増田のナレーションが『ひよっこ』にこれほどなじんだ理由は、登場人物を見る眼差しに愛情があるからではないだろうか。

みね子たちを上から評価するのではなく、すぐそばから見守る。失敗しても笑い飛ばすのではなく、まあ、そういうこともありますよね、と受け止めてくれそうな柔らかさがある。

その距離感は、『ひよっこ』という作品そのものにも重なる。

奥茨城村の家族、向島電機の乙女たち、すずふり亭やあかね荘の人々。登場人物の多くは、歴史に名前が刻まれるような人物ではない。それでも一人ひとりに生活があり、好きな人がいて、夢があって、誰かを心配している。本作は、そんな“名もなき人々”の日常を大切にすくい上げてきた。

増田の語りもまた、彼らの些細な部分を見つけては、こんなところも素敵ですよと視聴者へ手渡してくれるようなものだった。そんなナレーター自身を体育教師として物語の仲間にしてしまうところが、実に『ひよっこ』らしい。


連続テレビ小説『ひよっこ』毎週月曜〜金曜 午後0時30分放送
NHK ONE(新NHKプラス)見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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