1. トップ
  2. エピソード
  3. 「1度も聞いてない、私だけ外された」役員会を欠席していた女性。だが、私が突きつけた事実に絶句

「1度も聞いてない、私だけ外された」役員会を欠席していた女性。だが、私が突きつけた事実に絶句

  • 2026.7.29

公園で浴びせられた言葉

行事の下見で集まった公園でのことだった。

私の顔を見るなり、同じ役員の一人が声を張った。

「1度も聞いてない、私だけ外された」

周りにいた役員が、いっせいにこちらを向いた。

「記念品のことも集金のことも、誰も教えてくれなかった」

娘が小学6年生の年、町内の子供会で親が役員を分け合っていた。

決めることは多く、集まりは1年で12回になった。

その12回ほとんどを、彼女は欠席していた。連絡は毎回している。

候補の日を三つ挙げて都合を聞き、決まった日を改めて伝える。返事はいつも一言だった。

「その日は用があるので」

家庭の事情は外からは見えない。

詮索はせず、決まったことは紙にして配った。

ただ、そこで止めたのは私の落ち度だった。意見を書いて返せる形にしておくべきだったのだ。

それでも、身に覚えのない話は増えていった。

授業参観の日には廊下で呼び止められた。

「さっき私のこと、無視したでしょう」

挨拶はしたつもりだった。何を言い返しても届かず、電話が鳴るだけで肩が上がるようになった。

3学期に開いた一冊

3学期の役員会に、私は一冊のファイルを持っていった。

1年分の連絡の履歴と、出欠の記録が綴じてある。

日付と、その日に誰へ何を伝えたか。それだけだ。

彼女がいつもの話を始めたところで、私はファイルを開いて机の真ん中に置いた。

「これまでの連絡の履歴です」

声は張らない。責める言い方もしない。

紙の上にはこれまでの日付が並び、そのすべてに連絡の記録と、欠席の印がついていた。

彼女の目が、上から下へ動いた。途中で止まり、また上へ戻る。

口が開きかけて、そのまま何も出てこない。伸ばしかけた指が、紙に触れないまま引っ込んだ。

部屋が静かになった。誰も彼女を責めなかった。ただ、手元の紙とファイルを見比べて、小さくうなずいている。

彼女は机の一点を見つめたまま、言葉を失っていた。

勝ち負けの話ではない。来られない人がいる前提で、やり方を変えればいいだけのことだ。

その日を境に、身に覚えのない話はなくなった。残りの任期は拍子抜けするほど穏やかで、集まりのたびに書面が一枚増えただけだった。

卒業式の日、体育館の入口で彼女のほうが先に頭を下げた。私も同じだけ頭を下げた。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ