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「トイレが近い…」“年齢のせい”と放置した60代女性→内服薬を飲んでもよくならず再受診すると…医師に告げられた“思わぬ原因”

  • 2026.9.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「トイレが近いのは、年齢のせいかな」——40代、50代と年を重ねるにつれて、そんなふうに感じたことがある方は多いのではないでしょうか。頻尿や残尿感を、加齢や体質のせいだと片付けてしまうことは珍しくありません。でも、その原因が、内服薬では治せない場所に隠れていることがあります。

今回は、長年の頻尿の原因が「陰唇癒合(いんしんゆごう)」だったという、65歳女性のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

過活動膀胱の薬を飲んでも、一向によくならない

Cさん(65歳女性)は数年前から頻尿に悩まされていました。

近所の内科クリニックを受診したところ「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」と診断され、膀胱の過剰な収縮を抑える薬を処方されて服用を続けていました。ところが、薬を飲んでも症状は一向によくならず——それどころか、残尿感まで強くなってきたように感じていたそうです。

実は、尿の出口が狭くなっている状態で膀胱の収縮を抑える過活動膀胱の薬を服用すると、尿を押し出す力が弱まり、かえって尿を出しにくくさせて残尿を増やしてしまうことがあります。

「年のせいで、こんなものなのかもしれない」と半ば諦めかけていたCさんでしたが、あまりに改善しないことを心配したクリニックの医師の勧めで、泌尿器科を紹介され受診することになりました。

陰唇癒合ってなに?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

泌尿器科では、まず尿の勢いを調べる検査(尿流測定)を行いました。すると、尿の勢いは弱く、排尿後にも膀胱の中に尿が多く残っている状態(残尿)が確認されました。「もしかして」と担当医が外陰部(がいいんぶ)を診察したところ判明したのが、「陰唇癒合(いんしんゆごう)」でした。

陰唇とは、女性の陰部を左右から覆っている、ひだ状の部分のことです。この左右の陰唇が、皮膚同士でくっついてしまい、尿の出口をふさぐように狭くしてしまう状態を陰唇癒合と呼びます。女性ホルモンの分泌が低下することが誘因の一つになると言われており、赤ちゃんに見られることもあれば、閉経後の高齢女性に起こることもあります。

赤ちゃんの場合は健診などで比較的早期に見つかることが多いのですが——高齢女性の場合は、単なる頻尿や加齢による残尿感と間違われてしまうことが少なくありません。ご本人も「陰部を人に見せるのは恥ずかしい」という思いから、症状を伝えづらく感じてしまうこともあるようです。婦人科や泌尿器科を受診しても、外陰部そのものを実際に診察しなければ気づかれないという点が、この病気の見過ごされやすいところです。

剥離処置で、頻尿がうそのように改善

Cさんの場合、癒合していた部分を診察室で丁寧に剥離(はくり)する処置を受けました。処置後、あらためて尿の勢いを調べたところ、以前とは比べものにならないほど良好な結果に。ふさがれていた尿の出口が開いたことで、頻尿も残尿感もみるみる改善していったそうです。

その後は、癒合した部分が再びくっつかないよう、ご自身で軟膏を塗る処置を続けていらっしゃいます。Cさんは「あんなに悩んでいた頻尿が、まさか陰部の癒合が原因だったなんて。もっと早く相談すればよかったです」と話してくださいました。定期的な通院で経過を診てもらいながら、今では以前のような頻尿の悩みもすっかり落ち着いているそうです。

頻尿の薬が効かないときは、外陰部の診察も選択肢に

過活動膀胱の薬を服用しても症状が改善しない場合、その原因が薬では対処できない場所にあることも少なくありません。特に閉経後の女性で、頻尿や残尿感がなかなか良くならないときは、婦人科や泌尿器科で外陰部の診察も含めて調べてもらうことをおすすめします。「恥ずかしいから」と自己判断で通院をやめてしまうと、原因に気づく機会を逃してしまうこともあります。薬が効かないことをご自身のせいだと思い込まず——遠慮せずに医師に相談してみてください。原因がわかれば、驚くほどすっきりと症状が改善することもあります。


監修者:小内友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士 女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。 【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

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