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「最近喘息っぽい…」“市販のアレルギー薬”を飲んで放置→数週間後、足や指に痺れが…40代男性を襲った“病気”に「ヒヤリとする」

  • 2026.9.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「秋の花粉のせいか、最近喘息っぽいんだよな。歳なのか足も痺れて。疲れが溜まっているのかもな」そういって市販のアレルギー薬を飲み、足をもみながら仕事へ向かったTさん(40代男性)。

しかし、数週間後には、足先や指先のジンジンとした強いしびれが悪化し、うずくまるTさんの姿が。ボタンを留めることも、スリッパを履いて歩くことすらできなくなり、受診したところ、これらの症状は全身の血管炎によるものと判明しました。
現在は、治療によって症状も落ち着き日常に復帰していますが、後遺症があったらと思うといまでもヒヤリとすると語っています。

今回は、アレルギーの裏に潜む「血管炎」のメカニズムについて解説します。

ただのアレルギーが「全身の血管を痛めつける」メカニズム

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Tさんを襲ったのは、単なるアレルギーではなく「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)」という難病でした。なぜ、これほど深刻な手足の症状を引き起こすのでしょうか。EGPAは、アレルギーと自己免疫疾患の要素が合わさった病気です。単なる花粉症や喘息だと思っていた裏側で、以下のような連鎖反応が起きています。

【好酸球が神経と血管にダメージを与えるフロー】

  • 白血球(好酸球)の異常増殖:アレルギー反応の過程で、体を守るはずの白血球の一種「好酸球」が、血液中で過剰に増えすぎてしまいます。
  • 細い血管への侵入と炎症(血管炎):過剰になった好酸球が、本来留まるべき粘膜を越えて全身の細い血管に押し寄せ、血管壁を傷つけて血流を滞らせます。
  • 神経への影響と組織ダメージ:血管から栄養をもらっている手足の末梢神経が血流障害を起こし、強い痛みやしびれ、麻痺といった深刻な症状が生じます。

「いつものアレルギー」と「血管炎(EGPA)」の境界線

「秋になるといつも咳が出るから」「アレルギー症状くらいで病院に行っていられない」と考えるのは当然のことです。実際、ブタクサなどの秋の花粉は粒子が小さく気管支まで届きやすいため、喘息のような咳を引き起こしやすい特徴があります。そのため、「ただの秋の花粉症だ」と思い込みやすいのです。

ただし、EGPAは多くの場合、もともと気管支喘息や慢性的な副鼻腔炎(頑固な鼻づまりや鼻ポリープなど)をお持ちの方に発症・悪化しやすい特徴があります。「いつもの喘息や鼻炎の症状だ」と思って過ごしている裏で、「手足のしびれやピリピリとした痛み(多発性単神経炎)」が出現することこそが、この病気の決定的な境界線となります。

これは、増えすぎた好酸球が、神経を養う微細な血管を詰まらせ始めているSOSサインです。放置して神経細胞のダメージが進むと、血管炎の治療を行っても手足の麻痺や感覚障害が後遺症として残ってしまうリスクがあります。アレルギー症状に加えて「正座の後のようなしびれ」や「手足の動かしにくさ」を感じたときは、単なる体調不良として見過ごしてはいけない重要な転換点なのです。

手遅れになる前に確認すべき3つのサイン

血管炎による神経や臓器への深刻なダメージを防ぐため、注意すべき初期サインは以下の3つです。

1. 手足の指先がピリピリ・ジンジンとしびれる

正座をしていないのに足先や指先に強いしびれやピリピリ感が持続するのは、末梢神経の血流が滞っている重要なサインです。患者さんの多くに見られることが知られています。

2. 手足に力が入らない・物を落とす

スリッパが脱げやすい、箸やボタンがうまく扱えないなど、運動神経に影響が出ている証拠です。

3. 大人になってからの喘息発症・悪化と、皮膚の紫斑

中年以降に喘息が新しく発症したり急に重症化したりするとともに、足などに紫色の点状のあざ(紫斑)が出るのは血管炎の特徴的なサインの一つです。

アレルギー?と思ったらぜひ確認を

日々の忙しさから「いつものアレルギーだろう」「疲れのせいだろう」と様子を見てしまうのはごく自然なことであり、ご自分を責める必要は全くありません。

もし喘息や鼻炎などのアレルギー症状に加えて「手足のしびれ」を感じたら、我慢せずにまずはかかりつけの内科や呼吸器内科を受診してみてください。「アレルギー症状と手足のしびれがある」と伝えることで、血液検査等で好酸球の状態を確認でき、必要に応じてアレルギー科やリウマチ・膠原病内科、神経内科などの専門外来へスムーズにつなぐことができます。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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