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「手間もかからないしお得」NISA→変額保険に乗り換えようとした40代女性、20年後の試算額に“ヒヤリとしたワケ”【現役FPは見た】

  • 2026.9.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで保険と資産運用の見直しを専門にしている柴田です。

最近、相談で名前を聞くことが増えた商品が変額保険です。

「保障も運用も一つで安心」という誘い文句に心が動いている方は、今回の40代のAさんのケースをぜひご覧ください。

「NISAより保障が付いてお得ですよ」

Aさん(40代女性)は、NISAで投資信託の積み立てを始めたばかり。

ある日、保険の更新手続きで訪れた窓口で、担当者からこう勧められました。「変額保険なら、投資信託と同じように運用しながら、死亡保障も付いてきます」。

「保障も運用も一つで済むなら、手間もかからないしお得かもしれない!」と心が動いたAさんは、契約書にサインする前に私のところへ相談に来られました。

手数料を並べて知った複雑な仕組み

私がまずお伝えしたのは、「比べるなら、それぞれのコスト構造(手数料)を正しく並べて確認しましょう」という点です。

変額保険は、支払った保険料のすべてがそのまま運用に回るわけではありません。保険料からは死亡保障に必要なコストや、保険会社の維持管理費用(保険関係費)が先に差し引かれ、その残りの資金が投資信託に似た「特別勘定」で運用されます。そして、その特別勘定にも投資信託の信託報酬にあたる運用管理費用がかかるという二重の構造になっています。

一方、AさんがNISAで積み立てているインデックス型の投資信託は、保有コスト(信託報酬)が年0.1%前後に抑えられています。このように、同じ「資産運用」という側面で比較した場合には、控除される費用の仕組みや割合が大きく異なります。

私が両者のコスト構造を並べ、20年続けた場合の手元に残る試算結果をお見せすると、Aさんはしばらく考え込み、「構造をしっかり理解しないままサインするところでした」と胸をなでおろしていました。

月2万円を20年払えば、総額は480万円になります。変額保険は保障と運用が一体となっているため、支払ったお金のうち「何割が保障代で、何割が運用に回り、どの程度の手数料が含まれているのか」という内訳が、パンフレットの運用グラフだけではイメージしにくい面があります。

さらに変額保険は、早期に解約すると「解約控除」という費用が差し引かれ、元本割れしやすい特徴もあります。資産運用における「必要になったら自由に変更・解約できる」という手軽さや柔軟性においては、NISA(投資信託)と変額保険とで性質が大きく異なる点に注意が必要です。

「保障」と「運用」を分けて準備する

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

では、保障と運用の両立を考える場合はどう整理すると良いでしょうか。ひとつの方法として、「保障」と「運用」を分けて準備するという選択肢があります。

万が一の死亡保障が必要な場合は、掛け捨て型の定期保険などを活用することで、毎月手頃な保険料で必要な保障枠を確保できます。一方、資産形成を目的とする場合は、NISAなどを通じて低コストな投資信託を自分で運用していく方法がシンプルで分かりやすいプロトコルです。

このように「保障と運用を分離する設計」をとると、同じ毎月2万円の予算であっても「いくらが保障費用で、いくらが運用に回っているのか」が可視化されます。将来的なライフステージの変化に応じて、保障額だけを見直したり、運用の積立額を変更したりといった柔軟な対応がしやすい点もメリットです。

金融機関や保険の相談窓口で特定の金融商品をおすすめされた際は、提案された内容がご自身の目的やリスク許容度に合っているかを冷静に見極めることが大切です。

変額保険自体が不適切な商品というわけではありません。公益財団法人生命保険文化センターの解説にあるように、死亡保険金には最低保証がある一方で、解約返戻金には最低保証がなく運用成果に応じたリスクを負うなど、独自の特徴を持った商品です。

大切なのは、「勧められたから」とそのまま決めるのではなく、コスト構造やリスクの仕組みをしっかり理解した上で、自分にとって最適な方法を選択することです。手数料やコストの違いを正しく把握しておくことが、納得のいく資産形成につながります。

まとめ

もし窓口で変額保険を提案されたら、まずは「この商品でかかる手数料(保険関係費や運用管理費用など)の全体像はどうなっていますか」と質問し、詳しい試算や説明を確認してみることをおすすめします。提示されたコストや仕組みをNISA(投資信託)など他の選択肢と並べて比較し、納得がいかない場合や疑問が残る場合は、一度持ち帰って冷静に検討するのが安心です。

「保障は保険で備え、運用はNISAなどの低コストな手段で行う」という分離の考え方は、家計をシンプルに整理するうえで大変役立つ指針となります。ご自身の目的に合わせて、何を優先すべきか迷ったときはこの基本に立ち返ってみるとよいでしょう。

ご相談に来られたAさんも最終的には、定期保険とNISAを組み合わせるシンプルな方法を選択され、コスト面・保障面ともに納得されたうえで、浮いた予算を家族旅行の積み立てに回すなど、前向きな資産形成をスタートされました。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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