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要介護3の母と同居する50代娘→「介護はお金がかかるもの」2年間払い続けるが…ケアマネのひと言で判明した“痛恨の払い損”

  • 2026.8.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FP・社会保険労務士の柴田です。

介護のお金の世界には、「知っている人だけが得をする」仕組みがいくつもあります。

今回は、お母様の介護費用を2年間払い続けてきた50代のAさんが、ケアマネジャーのひと言で大きな誤算に気づいたお話です。

「介護はお金がかかるもの」と思い込んでいた

Aさん(50代女性)は、要介護3のお母様と同居しながら働いています。お母様はデイサービスとショートステイを組み合わせて利用しており、毎月の請求は利用料と食費などを合わせて数万円。お母様の年金だけでは足りず、不足分はAさんが負担してきました。

「介護はお金がかかるものだから」とAさんは自分に言い聞かせて、届いた請求書のとおりに2年間払い続けてきました。金額に疑問を持たなかったのは、「請求通りに払うしかない」と思っていたからです。

筆者は社会保険労務士ではあるものの、正直「公的保険は複雑すぎる」というのが正直なところです。Aさんのように、知らずに損をしている方も多いのではないかと思います。

ケアマネの「世帯分離はしていますか」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

転機は、ケアマネジャーとの定期面談でした。雑談の流れで家計の負担がきついとこぼしたAさんに、ケアマネジャーがひと言。「Aさん、世帯分離はしていますか?」

「同居なのに世帯を分ける?」と意味が分からないまま、Aさんは私のところへ相談に来られました。私が試算してみると、誤算の構図がはっきり見えました。お母様自身の収入は年金約80万円だけ。

それなのに、働き盛りのAさんと同じ世帯にいるため、介護費用の負担区分は「世帯の所得」で判定されて重いほうになっていたのです。住民票の世帯を分けてお母様が単独の住民税非課税世帯になれば、負担は月数万円単位で軽くなる計算でした。2年分に換算した金額を見て、Aさんはしばらく言葉を失っていました。

介護費用は「本人」ではなく「世帯」で決まる

介護保険の自己負担には月ごとの上限があり(高額介護サービス費)、上限額は所得区分で変わります。目安を挙げると、一般的な所得の世帯では月44,400円の負担上限が、住民税非課税世帯なら月24,600円に、年金収入が少ない方ならさらに低い区分になります。

この判定に使われるのが世帯の所得です。また、施設やショートステイの食費・部屋代を軽くする「負担限度額認定」は、住民税非課税世帯であることが前提で、預貯金などの資産要件もあります。

つまり、親自身の収入がどれだけ少なくても、同一世帯に現役収入の子がいると、これらの軽減から外れてしまうことがあるのです。そして意外に知られていませんが、世帯分離は同居のままでも可能です。「同じ家に住んでいたら無理」というのは誤解で、家計を別々に管理している実態があれば、住民票の世帯を分けることはできます。

世帯分離の手続きは「届出1枚」

手続き自体は簡単です。住民票のある市区町村の窓口(住民課・市民課など)で「世帯変更届」を出すだけで、手数料もかかりません。必要なものは自治体によって多少違いますが、おおむね次のとおりです。

  • 窓口へ行く人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • マイナンバーカードまたはマイナンバーが記載された住民票の写し
  • 国民健康保険証(加入している場合)
  • 印鑑(不要な自治体も増えています)

同じ世帯の家族なら代理で届出ができるので、親御さんが窓口へ行けなくても問題ありません(すでに別世帯の人が手続きする場合は委任状が必要です)。

ひとつコツを挙げるなら、窓口での伝え方です。世帯分離はもともと「生計が別であること」を前提にした手続きなので、「介護費用を下げたくて」と切り出すと、確認が細かくなることがあります。生活費や食費、光熱費をそれぞれ別に管理している実態をそのまま説明するのが確実です。

ただし「分ければ必ず得」ではない

注意点もあります。世帯分離をすると、国民健康保険や後期高齢者医療の保険料が変わったり、親を会社の健康保険の扶養に入れている場合や扶養控除との兼ね合いで、かえって不利になるケースもあります(住民税上の世帯分離と所得税・住民税上の「扶養控除」は制度上独立しているため)。

一律の正解はなく、それぞれの家計での数字で試算してから判断するのが鉄則です。また、軽減の適用は基本的に申請してからで、過去の分をさかのぼって取り戻すことはできません。Aさんの2年分は、残念ながら戻らないお金になりました。

まとめ

介護の制度をはじめ、日本の公的制度は申請主義が基本です。役所が「あなたにとってもっともお得なのはこうですよ!」と教えてくれません。

親の介護費用を負担している方は、ケアマネジャーか自治体の介護保険窓口で「世帯分離をしたら負担はどう変わりますか」と聞いてみてください。その質問ひとつが、月数万円の差になるかもしれません。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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