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マンション隣人が“共用廊下”にベビーカーを放置していたら…?アディーレ法律事務所の見解は

  • 2026.9.4
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

マンションやアパートなどの集合住宅では、廊下や階段といった共用部分に、傘やベビーカー、自転車、荷物などが置かれていることがあります。日常生活の中で一時的に置くこともあれば、置き場所がなく、継続的に置いているケースもあるでしょう。

しかし、共用部分は多くの住民が利用する場所です。SNSでも、「共用スペースに置かれている私物が気になる」「通行の邪魔になって困る」といった声が見られます。さらに、火災などの緊急時には、置かれた私物が避難の妨げになることも考えられます。一方で、短時間であれば問題ないのか、比較的小さなものであれば置いてもよいのかなど、その線引きに迷うこともあるかもしれません。

では、集合住宅の共用部分に私物を置くことは、法律上どのように考えられるのでしょうか。私物を置く際の注意点や、他の住民の私物に困った場合の適切な対応について、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に伺いました。

ベビーカーや傘もダメ?共用部分に私物を置く際の法的な問題

---マンションやアパートの廊下・階段などの共用部分に、傘やベビーカー、自転車、荷物などの私物を置くことは、法的に問題となる可能性があるのでしょうか? また、置いても問題になりにくいものやケースはありますか?

正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店:

「共用部分は、住民が共同で利用する場所です。廊下や階段などに私物を置くことが直ちに違法になるわけではありませんが、状況によっては、法的な問題になる可能性があります。

分譲マンションの場合、区分所有者は、共用部分をその用法に従って使用することが求められ、建物の管理・使用について、区分所有者の共同の利益に反する行為も禁止されています。そのため、共用部分を私物置き場として利用したり、他の住民の通行の邪魔になる場合などは、区分所有法上問題になる可能性があります。

ただし、国土交通省の『マンション標準管理規約』では、共用部分への物品の設置は原則として認めないとする一方、置き配については、一定の条件で認めることが想定されており、私物を置くことが全て禁止されているとはいえません。賃貸物件でも、共用部分に私物を置くことは、賃貸借契約や建物の利用ルールに違反すれば、移動や撤去を求められる可能性があります。

重要なのは、物の種類や大きさだけで判断するのではなく、ルール上認められているか、置く場所や時間、置き方が適切か、通行や避難の支障にならないかという点です。例えば、管理規約に従った置き配や、搬入・搬出のために短時間一時的に荷物を置く場合などは、問題になりにくいと考えられます。

一方、傘やベビーカー、自転車など比較的小さいものでも、避難や通行の妨げとなれば問題となる可能性があります。さらに、共用部分は避難経路としても利用されるため、避難の支障になる置き方は、消防法や自治体の火災予防条例との関係でも問題になることがあります。実際に問題となるかどうかは、物を置くことで通路の有効な幅がどの程度狭くなるか、避難や通行に支障が生じるのか、置かれている場所や置き方など、具体的な状況によって判断されます。まずはお住まいの共同住宅の管理規約、使用細則、賃貸借契約などを確認してみましょう。」

「少しの間だけ」なら大丈夫?一時的に置く場合も注意が必要

---荷物の搬入や置き配など、一時的に私物を置く場合や、やむを得ない事情がある場合であれば問題ないのでしょうか? また、消防法などとの関係で特に注意すべき場所や置き方はありますか?

正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店:

「一時的に置く場合や、やむを得ない事情があっても、必ず問題にならないとはいえません。例えば、置き配、荷物を自宅に運ぶために短時間廊下に置く、雨で濡れた傘を一時的に置くといった場合は、直ちに大きな問題になるとは限りません。

しかし、廊下に荷物を高く積み重ねたり長時間置いたままにして廊下を塞いでいる、防火戸や非常口の前、避難階段へ向かう通路に私物が置かれているといった状況は、通行や避難の妨げとなるので、問題になる可能性が高まります。国交省の標準管理規約のコメントでも、置き配につき、長時間放置したり、大量・乱雑に放置するなど、避難の支障にならないよう注意すべきとされています。

特に注意したいのが、火災などの緊急時です。一見人が十分に通れるように見えても、火災時には、煙などで見通しが悪い中、多くの住民が一斉に避難することもあり、廊下、階段、避難口、避難器具の周辺などに物が置かれていれば、避難の妨げになる危険があります。

共同住宅では、避難経路の安全を確保するために、消防法令や火災予防条例などに照らし、私物を置くことで、避難に必要な有効な通路幅を狭めたり、非常口への通行や防火戸の開閉を妨げるなど、避難に支障を生じさせるような状態だと、問題になる可能性が高くなります。

『自分にとって便利かどうか』だけで判断せず、他の住民の命の危険につながるおそれがあることを意識し、私物は専用部分に置くようにしましょう。」

勝手に移動・処分するのはNG?共用部分の私物に困ったときの対応

---他の住民が共用部分に置いている私物が通行の邪魔になるなど、困っている場合はどこに相談すればよいのでしょうか? また、自分で私物を移動させたり、処分したりしても問題ないのでしょうか?

正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店:

「たとえルール違反の疑いがあっても、他の住民の所有物であることに変わりはないため、原則として、自己判断でその物を勝手に移動させたり、処分したりすることは避けるべきです。無断で処分等すると、紛失や破損をめぐって、さらに別のトラブルにつながるリスクがあります。

そのため、分譲マンションであれば、管理会社や管理組合、管理人に、賃貸住宅であれば、管理会社、管理人や大家さんに連絡しましょう。特に、集合住宅では、日常的に顔を合わせる住民同士のご近所トラブルが、感情的な対立に発展することもあります。まずは、管理者からルールに基づいた対応をしてもらう方が望ましいでしょう。

管理会社やオーナー、管理組合は、管理規約や使用細則、賃貸借契約などに基づき、注意、警告、撤去の求めといった対応(所有者への連絡、撤去期限の設定、移動、一時保管など)を検討することになります。

管理会社などに相談するときには、どんな私物が、どこに、どのように、いつからいつまで、どのくらいの頻度で置かれているのか、どのように困っているのかを具体的に伝えると、管理者側は対応しやすくなります。必要に応じて、状況のわかる写真や動画などを記録しておくとよいでしょう。」

共用部分は住民みんなが使う場所。まずはルールを確認

集合住宅の共用部分に私物を置くことが、すべて直ちに違法となるわけではありません。置き配や搬入・搬出時など、状況によっては問題になりにくいケースもあります。一方で、傘やベビーカーなど比較的小さなものであっても、置く場所や置き方によって通行や避難の妨げとなれば、問題になる可能性があるとのことです。

特に廊下や階段などは、日常的な通路であるだけでなく、火災などが発生した際には避難経路となります。「少しだけ」「人が通れるから」と自己判断せず、まずは管理規約や使用細則、賃貸借契約などを確認することが大切です。

また、他の住民が置いた私物に困っていても、自分で勝手に移動・処分することは、新たなトラブルにつながる可能性があります。管理会社や管理組合、大家さんなどに状況を具体的に伝え、ルールに沿った対応を求めることが、住民同士のトラブルを防ぐためにも重要といえるでしょう。


監修者:正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店

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正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。
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