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170キロ先、片道3時間の派遣で医師に負担…広すぎる北海道の医療を「リレー」でつなぐ

  • 2026.7.24

広大な北海道のどこに住んでも適切な医療につながれるよう、「医師の派遣」の新しいあり方が、いま模索されています。

消化器内科が専門の旭川医科大学の藤谷幹浩教授はこの日、約170キロメートル離れたオホーツクの枝幸町まで1泊2日で出張し、患者を診察します。

移動中の車内での過ごし方について「朝食をこれから食べますけど、あとは休んでいたり、書類の整理を…」と話します。

タクシーで、片道3時間。
都市部の大病院から地方への出張診療は、これまで当たり前に行われてきました。

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旭川医科大学 地域共生医育センター長、牧野雄一教授

そんな中、旭川医大の地域共生医育センター長、牧野雄一教授は「中継の基幹病院からさらにリレー式で遠隔地の病院に医師を派遣する」方法を説明します。

医師の「リレー」で、地方でも持続可能な医療を目指す取り組みを取材します。


連載「じぶんごとニュース」

医師の派遣で体力的に大きな負担に

枝幸町などのオホーツク地方は、患者に対する医師の人数が少なく、全国でも最低水準です。
旭川医大の消化器内科では、週に1回程度、専門医を枝幸町に派遣しています。
医師によっては、派遣が2週に1回ほどまわってくることもあり、体力的にも大きな負担です。

藤谷教授は「雪道で時間が余計にかかったり、通行止めになったりするので、診療に支障が出ることはある」と話します。

そこで、6月から旭川医大が中心となって始めたのが、医師の『リレー式支援』です。

医師の『リレー式支援』とは

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従来は旭川市から枝幸町に直接、医師を派遣していました。

『リレー式支援』では旭川医大から、旭川市と枝幸町の中間地点で地域の中核病院でもある名寄市立総合病院に、医師を派遣します。
そして、枝幸町へは名寄市の病院から医師を派遣する仕組みです。

こうすることで、診療を必要とするマチまで医師が日帰りで行くことが可能になり、交通費や宿泊費の削減にもつながります。

まずは消化器内科から始まったリレー式支援。
患者だけでなく、若手の医師にもメリットがあると藤谷教授は話します。

「名寄市立総合病院は多くの最新の医療機器がそろっている。指導体制も整っている。医師としてのキャリアを保ちながら地域に貢献できるメリットがある」

なぜ今までなかったのか

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内科合同会議(3月) 提供 旭川医科大学

ではなぜ、これまでこうした仕組みがなかったのでしょうか?
その背景のひとつが「医局」の存在です。
牧野教授はその背景について説明します。

「古くから医師の派遣は所属する医局が差配していた。医局を構成する人数も少しずつ減ってきて、医師のライフスタイルが変わってきたこともあって、従来どおりの派遣が、どこの医局もうまくいかなくなってきた。別な派遣母体・派遣根拠を作ることが求められている」

旭川医大は、2025年3月、複数の内科や行政・近隣の医療機関による会議体を立ち上げました。
「医局の垣根」を越えた医師派遣の検討を進めています。

さらに、患者の住む地域から、専門医のいる病院までの通院時間をシミュレーションして、より効率の高い医師派遣を進めようとしています。

「本当の意味での医療ニーズを掘り起こしたいというのが、私どもの基本的な考えです」と牧野教授は強調します。

拠点となる病院はどう受け止めている?

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医師側の負担が減る一方で、拠点となる病院はどのように受け止めているのでしょうか。

拠点となる名寄市立総合病院の眞岸克明病院長は「大学からの専門医派遣としては理想的な方法」としながらも、「いわゆる『へき地』で求められるのは、『総合診療医』のほうがニーズが高い」としています。

また、「今後は医療機関へのアクセスをどうするかの議論が重要だと感じます」とコメントしています。

今回は消化器内科の専門医によるリレー式支援として始まっていますが、患者さんを総合的に診られる医師も同時に育てていくことが求められています。

「マルチタスク」の診療医育成へ

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旭川医大では現在、『マルチタスク型地域医療医』の育成に力を入れています。
『マルチタスク型地域医療医』は旭川医大での造語ですが、救急災害型、病院総合診療、家庭・在宅医療型、離島・へき地型といった4つのタスクに対応できる「マルチな診療医」のことを指します。

旭川医大の牧野教授らは、北海道の医療ニーズのシミュレーションを行うとともに、「マルチタスク型地域医療医」の育成に取り組み始めています。

北海道はどこよりも広く、厳しい冬の環境があるので、お医者さんの偏りや医療格差をなくすことは、47都道府県で一番難しいレベルだといえます。

だからこそ、こうした前例のない新しい取り組みはうまくいくと全国のモデルケースになる可能性があります。

地方のどこに住んでも安心して暮らせる医療ネットワークの構築に、現場の医師たちは奮闘しています。

取材・文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あま
※掲載の内容は、HBC「今日ドキッ!」放送時(2026年6月8日)の情報に基づきます。

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