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相手の感情が読めない、計算ができない…さまざまな特性を持つ著者が笑いを交えて綴る日々の「やらかし」から、発達障害の理解を深める【書評】

  • 2026.7.24

【漫画】本編を読む

※本稿は、2012年発刊の本書籍に記載された症状名で執筆しています。現在の呼び方とは異なる場合がありますことをご了承ください。

『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』(沖田×華/ぶんか社)は、アスペルガー症候群(AS)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(AD/HD)とさまざまな発達障害を持つ著者が、自身の「やらかし体験」を描いた大人気シリーズだ。

著者の日常は、人との会話が噛み合わない、空気が読めずに場を凍らせてしまう、段取りが立てられず仕事で混乱するなど、とにかく世間で“普通のこと”とされている言動がなかなかうまくいかない。例えば、職場では相手の感情が読めず「帰れ」と怒られてそのまま帰ってしまったり、計算ができずにお釣りを間違えて渡してしまったり、その特性ゆえのハプニングがコミカルに描かれる。

本作の魅力は、それらのエピソードが悲しい失敗談にとどまらない点にある。自分の特性を嘆くだけでなく、たとえ深刻な失敗であっても、どこか自虐的でテンポの良い語り口によって笑いに変換しているのだ。不思議と笑えてしまうのは、その生きづらさの理由を冷静に分析し、自身の特性を理解した上で、長く付き合おうとするポジティブさが伝わるからだ。

そして続編となる『ますます毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』では、コミックを出版した後の周囲の反応や、同じ発達障害を持つ弟や友人のことなど、さらにエピソードの幅が広がり、ますます「やらかしまくり」の日常が描かれる。本作を講義にも使用しているという、和光大学・伊藤武彦教授(当時)との対談も発達障害を理解するための助けになるだろう。

本作は、発達障害の理解を深める入門書のような側面を持ちながら、「ひとりの人間の生活」を描いたエッセイとしても十分に楽しめる。できることとできないこと、その凸凹を抱えながらも日々を懸命に生きていく姿には勇気をもらえるはずだ。失敗だらけの毎日だからこそ見えてくるものがある。そんな前向きな視点をもたらす一冊である。

文=小柳テム

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