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「下の子ね、大学はその程度だったわねえ」事情を知らないまま語る義母。我慢出来ずに返した一言

  • 2026.7.26

二人だけで伺った年始

年始の挨拶に伺ったのは、夫と私の二人だけでした。

子どもたちはそれぞれに予定があって、今年は無理に連れて行かないことにしたのです。

「あら、今年は二人だけなの」

「すみません、みんな都合がつかなくて」

こたつに座ると、義母がみかんの籠をこちらへ押してきました。お茶が出て、年賀状の話がひとしきり続いて、それから話は子どもたちのことになりました。

事情を知らないまま並ぶ言葉

「下の子ね、大学はその程度だったわねえ」

湯呑みを持つ手が止まりました。

「親戚とも話してたんだけどさ」

次男には、長く学校に通えない時期がありました。

それでも現役で進学を決めた春のことを、私も夫もよく覚えています。

義母はその一年を知りません。伝えずにきたのは、こちらの選択でもありました。

話はそのまま上の子に移ります。

「あの子も、来たって一言もしゃべらないじゃないの」

長女は人と会うことに慎重なところがあって、それでも年に何度かは自分から玄関をくぐっていました。

そこまでは、義母には見えていません。

隣の夫は、みかんの筋を一本ずつ取っていました。

玄関で靴を履きながら

「そろそろ失礼します」

コートを羽織って玄関へ下りると、義母も上がり框まで見送りに出てきました。

話はまだ続いています。

「次はちゃんと連れてらっしゃいよ。顔くらい見せるもんでしょう」

靴べらを下駄箱に戻して、顔を上げました。

「子どもの話はもうやめてください」

声を張ったわけではありません。義母の口が、半分開いたまま止まりました。

「……そんなつもりで言ったんじゃないわよ」

「あの子たちには事情があります。お義母さんがご存じないだけです」

言いかけた言葉を、義母は飲み込みました。帯のあたりを、手が何度も往復しています。

廊下の奥から義父が出てきて、私たちの靴の向きを直しました。

「母さん、その話はもうやめないか」

義父はそれだけ言って、台所へ戻っていきます。夫が私の横に並んで、義母のほうを向きました。

「俺も、ずっと同じことを思ってた」

義母は返事をしませんでした。柱に手を置いたまま、三和土のあたりを見ています。

門を出るところで振り返ると、義母はまだ玄関に立っていました。目が合うと、先に会釈をしたのは義母のほうでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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