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「子どもはまだなの?」義実家で初めて囲んだ食卓。だが、質問攻めに感じた違和感

  • 2026.7.24

大皿の並んだ座敷

結婚して最初の夏、夫の実家へあいさつに行きました。

座敷には親戚が集まっていて、唐揚げと煮物の大皿が湯気を立てています。

「まあまあ、たくさん食べてね」

義母は私の取り皿が空くたび、煮物を足してくれました。

夫は従兄弟に囲まれて、野球の話で笑っています。

和やかな席でした。ビールが二巡したころ、正面に座っていた夫の叔母が箸を置いて、こちらへ体を向けます。

「子どもはまだなの?」

唐揚げを取り分けていた菜箸が、皿の上で止まりました。

「…えっと、まだ、これからですね」

途切れない質問

叔母の声は、最初から最後まで明るいままでした。

責めているわけでも、意地悪をしているわけでもありません。私の取り皿に煮物を足しながら、次の質問が続きます。

「何人ほしいの。二人はいるでしょう」

「そうですね、いつかは」

「お仕事は何してるの。産休って取れるところ?」

「……取れる、と思います」

「今のうちよ。うちの子なんて遅かったから、あとが大変で」

助けを求めるつもりで、隣を見ました。

夫は従兄弟の話に相槌を打っていて、こちらの会話は届いていません。

義母は台所へ立ち、ほかの親戚は野球の続きを話しています。

座敷の中で、この会話だけが切り離されているようでした。

「ずいぶん聞くわねえ」

叔母の隣に座っていた親戚が笑いましたが、それは注意ではなく、ただの相槌です。話の向きは変わりませんでした。

「家賃はいくら。車は旦那さんの名義?」

「そのあたりは、夫が」

ひとつ答えるたびに、次が用意されています。

私は笑顔のかたちを崩さず、煮物を口に運び続けました。

帰りの車と、そのあと

「今日、疲れた?」

助手席でシートベルトを締めながら、夫が聞いてきます。

「ううん、みんないい人だったよ」

そう答えてから、窓の外へ目をやりました。(そこまで聞くんだ)と思ったことは、口に出していません。

叔母に悪気がなかったのは、たぶん本当です。

だからこそ、あの席で何と返すのが正しかったのか、いまも分からないままでいます。

あれから何度か義実家へ行き、そのたびに大皿の唐揚げが出ました。おいしいと言って食べています。ただ、あの座敷の畳と、笑顔のまま黙っていた自分の顔だけは、いまでもはっきり思い出せるのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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