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「そんな大げさにするな、平気だろ」高熱で動けない私を放置した夫。だが、自分が寝込んで初めて頭を下げた

  • 2026.7.20

39度の朝、動かない背中

結婚して3年目の冬、朝起きると体が鉛のように重かった。

体温計は39度2分。立ち上がると視界の端が白く滲む。壁伝いにリビングへ出ると、夫はソファに沈んでスマホをいじっていた。

「ごめん、今日は夕飯だけでもお願いできる?」

返ってきたのは、画面から目を離さないままの声だった。

「俺も仕事で疲れてるし、冷蔵庫に何か入ってるだろ」

冷蔵庫にあるのは、卵と使いかけの豆腐だけ。それでも何か作らなければと、ふらつきながら台所に立った。

手に力が入らず、鍋の蓋が音を立てて落ちる。

その背中に、夫の声が飛んできた。

「そんな大げさにするな、平気だろ」

平気なわけがなかった。味噌汁を温め直すだけで額に汗が滲み、流しに手をついて息を整える。その音にも、夫は振り返らなかった。

結局その夜は、戸棚の奥から見つけたレトルトのおかゆで済ませた。夫はそれを平らげて、風呂に入って、いつも通りに眠った。

私は熱の引かない体で、その寝息をずっと聞いていた。

2週間後の寝室

その2週間後、今度は夫が熱を出した。

38度9分。会社を休み、寝室から情けない声で私を呼ぶ。

「頭が割れそうだ…水、持ってきてくれないか」

私はおかゆを炊き、氷枕を替え、薬を用意した。夫は布団の中で子どものように丸くなっている。枕元に湯呑みを置いてから、私は静かに言った。

「あの時の私は、本当にこんなにつらかったんだよ」

夫の目が、天井から私のほうへ動いた。

「……いや、でも、あの時は俺も仕事が」

言いかけて、飲み込む。掛け布団を握った手が止まった。

ちょうどその時、様子を聞きつけた義母から電話が入った。

夫が出られないので私が代わりに出て、そのままスピーカーにする。

受話器の向こうから、はっきりとした声が響いた。

「え、あんた、お嫁さんが39度の時に何もしなかったの?」

夫は何も言い返せなかった。電話が切れたあとも、しばらく沈黙が続いた。

それから夫は布団から半分身を起こし、私に向かって深く頭を下げた。

「…ごめん。本当に、悪かった」

「うん。分かってくれたなら、それでいい」

私はそれだけ返して、湯呑みを下げに立った。

あれから、どちらかが体調を崩した日の役割は決まっている。熱を出した方は寝る。もう片方が、台所に立つ。

先週、私が少し咳をしただけで、夫は買い物袋を提げて帰ってきた。

「今日は寝てて。おかゆ、俺が作るから」

ソファに沈んだままだったあの背中を、私はもう見ていない。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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