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「醤油は期限切れ、捨てといたわよ」留守中に合鍵で入り込む義母。だが、夫の一言で状況が一変

  • 2026.7.20

クッションの位置がずれている

共働きの我が家に、平日の昼間、人はいない。帰宅したときの部屋は、朝出たときのままのはずだった。

最初に気づいたのはクッションだ。右端に寄せて出たはずが、真ん中へきれいに並べ直されている。

「ねえ、朝、ソファ触った?」

「触ってないけど」

夫はテレビから目も離さずに答えた。気のせいだと思うことにした。

けれど翌週は、キッチンだった。

醤油と酢の位置が入れ替わり、油の瓶がラベルをこちらへ向けて立っている。

玄関の鍵はかかっていた。財布の中身も、指輪も、何ひとつなくなっていない。泥棒なら、こんな几帳面な真似はしない。

(じゃあ、誰が入ったの)

電話口で明かされた正体

答えが出たのは、数日後の義母の電話だった。

孫の話、近所の話。その途中で、義母は思い出したように言った。

「醤油は期限切れ、捨てといたわよ」

マグカップを、危うく落としそうになった。

「……あの、それ、キッチンの引き出しの奥にあったものですか」

「そうそう。奥に押し込んであったでしょう。ああいうのは、早く捨てなきゃ」

義母の声は、いいことをしたと信じきった、明るい声だった。

「寝室のクローゼットも散らかっていたから、使いやすいように畳み直しておいたからね」

背中を、冷たいものが走った。引き出しの奥。クローゼットの中。ずれていたクッション。全部が一本につながった。この人は、誰もいない昼間に、この家へ上がり込んでいる。

玄関で差し出した手のひら

電話を切って、すぐに夫を呼んだ。

夫は青い顔で「合鍵、渡したのは……何かあったときのためで」と口ごもった。

「その何かが、今なんだけど」

夫は言い返さなかった。

週末、義母が来たとき、私は玄関先で手のひらを差し出した。

「お義母さん。合鍵を、返していただけますか」

義母の笑顔が、ぴたりと止まった。

「……何よ、それ。人の親切を、そんなふうに言うの」

「留守の家に上がって、寝室の引き出しまで開けるのは、親切とは呼びません」

言葉を探すように口が動いて、そのまま閉じた。義母は助けを求めるように夫を見た。夫は、母親の目を見返して言った。

「母さん。俺が渡した鍵だ。俺が返してもらう」

義母がバッグの底から鍵を取り出すまで、ずいぶん長い時間がかかった。私の手のひらに落ちたそれは、まだ生温かかった。

翌日、業者を呼んで、玄関の鍵そのものを電子キーに換えた。開けられるのは、暗証番号を知っている私と夫だけだ。

それから義母は、来る前に必ず電話を寄こすようになった。ドアの前でインターホンを押し、私が出るのを待っている。

「今日は、上がってもいいかしら」と聞くその声を、私はドア越しに、ゆっくり聞いている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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