1. トップ
  2. 犬が怖かったはずなのに、気になって仕方がなくなってしまった! 元野良の保護犬と姉妹の日常を描いた癒やしのコミック『姉の犬から目が離せない』【書評】

犬が怖かったはずなのに、気になって仕方がなくなってしまった! 元野良の保護犬と姉妹の日常を描いた癒やしのコミック『姉の犬から目が離せない』【書評】

  • 2026.7.14

【漫画】本編を読む

『姉の犬から目が離せない』(やまもと妹子/オーバーラップ)は、犬が苦手だった著者のやまもと妹子氏が、姉夫婦が飼い始めた元野良の保護犬と出会い、少しずつ心を開いていくコミックエッセイである。

やまもと氏にとって、犬とは俊敏で落ち着かず、吠えて、うなって、噛んで、隙あらば何かを食べる危険なイメージのある動物だった。ところが、姉夫婦が飼い始めた保護犬・すずは、そんなイメージとは少し違っていた。吠えない。飛びつかない。食への貪欲さもない。どこか落ち着いていて、時にため息までつく。元野良犬でありながら、想像とはまったく違う飄々とした姿に、最初は戸惑いながらも「あの犬なら仲良くなれるかも」と思い始めるのだ。

犬好きの目線ではなく、どちらかというと犬が怖くて、ちょっと苦手な人の視点から描かれているところが面白い。犬と暮らしている人には当たり前のしぐさや行動でも、苦手意識のある人にとってはひとつひとつが驚くことばかりだ。散歩、ごはん、群れとしてのふるまい、触り方や距離の取り方など、やまもと氏が犬を少しずつ知っていく過程が、笑いを交えながらコミカルに描かれていく。

飼い主たちのすずへの愛情も大きな読みどころだ。姉夫婦がなぜボロボロだった保護犬を選んだのか。すずを迎えた理由や、一見自由でほったらかしだが、実は深い愛情を注いでいる姿には胸が温かくなる。はじめはおっかなびっくりだったやまもと氏も、すずに会うために姉の家を訪れる回数が増え、ついにはモフモフした背中をなでられるまで距離を縮める。その姿はもう、犬好き人間の一員だ。

犬が苦手だったやまもと氏が、すずとの出会いによって、なんだかんだ言いながらも少しずつ見方を変えていく。そしてどんどん目が離せなくなっていく姿は、犬好きの人はもちろん、動物を飼いたいけれど、ちょっと不安に思っている人にも癒やしをとどけてくれるだろう。クスッと笑えてじんわり心が温まる作品である。

文=松永慎

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ