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ブルガリの時計が刻む時の芸術——ローマの官能とスイスの精緻

  • 2026.7.13
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卓越性とイノベーションを極めた多彩な時計ブランドが集う、ウォッチメイキングの国際的イベント「Watches&Wonders Geneve 2026」。同イベントでBVLGARI(ブルガリ)は新作の「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」と「セルペンティ エテルナ」を発表しました。ローマの官能的な美意識と、スイスの厳格なマイクロメカニクス。二つの世界を、ブルガリはいかにして一つの芸術へと昇華させているのでしょうか。ウォッチデザインを統括するプロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクター、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニさんが語るのは、単なる製品の誕生秘話ではありません。官能と精緻、変容と永遠が交差する、ブルガリが体現する美の哲学です。

david atlan / Hearst Owned

<Profile>
ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ/ブルガリ ウォッチ プロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクター

1971年生まれ。国立デザイン大学ローマ校を卒業後、フィアットを経て2001年にブルガリに参画。2007年にブルガリ ウォッチ デザインセンター ディレクターに就任。現在、プロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクターを務める。

制約と自由が出会う、奇跡の融合

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――はじめに、インダストリアルデザインのご経歴をお持ちのファブリツィオさんから見て、ローマのハイジュエラーとしての大胆な美意識と、スイスの精密なマイクロメカニクスという二つの異なる世界を、どのように一つの作品へと昇華させているのでしょうか。

これは私たちが常に向き合う、課題の一つです。なぜなら、ブルガリは非常にユニークなブランドであり、これら二つの異なる魂を、極めて独特な方法で体現する存在だからです。スイスの時計製造の手法は、ジュエリーに対するイタリア的な発想とは異なります。

最初は、手探りのなかで進む時期もありました。しかし今では、この二つの分野を「並走する二本の線」として捉えています。テクニカルな部分はスイスが担い、スタイルはイタリアから生まれる——美意識はイタリアに根ざしているのです。私はスイスに15年ほど住んでいますが、新しいプロダクトを創造するとき、そのアプローチは今もイタリア的な手法を物語っています。

最も興味深いのはまさにここにあります。制約のない自由な創造的視点から生まれるものと、精密な時計製造技術という制約のなかで機能しなければならない世界——この両者が交わることこそ、非常に特別な融合なのです。だからこそ、私たちには「オクト」があり、「セルペンティ トゥボガス」があり、「セルペンティ エテルナ」がある。私たちブルガリというブランドはローマから来ているのですから。

今では、ムーブメントやメカニズムにスイスの精緻が宿りながら、そこにはイタリアの薫りが確かに加わっています。それがなければ、「オクト」は生まれませんでしたし、自動巻きムーブメントを搭載した「セルペンティ」も存在しなかったでしょう。二つの平行線が、いかに交わるか——それこそが私たちの挑戦の核心なのです。

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――今年の「Watches&Wonders Geneve 2026」でも、ブルガリの象徴「セルペンティ」が見事な変容を遂げています。80年近い歴史を持つこのアイコンが、本質を失うことなく時代ごとに新たな輝きを放ち続けられるのはなぜでしょうか。

「セルペンティ」は、私たちが持つ最もアイコニックなシンボルです。もうすぐ80年の歴史を持つ、本物のレガシーです。

今年発表した「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」も、この素晴らしい伝統を雄弁に語るものです。ブルガリは何十年も前に、「トゥボガス」を世に送り出しました。また、ブルガリのアーカイブに見られるスタッズは、建築的な要素を、ジュエリーへと昇華させたと言えるかもしれません。その建築的な要素と、私たちにとって最もアイコニックなパターンを組み合わせることができたのです。

「トゥボガス」と「セルペンティ」は最初から共存しています。そしてこれが、私たちの持つシンボルの中で最も権威ある、最も重要なものだと思います。「トゥボガス」自体は他のブランドでも作れるでしょう。しかし、それを「セルペンティ」のようなラグジュアリーなアイコンへと変容させられるのは、ブルガリだけなのです。

「セルペンティ」が「変容の芸術」たる所以は、ここにあります。蛇が脱皮するように、私たちも毎回その纏い方を変えることが好きなのです。ソティリオ・ブルガリから始まり、ジョルジョとコスタンティーノ、そしてジャンニへと受け継がれてきた「美への情熱」——それが今も私たちを突き動かしています。

ゴールド&スティール——時を超える美の方程式

Matteo Carassale / Hearst Owned
――「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」では、1970年代のブルガリを象徴するゴールドとステンレススティールの先見的な組み合わせが現代に蘇りました。この美学を今の時代に改めて強調した意図は何でしょうか。

ジャンニ・ブルガリは何十年も前に、ゴールドとステンレススティールを融合させたジュエリーを世界に提案した最初の一人でした。「パレンテシ」に代表されるモジュール性のアイデアとともに、異素材の融合というコンセプトを確立したのです。ゴールドの高貴さとスティールの力強さを組み合わせる——当時としては非常に大胆な、革命的な選択でした。

時計においては、ゴールド&スティールの「セルペンティ トゥボガス」は当初から私たちのベストセラーの一つです。ジュエリー部門が改めてこの美意識を再発見したことは、ジャンニの創造性への敬意そのものですが、時計においてはずっと定番として存在し続けてきました。

今作では、ピラミッド型のファセットを持つスタッズがトゥボガスのしなやかな曲線美を際立たせ、ブレスレットを彫刻的なジュエリーへと変貌させています。ポリッシュ仕上げのスタッズとトゥボガスの縄目状のテクスチャが織りなすコントラスト——ゴールドの高貴さとステンレススティールの力強さが生み出すこの二面性こそが、ブルガリにしか語れない美の組み合わせなのです。

上から、時計「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」【YG×ダイヤモンド×ピンクルベライト×カーネリアン、ケース径縦35㎜、クオーツ】¥8,052,000、時計「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」【PG×SS×ピンクルベライト×ソーダライト、ケース径縦35㎜、クオーツ、7月発売予定】¥3,487,000、時計「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」【YG×SS×ダイヤモンド×ピンクルベライト×マラカイト、ケース径縦35㎜、クオーツ、9月発売予定】¥2,453,000、時計「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」【YG×SS×ダイヤモンド×ピンクルベライト×ホワイトマザー・オブ・パール、ケース径縦35㎜、クオーツ】¥2,398,000 Hearst Owned
――マザー・オブ・パール、ソーダライト、マラカイトのダイヤルも、ゴールドとスティールのコントラストをさらに彫刻的に際立たせています。これらを選ばれた意図についてお聞かせください。

スタッズというコンセプトを異なる個性で表現するためのものです。

マラカイトは常に私たちのベストセラーの一つです。色彩豊かなハードストーンは、ブルガリの美学を体現する素材ですから。大地が織りなす深緑の縞模様が、ゴールドのスタッズとともに非常に彫刻的で大胆な印象を生み出します。マザー・オブ・パールは非常に万能で、虹色の柔らかな輝きがどんなスタイルにもなじみます。そしてソーダライトのブルーは、誰もが日常的に身につけられる「パスパルトゥー(万能鍵)」のようなカラーです。

私たちは製品ラインナップを構成するとき、すべてのお客様にとって魅力的なものになるよう心がけています。非常にカラフルなマラカイト、汎用性の高いマザー・オブ・パール、そしてよりエレガントなソーダライトブルー——これらは、色彩全般に対するブルガリの情熱を、異なるアプローチで体現してくれています。

永遠へと向かうかたち

時計「セルペンティ エテルナ」【YG×ダイヤモンド×マザー・オブ・パール、文字盤幅24mm、クオーツ、発売時期未定】価格要問い合わせ Hearst Owned
――新しい「セルペンティ エテルナ」については「クリエイションを超えた、もはやコンセプトと呼ぶべきもの」とおっしゃっていたことが印象的でした。蛇の本質的な部分だけを抽出したようなこのデザインは、どのように形作られたのでしょうか。

「セルペンティ エテルナ」は、2年前にブルガリ140周年を記念して発表されました。アイデアは、セルペンティのシンボルを未来へと投影できるものをデザインすることでした。ブルガリの「永遠のオブジェ」「永遠のシンボル」というコンセプトを、セルペンティを通じて体現しようとしたのです。

そのために私たちは一筆書きのようなシンプルな形状を生み出し、このダイナミックなフォルムで手首を包み込むというアイデアの核心へ、まっすぐに向き合いました。鱗(スケール)もなく、「トゥボガス」のような複雑な組み合わせもない。硬質なブレスレットに、精巧な開閉システムを備えたこのかたちは、見た瞬間にセルペンティを想起させます——そこには、余分な「語り」が一切存在しません。

この時計が発表されたときの反響は、非常に興味深いものでした。今日でも、非常に洗練された教養深い方々に高く評価されています。彼らは「セルペンティ」のシンボルの「凝縮」を瞬時に認識し、極めてユニークなものとして受け取ってくださるからです。

――前衛的なデザインでありながら、手首への心地よいフィット感が卓越しています。「エテルナ(永遠)」を名乗る時計をデザインするうえで、纏う人の肌や感情に寄り添うという観点は、どのように設計に組み込まれているのでしょうか。

アイデアは、手首に非常に快適にフィットするものを作ることでした。ブレスレットは楕円形になっており、手首の自然な形状を模しています。だからこそ、これほど快適なのです——まさに手首のかたちそのものだからです。

開閉システムの設計にも、多くの時間を費やしました。装着時に肌を挟み込むことのないよう、細心の注意を払ったからです。さらにゴールド製であるため、重量のコントロールが非常に重要でした。この時計の開発には2年という歳月を費やしましたが、当初から一貫していたのは、非常にモダンでありながら、手首にとても快適で、身につけたときの正しいフィーリングを持つウォッチを生み出すこと——それが「セルペンティ エテルナ」の背景にある哲学の核心なのです。

122石の色石、そして時を超える遺産へ

時計「セルペンティ エテルナ」【PG×ダイヤモンド×ルベライト×アメシスト×トパーズ×エメラルド×シトリン×サファイア×タンザナイト×パライバトルマリン×ツァボライト×スペサタイトガーネット×トルマリン×アクアマリン×ペリドット、文字盤幅24mm、クオーツ、発売時期未定】価格要問い合わせ Hearst Owned
――ピンクゴールドの「セルペンティ エテルナ」には、ルベライト、アメシストをはじめ122石もの色石が用いられ、選定に約185時間、セッティングに約60時間を費やしたと伺いました。これほど多様な宝石を一つの流れるような作品として完全に調和させるため、サヴォアフェール(匠の技)はどのように機能するのでしょうか。

これはハイジュエリーウォッチを手がける際に、最も緻密さが求められる工程の一つです。アイデアから出発して、理想の石を見つけられることもあります。しかし石の探索こそが、ハイジュエリーウォッチにおいて最も重要なプロセスの一つです。重量・寸法・サイズにふさわしい石と出会うことで、デザインそのものがさらに洗練されていくことも少なくありません。

ローマの宝石鑑定部門は、適切な色と品質の石を見つけるために膨大な時間を費やしています。そして私たちは彼らの提案について大いに議論します。これがハイジュエリーウォッチにおいて最も時間を要する、重要な工程です。

「セルペンティ エテルナ」においては特に、手首を包む広い表面に多くの石が輝くため、大きな石の品質が一層重要でした。15種を超える希少な色石が厳選されています。こうした色彩豊かなオブジェを生み出すことが、ブルガリの伝統の一部だからです。

ヌーシャテル(スイスの拠点)には宝石鑑定の専門家もおり、時に私たち自身が石を選ぶ機会もあります。しかしローマの宝石鑑定部門との対話は日常的に行われています。石の色や品質に見解の相違があるときは、納得がいくまで話し合いを重ねます——彼らこそが、この領域においてブルガリの伝統を守り、私たちを導いてくれる存在なのですから。

――ブルガリの時計を100年後のコレクターたちが手にしたとき、どのような「未来のヘリテージ」として語り継がれてほしいとお考えですか。

ブルガリウォッチの未来は、間違いなく「オクト」と「セルペンティ」を通じて展開されていきます。今日、私たちはスイスのマニュファクチュールにおいて、「セルペンティ トゥボガス」や「セルペンティ セドゥットーリ」にさえ自動巻きムーブメントを搭載できるようになりました。

将来に向けて、「ブルガリ・ブルガリ」「セルペンティ」そして「オクト フィニッシモ」と「オクト」全般は、確固たる存在であり続けるでしょう。「オクト」はメンズコレクションの旗艦、「セルペンティ」はレディースの象徴、そして「ブルガリ・ブルガリ」はレディース&メンズ双方にまたがるアイコンとして、それぞれの役割を果たし続けます。

「オクト」は、私たちのブランドに対するお客様の認識を完全に変えたコレクションだと思っています。未来がどうなるかはその時になればわかりますが、私たちは現代の時計製造において、確かに何か異なるものを提示できたと信じています。

「セルペンティ エテルナ」が体現する純粋な形の探求、「ピッコリッシモ」(世界最小クラスの機械式ムーブメント)」に象徴される技術——それらはすべて、ローマの美の哲学とスイスの精緻な技術が交差し続ける限り、時を超えて輝き続けるでしょう。それこそが、私たちにとっての「未来のヘリテージ」なのです。

ヴァレンツァの聖地から、ブルガリの魂が届く

Matteo Carassale / Hearst Owned

北イタリア、ピエモンテの穏やかな大地に抱かれた古都ヴァレンツァ。19世紀初頭より金細工の名産地として世界に名を馳せるこの地に、ブルガリのジュエリー工房「マニファットゥーラ ブルガリ」はあります。33,000平方メートルへと拡張されたその空間では、多くの職人が伝統と革新の対話を日々紡いでいます。匠の手と最先端の技術が静かに共鳴するこの場所は、ジュエリーに命を吹き込む唯一無二の聖地です。ここでは「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」に用いられているトゥボガスの製作も行われています。

「トゥボガス」は、1948年誕生のジュエリーで、ガス管の曲線から着想を得ています。ワイヤー状のゴールドやスティールを特殊な芯金に巻き付けていく工程は、極めて繊細な集中力を要します。「常に一定の動き、そして一定のテンションをかけ続ける必要があります。そうすることで、均一な曲線が生まれます」——工房の職人の言葉に、鍛錬が宿ります。

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すべての強度と柔軟性は、形そのものに宿ります。職人の手が与える形状が、トゥボガス特有のしなやかさを生み出しているのです。例えば、複数の金属を重ねる複雑な作品においても、「非常にきれいに密着していなければならない」という原則は変わらず、一巻一巻に細心の注意が注がれます。完成後は熱処理によって金属内部の応力を解放し、形状を固定する——。科学と手仕事が静かに融合するこの工程に、ブルガリのクラフツマンシップの真髄があります。

そして今、「セルペンティ トゥボガス スタッズ カプセル」が新たな輝きを放っています。1970年代からブルガリのDNAに刻まれたスチールの強靭さと、ゴールドの気品ある美しさが融合した表現は、日常に寄り添う贅沢の再定義。「マニファットゥーラ ブルガリ」はその精神を一切妥協なく守り続けています。

問い合わせ先
ブルガリ・ジャパン
TEL/0120-030-142
URL/www.bulgari.com/ja-jp

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