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過激思想や権威主義に流されやすい人の「思考スタイル」とは

  • 2026.7.9
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

過激な思想を持っていたり、権威に服従する人は、残念ながら少なくありません。

では、過激思想や権威主義に流されやすい人には、どんな特徴があるのでしょうか?

近年の研究によると、過激思想や権威主義の影響を受けやすい人には、共通する思考的傾向があると示されています。

それは「認知的硬直性」です。

これは変化や不確実性に直面したとき、考え方を柔軟に切り替えることができない傾向のことです。

では、認知的硬直性をもつ人の特徴や、過激思想・権威主義に流されないための思考法などについて見てみましょう。

 

目次

  • 「認知的硬直性」をもつ人の特徴とは?
  • 変化を嫌う人が求めてしまう危険な思想
  • 過激思想に流されないための「思考法」

「認知的硬直性」をもつ人の特徴とは?

長いあいだ、心理学では「人は状況に強く左右される」と考えられてきました。

強い圧力がかかる環境に置かれれば、普通の人でも権威に従い、多数派に同調し、ときには残酷な行動さえ取ってしまうという見方です。

この考え方には重要な意味があります。

人間は、自分が思っているほど独立した存在ではなく、周囲の空気、集団の同調圧力、権力者の指示、社会不安などによって行動を変えてしまうことがあるからです。

実際、過激化について語るときにも、貧困、孤立、不安、ネット上の閉じたコミュニティ、社会的な不満といった「状況」がよく取り上げられます。

もちろん、これらの要因は無視できません。

しかし、同じ状況に置かれたすべての人が、同じように過激な思想へ進むわけではありません。

ある人は強い圧力の中で流されますが、別の人は踏みとどまります。

ある人は権力者の言葉を疑わずに受け入れますが、別の人は「本当にそうなのか」と距離を取ります。

この違いを考えると、過激思想や権威主義を「状況のせい」だけで説明するのは不十分です。

重要なのは、外側の環境に加えて、人の内側にある思考スタイルです。

特に注目されているのが「認知的硬直性」です。

これは、

・新しい情報が出てきても考えを変えにくい

・自分とは違う意見を受け入れない、

・今までのルールが通用しなくなっても同じやり方を続けてしまう

・曖昧さや不確実性を嫌う

といった傾向を指します。

過激主義や権威主義に流されやすい人は、必ずしも知識が足りない人ではありません。

むしろ問題は、情報の量ではなく、情報の受け止め方にある可能性があります。

自分の信じる枠組みに合うものだけを受け入れ、合わないものを拒絶する思考が強いほど、硬い思想に引き寄せられやすくなるのです。

変化を嫌う人が求めてしまう危険な思想

認知的硬直性を理解するうえで分かりやすいのが、「カード分類課題」のような心理テストです。

この課題では、参加者はカードを色や形などのルールに従って分類します。

最初は「赤いカードは赤いカードに合わせる」というように、色で分類すると正解になります。

参加者はそのルールを覚え、うまく得点できるようになります。

ところが途中で、本人には知らされないままルールが変わります。

今度は色ではなく、形で合わせなければ正解にならないのです。

このとき、柔軟な思考を持つ人は、古いルールが通用しなくなったことに気づきます。

そして、試行錯誤しながら新しいルールを探します。

一方で、認知的に硬直した人は、古いルールが間違っている証拠が出ていても、同じやり方を繰り返しがちです。

つまり、現実が変わっているのに、頭の中のルールを変えることが苦手なのです。

これは単なるゲーム上の癖に見えるかもしれません。

しかし研究では、このような認知的硬直性を示す人ほど、独断的で、権威主義的で、イデオロギー的な暴力にも賛同しやすい傾向があるとされています。

極端な思想は、多くの場合、世界を単純に説明してくれます。

「正しい側」と「間違った側」をはっきり分け、複雑な問題に明確な答えを与え、誰に従えばよいかを示してくれます。

曖昧さや変化が苦手な心にとって、こうした思想は強い安心感をもたらします。

不確実な世界の中で、「これだけを信じておけばいい」という硬い枠組みは、魅力的に見えてしまうのです。

そのため、認知的に硬直した人は、変化の多い現実を柔軟に受け止めるよりも、変わらないルール、絶対的な正しさ、強い指導者、明確な敵味方の構図に惹かれやすくなる可能性があります。

過激主義や権威主義は、そのような心にとって、混乱を整理してくれる「わかりやすい地図」のように働くのです。

過激思想に流されないための「思考法」

興味深いのは、認知的に硬直した人が、必ずしも「自分の意見や考えは硬直している」と感じているわけではないことです。

研究者は、最も硬直した思考を示す人の中に、自分では「非常に考えが柔軟だ」と思っている人がいると述べています。

これは、過激主義や権威主義の厄介さをよく表しています。

人は、自分の考えを疑うことが苦手なほど、「自分はちゃんと考えている」と感じやすい場合があるのです。

自分と違う意見を「間違っている」「危険だ」「無知だ」と決めつけるほど、自分の正しさはますます強化されます。

その結果、本人の中では、硬直した思考が「一貫性」や「信念の強さ」として感じられることがあります。

しかし本当の柔軟性とは、何でも受け入れることではありません。

自分の考えを持ちながらも、新しい証拠が出てきたときに見直せることです。

自分と異なる意見に出会ったとき、すぐに敵対者とみなすのではなく、「なぜそう考えるのか」と一度考えられることです。

この意味で、過激思想や権威主義への抵抗力は、特定の思想を否定することだけでは育ちません。

むしろ必要なのは、心(考え方)の柔軟性を鍛えることです。

たとえば、

・自分の直感を一度疑うこと

・慣れた考え方とは違う説明を試してみること

・「自分が間違っているかもしれない」と考える余地を残すこと

こうした習慣が、硬直した考えに飲み込まれないための防波堤になります。

もちろん、状況の力は大きなものです。

社会不安、孤立、怒り、不満、恐怖が重なれば、人は誰でも極端な考えに近づきやすくなります。

しかし、その圧力にどう反応するかは、人によって異なります。

変化を恐れ、単純な答えに強くすがる心は、硬直した思想に引き寄せられやすくなります。

一方で、不確実性に耐え、考えを更新できる心は、権威や集団の圧力から距離を取る力を持ちやすいのです。

まとめ

過激思想や権威主義に流されやすい人の思考スタイルとは、一言でいえば「変化に弱く、確実な答えにすがりやすい思考」です。

それは特定の政治思想や宗教的信念に限られるものではなく、日常の小さな判断にも表れる心の癖です。

だからこそ、私たちは「自分は大丈夫」と思い込むべきではありません。

大切なのは、どんな考えを持つかだけでなく、その考えをどれだけ見直せるかです。

心の柔軟性を失わないことは、過激な思想から自分を守るだけでなく、複雑な社会の中で他者と共に生きるための重要な力なのかもしれません。

参考文献

The thinking style that makes people vulnerable to extremism
https://psyche.co/ideas/the-thinking-style-that-makes-people-vulnerable-to-extremism

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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