1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 子どもに必要なのは自分の体を大切にする力。マンジャロについてクリニック院長加藤先生に伺いました

子どもに必要なのは自分の体を大切にする力。マンジャロについてクリニック院長加藤先生に伺いました

  • 2026.7.8

「マンジャロ」が使ってみたい!と子どもが言ってきたら、どうしたらいい?子どもも使えるのか、市販薬の感覚で購入してもいいのか、よくわからない。そんな悩みについて、たいや内科クリニック院長の加藤大也先生にお伺いしました。

ママ広場

マンジャロは市販で買える?お医者さんにお願いすれば処方してもらえる?

マンジャロは市販薬ではありません。ドラッグストアや通販で自由に購入できる薬ではなく、医師の処方せんが必要な医療用医薬品です。つまり、「欲しいと言えば誰でも出してもらえる薬」ではありません。医師が診察し、2型糖尿病の状態、血糖値、体重、合併症、現在使っている薬、副作用のリスクなどを確認したうえで、必要と判断した場合に処方されます。

最近はインターネット広告やSNSで、「簡単に痩せる」「短期間で体重が落ちる」といった言葉を目にすることがあります。しかし、医療の目的は、ただ体重を減らすことではありません。2型糖尿病であれば、血糖値を安全に改善し、将来の合併症を防ぎ、生活の質を守ることが目的です。薬はそのための手段の一つであり、見た目を短期間で変えるための道具ではありません。

なお、同じチルゼパチドという成分を含む薬には、肥満症治療薬として承認されている「ゼップバウンド」という製剤があります。ただし、マンジャロとゼップバウンドは同じ成分を含んでいても、承認されている目的や使用条件が異なります。肥満症とは、単に体重が重い状態ではなく、体重に関連して高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、脂肪肝、睡眠時無呼吸、膝や腰への負担など、医学的な健康障害がある状態を指します。薬物治療の使用には、BMIや合併症、生活習慣改善の取り組みなど、一定の条件があります。

注意してほしいのは、個人輸入、フリマアプリ、SNS経由で薬を手に入れようとすることです。これは非常に危険です。正規の流通ではない薬は、本物かどうか、成分量が正しいか、保管状態が適切だったかが分かりません。マンジャロのような注射薬は温度管理も重要です。不適切に保管された薬を使えば、効果が不安定になったり、思わぬ健康被害が起こったりする可能性があります。

さらに、医師の診察なしに使うと、副作用のサインを見逃す危険があります。強い吐き気、脱水、腹痛、低血糖、腸閉塞、膵炎などは、早めに対応すれば重症化を防げる場合がありますが、自己判断で使用していると受診が遅れることがあります。特にお子さんや若い方が「ネットで買えるらしい」と話している場合は、絶対に安易に入手させないでください。

医師に「お願いすれば処方してもらえるか」という点についても、答えは「医師が医学的に必要と判断した場合に限る」です。診察では、糖尿病の有無、血糖値、HbA1c、体重、腎機能、肝機能、膵臓や胆のうの病気の有無、妊娠の可能性、他の薬との関係などを確認します。場合によっては、マンジャロ以外の薬や、食事・運動・行動療法の方が適していることもあります。

家庭でできることは、薬を探すことよりも、まず生活の現状を見つめることです。甘い飲み物、夜食、睡眠不足、運動不足、ストレスによる過食など、変えられるポイントはないでしょうか。お子さんの場合は、「痩せなさい」と責めるより、「一緒に健康になろう」と家族全体で取り組むことが大切です。

マンジャロは、必要な人にとっては大切な治療薬です。しかし、必要でない人が安易に使えば、健康を損なう可能性があります。薬は近道ではなく、医師と患者さんが一緒に安全に使うものです。流行ではなく、医学的な必要性で判断することが、ご自身とご家族を守る第一歩です。

ママ広場

子どもがマンジャロを使いたいと言ってきたけれど、どうしよう?

お子さんが「マンジャロを使ってみたい」と言ってきたら、保護者の方は驚き、不安になると思います。最近はSNSで体型に関する情報があふれ、子どもたちも大人以上に「痩せていることがよいこと」と感じやすい環境にいます。

まず知っておいていただきたいのは、日本のマンジャロは、通常、成人に使用する2型糖尿病治療薬として位置づけられており、小児などを対象に有効性と安全性を確認した臨床試験は実施されていないという点です。
そのため、子どもが体重を気にしているからといって、マンジャロを安易に使うものではありません。成長期の体は、大人の体を小さくしたものではありません。骨が伸び、筋肉が増え、脳や内臓が発達し、思春期には性ホルモンの変化も起こります。この時期に食欲を強く抑えたり、食事量を急に減らしたりすると、必要な栄養が不足し、身長、骨密度、筋肉量、月経、集中力、心の健康に影響する可能性があります。
特に、子どもの体重管理では「体重を減らす」ことだけを目標にしてはいけません。子どもにとって大切なのは、成長に必要な栄養を取りながら、健康的な生活リズムを身につけることです。食事を抜く、極端に糖質を減らす、薬で食欲を抑えるといった方法は、短期的に体重が変わっても、長期的には心身の健康を損なうことがあります。

また、思春期は外見への不安が強くなりやすい時期です。友達の一言、SNSの写真、動画の影響で、「自分の体はおかしい」と思い込んでしまうことがあります。お子さんが「マンジャロを使いたい」と言ったときは、すぐに否定したり叱ったりするのではなく、「どうしてそう思ったの?」「いつから気になっていたの?」と聞いてあげてください。その言葉の奥には、体型への悩みだけでなく、自己肯定感の低下、学校でのストレス、摂食行動の乱れが隠れていることがあります。

家庭でまずできることは、体重を毎日問いただすことではありません。朝食を抜いていないか、甘い飲み物が習慣になっていないか、夜遅くまでスマホを見ていないか、睡眠時間は足りているか、便秘はないか、運動する機会が減っていないかを、責めずに一緒に見直すことです。家族で歩く、夕食の時間を少し早める、冷蔵庫に甘い飲み物を常備しないなど、家庭全体で環境を整えることが大切です。

受診を考える目安もあります。急に体重が増えた、のどの渇きや尿の回数が多い、疲れやすい、いびきが強い、月経が不規則、膝や腰が痛い、健診で血糖・脂質・肝機能の異常を指摘された、過食や食べ吐きが疑われる。このような場合は、小児科、内科、糖尿病専門医、肥満症に詳しい医師に相談してください。

子どもに必要なのは、流行の薬ではなく、自分の体を大切にできる力です。「痩せなさい」ではなく、「元気に過ごせる体を一緒につくろう」と伝えてください。薬の名前を口にしたことは、危険な情報に触れたサインであると同時に、「自分の体について悩んでいる」と打ち明けてくれたサインでもあります。その声を、親子で健康について話し合うきっかけにしていただきたいと思います。

まとめ

マンジャロについて知ることは、単に一つの薬を知ることではありません。私たちが「体重」「健康」「子どもの成長」をどう考えるかを見直すきっかけでもあります。SNSでは、短期間で体重が落ちたという体験談が目立ちます。しかし、その裏にある副作用、通院、費用、食事管理、リバウンド、心の負担までは、なかなか見えてきません。

保護者の方に一番お伝えしたいのは、体重は「その子の価値」を示す数字ではないということです。体重は、身長、筋肉、骨格、成長段階、生活リズム、睡眠、ストレス、病気、薬、家庭環境など、さまざまな要素が反映された体からの情報です。その数字だけを見て叱ったり、比べたりすると、子どもは「自分の体は悪いものだ」と感じてしまうことがあります。

まず家庭でできることは、特別なダイエットメニューを作ることではありません。甘い飲み物を水やお茶に変える、夕食をできるだけ遅くしない、朝食にたんぱく質を入れる、野菜や汁物を一品足す、休日に家族で歩く、寝る前のスマホ時間を短くする。このような小さな環境づくりは、子どもだけでなく家族全体の健康を守ります。「あなたが変わりなさい」ではなく、「家族で一緒に整えよう」という姿勢が大切です。
食事制限のしすぎにも注意が必要です。成長期の子どもには、エネルギー、たんぱく質、鉄、カルシウム、ビタミンなどが必要です。体重を減らすことだけを目的に食事を抜くと、集中力の低下、疲れやすさ、便秘、月経不順、骨密度の低下、過食につながることがあります。特に「朝食を抜いて昼に強い空腹がくる」「夜遅くにまとめて食べる」「ストレスで甘いものが止まらない」という状態は、意志の弱さではなく、体と心のリズムが崩れているサインかもしれません。

受診は、叱られる場所ではありません。原因を一緒に整理し、必要な支援を見つける場所です。医師、管理栄養士、看護師、臨床心理士、学校関係者などが関わることで、子どもを一人にしない支援ができます。体重増加の背景には、糖尿病、脂肪肝、睡眠時無呼吸、ホルモン異常、心理的ストレス、摂食障害などが隠れていることもあります。

薬物治療が必要な場合もあります。しかし、それは生活を整える努力を否定するものではありません。薬は、必要な人にとって大切な選択肢です。一方で、薬だけで生活習慣や心の問題がすべて解決するわけではありません。大切なのは、薬を使うか使わないかの二択ではなく、その人の人生を長く支える治療計画を立てることです。

マンジャロは、必要な方に正しく使えば、2型糖尿病治療の大きな助けになる薬です。しかし、流行のダイエット薬として扱うべきものではありません。特に子どもたちには、「痩せているから価値がある」のではなく、「自分の体を大切にできることが、これからの人生を支える力になる」と伝えたいと思います。
体重を減らすことより大切なのは、健康を失わないことです。そして健康とは、血糖値や体重だけでなく、子どもが安心して笑い、自分の未来を信じられることでもあります。薬の情報に出会ったときこそ、親子で体と心の健康について話し合う機会にしていただきたいと思います。

※記事の校閲などに生成AIを使用しています。

参考文献・出典
・PMDA「マンジャロ皮下注アテオス添付文書」
・厚生労働省「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について」
・厚生労働省「最適使用推進ガイドライン チルゼパチド」
・日本糖尿病学会「GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する見解」

執筆者

プロフィールイメージ
加藤大也
加藤大也

たいや内科クリニック院長

愛知県豊田市にある糖尿病や生活習慣病、甲状腺疾患の専門クリニックで、日本糖尿病学会認定教育施設に認定されています。糖尿病専門医・甲状腺専門医・総合内科専門医である院長のもと、専門看護師や管理栄養士が連携した「チーム医療」を提供しています。
定期的な料理教室や市民講座の開催を通じて、病気の治療だけでなく、地域住民の皆様の健康増進や予防医療にも力を入れています。

たいや内科クリニック

元記事で読む
の記事をもっとみる