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「贈与税の対象にならない」“孫名義”で口座開設→50万振り込むが…その後、祖父を襲った“想定外の誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.7.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。ライターの野田晃司です。

孫の入学祝いや進学の節目に、まとまったお金を贈りたい——。そんなとき、「現金をそのまま渡すのは物騒だから」と、孫名義の銀行口座をわざわざ開設して、そこへお金を振り込む祖父母の方も少なくありません。

しかし、その「孫を思う純粋な善意」が、後々になって税務署から思わぬペナルティを受ける「税務トラブル」を招く恐れがあるのをご存知でしょうか。

今回は、良かれと思った行動が裏目に出る「名義預金の罠」と、税金で損をせずに賢く資金援助を受けるためのポイントを、分かりやすく解説します。

孫へのお小遣いに発生する税金

先日、私の知人である40代女性のUさん(仮名)がファイナンシャルプランナーに家計相談をした際、自分の父から息子(Uさんの子)に振り込まれた「入学祝い金」にかかる税金について指摘され、大変驚かれていました。

Uさんの父親は、孫の将来を思って「何かあったときのために使いなさい」と、Uさん(親権者)の協力を得て孫名義の銀行口座を開設し、そこへ50万円を振り込んでくれたそうです。

Uさんは「年間110万円を超える贈与にしか税金はかからない」と知っていたため、今回の50万円については「贈与税の対象にならないから大丈夫」と、まったく気に留めていませんでした。

しかし、ここに税務上の大きな盲点が潜んでいました。

年間110万円以下でも要注意!「名義預金の罠」とは

多くの方が「年間110万円以下の贈与には税金が発生しない(暦年贈与の基礎控除)」と考えているでしょう。

しかし税務上、「誰の名義の口座か」よりも「その口座の実質的な持ち主・管理者は誰か」が厳しくチェックされます。 もし、孫名義の口座であっても、通帳や印鑑、キャッシュカードを祖父母(または親)が管理しており、孫本人がその口座の存在すら知らない場合、税務署からは「実質的な持ち主は祖父母である(名義預金)」とみなされる可能性が極めて高いのです。

法律(民法)上、贈与とは、あげる側ともらう側の双方が「あげます」「もらいます」と合意して初めて成立する「契約」です。

孫が口座の存在を知らず、自分でお金を自由に引き出せない状態では、贈与が成立していません。そのため、口座にお金を入れている段階では「おじいちゃんの財産のまま」と扱われ、将来おじいちゃんが亡くなった際に、高額な「相続税」の課税対象としてペナルティが科されるリスクがあります。

税金をかけずに祖父母から援助を受ける2つの賢い方法

祖父母から孫へ、税金トラブルを避けて安全に資金援助を行うには、国税庁のルールに基づいた以下の2つの方法がおすすめです。

1. 必要な都度、直接「教育費・生活費」として支払う

法律上、扶養義務者(祖父母や親など)から、生活費や教育費として直接支払われる通常必要な財産には、そもそも贈与税はかかりません。

ポイントは、「必要な都度、直接支払う」ことです。 例えば、大学の入学金や塾の費用が必要になったタイミングで、祖父母から直接学校へ振り込んでもらう、あるいは必要な額だけを都度受け取ってすぐに支払いに充てるようにしましょう。これなら、110万円の枠を気にすることなく、非課税で何百万円もの学費を援助してもらうことが可能です。

2. 「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」を利用する

「将来の学費のために、今のうちにまとまった資金を渡しておきたい」という場合は、特例制度を利用する方法があります。

30歳未満の孫などへ教育資金を一括で贈与したい場合、金融機関で専用の口座を開設して手続きを行うことで、最大1,500万円までが非課税となる国税庁の特例措置があります。これを利用すれば、税務署から「名義預金」と疑われることなく、堂々とまとまった資金を孫に遺すことができます。

一括贈与の特例に潜む「相続時の増税トラップ」に注意!

最大1,500万円まで非課税になる「教育資金の一括贈与の特例」は一見とても魅力的ですが、実務上、以下のシビアな改正ルール(注意点)を必ず知っておく必要があります。

  • 使い切れなかった残額は「相続税」の対象に:もし、贈与者であるおじいちゃんが亡くなった時点で、孫がまだお祝い金を使い切っておらず、口座に資金が残っていた場合、その残額は原則としておじいちゃんの相続財産に足し戻され、相続税の課税対象になります。
  • 孫への「2割加算ペナルティ」も適用される:通常、孫が遺産を相続する場合、相続税は2割増し(2割加算)になります。この一括贈与の口座に残った使い残し部分に対しても、おじいちゃんの遺産総額や孫の年齢・状況によっては、無慈悲に「2割加算された相続税」が課せられることになります。

制度を利用する際は、「孫が本当に使い切れる金額か」を冷静に見極め、必要以上の大金を一気に預けすぎないようコントロールすることが大切です。

家族の思いを正しい形で受け継ごう

孫を思う祖父母の純粋な善意が、数年後に思わぬ税金トラブルとして跳ね返ってきては、家族全員が悲しい思いをしてしまいます。

年間110万円という数字だけで安易に判断せず、「孫本人が口座を認識しているか」「通帳や印鑑を孫自身が管理しているか(または孫が使える状態か)」を確認し、正しく管理しましょう。

少しでも不安がある場合は、事前に税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に、家族にとって最適な贈与のカタチを相談してみることを強くおすすめします。


ライター:野田晃司
FP2級を保有する金融特化ライター。難しいお金の話を「誰にでもわかる言葉」で伝えることを得意とする。深くリサーチし、それを初心者にも伝わる言葉へ変換することに定評を受けている。FPとしての知識を活かし、これまでに500本以上の記事を執筆。「お金の不安を安心に変える身近なアドバイザー」として活動中。

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