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中島健人が『ラブ≠コメディ』で見せる“ケンティーらしさ”とは?「自分の映画」と語る先にある、自身の現在地

  • 2026.7.2

“360度全方位イケメン”と称される人気俳優が、嫌々引き受けた王道ラブコメでのアイドルとの共演をきっかけに、人生が大きく動いていく完全オリジナルのエンタテイメント作品、映画『ラブ≠コメディ』(7月3日公開)。情熱的な生き方と愛を真正面から描く本作は、仕事に本気で向き合う姿を映し出す“お仕事映画”としても楽しめる1本だ。

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主人公の神崎麗司は、数々のラブコメ作品で主演を務めた人気俳優。30歳を目前にし、「ラブコメなんて、もうやりたくない!」という想いを抱え、重厚なドラマで俳優として評価されたいと考えている。しかし、届くオファーは、またしても王道ラブコメ。しかも、相手役はアイドルの南風美里だと知らされ、麗司は反発。ところが、美里との出会いが、仕事への向き合い方を見失いかけていた麗司の人生を少しずつ動かしていく。

正反対の麗司と美里が本音でぶつかり合うなか、麗司の人生は大きく動き出す [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.
正反対の麗司と美里が本音でぶつかり合うなか、麗司の人生は大きく動き出す [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.

主人公の毒舌“キラキラ王子”こと神崎麗司を演じるのは、長年“王子様”として絶大な支持を集めている中島健人。迷い、悩み、成長する“節目を迎えた俳優のリアル”を体現。さらに、本作の主題歌をはじめ、劇中ドラマで使用される楽曲を含め、合計3曲を中島自身が書き下ろした。演技、作詞作曲、パフォーマンスと、中島の多彩な才能が惜しみなく詰め込まれた映画に仕上がった。

「現場でもライブでもその場所で中心に立った時に一番大事なものって“熱意”」

脚本を読んだ最初の感想は「『俺、賞とれるし!』って思いました(笑)」とニヤリ。中島演じる麗司が「賞欲しい!」と叫ぶシーンがあるが、そこも含め「麗司が自分の気持ちを代弁してくれている部分もあるし、俺的にはクリアしているみたいなところもあるけれど、もうこれは中島健人の“伝記”みたいな映画として捉えてもらってもおもしろいと思っています」とセルフパロディとして受け止めてもらってもいいと語る。実際、ラストシーンをはじめ、中島自身がアイデアを出すことも多かったそうで、「ラストシーンはホン打ち(脚本の打ち合わせ)の時に提案したアイデアです」と明かした。

中島は、自身をイメージした役との距離感はどのように捉えていたのだろうか。「あまり深く考えずに演じることができて。きっと今後、こういう役をやることは多分ない。ここまでほぼ僕みたいなのってなかなかないから(笑)。だからこそ、全力でやるべきだと思いました」。

ドラマの撮影現場を舞台にした本作 [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.
ドラマの撮影現場を舞台にした本作 [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.

ラブコメとしてだけでなくお仕事映画としても楽しめる本作。「そこがこの映画のポイント。僕自身、仕事に向き合う時に“活力”を非常に大事にしています。現場でもライブでもその場所で中心に立った時に一番大事なものって“熱意”なんです。その熱意がチームのみんなに伝染して、ひとつになっていく。そのプロセスを個人的に非常に大切にしています。麗司も美里に鞭を入れられることによって、本来の自分を取り戻してチームを統率する。そしてひとつのドラマを作り上げていく。そのプロセスが自分と非常に似ていたし、劇中にあるチームみんなでの円陣は、僕のライブ前の円陣と空気感が全く一緒。円陣は最初から脚本にあったけれど、シーンごとに、俺だけど俺じゃない、俺じゃないけど俺、みたいにジグザグやっている感じでした」と、自身と重なる部分が多いだけに、演じながら自分と麗司を行ったり来たりしている感覚があったと説明した。

「僕のなかのいろいろなものが思いっきり発散されている、“自分の映画”という感じ」

ドラマ「彼女はキレイだった」を手掛けた紙谷楓監督との再タッグとなる本作について「もっと弾けっぷりMAXで、もっとふざけた映画になると思っていたけれど、紙谷監督の手腕ですばらしい日本映画になりました。お仕事映画としてちゃんと成立しているし、すごくふざけたつもりのシーンも、(映画の)この世界では標準値みたいなレベルになっている。浮世離れした自分の存在を、ちゃんと地に足をつけた存在として仕上げてくれました。全幅の信頼を置いている監督と一緒にこの作品ができてよかったです」と撮影を振り返りながら想いを言葉にした。

自身の代表作になると、自信をのぞかせる [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.
自身の代表作になると、自信をのぞかせる [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.

出来上がった映画の感想について、「十数年後に『ケンティーの若かりし頃のラブストーリーが観たい!』と思ったら、コレを観るといいと思います。ブラピ(ブラッド・ピット)でいうところの『ジョー・ブラックをよろしく』、レオ(レオナルド・ディカプリオ)でいう『タイタニック』みたいな感じで!」と映画好きの中島らしい例えで、映画の楽しみ方についてもおすすめした。

本作は間違いなく自身の代表作になると胸を張る中島。「最近、人斬りとかセックスセラピストとかを演じたのだけど、正直どっちも重い(笑)。すごく大変な想いをして撮っていて、どちらもすごく演じ甲斐がありました。その一方で、こちらは唯一自分の中で抑制されたものを解き放った作品。溜まりに溜まっていたものをぶっ放しているから、僕のなかのいろいろなものが思いっきり発散されている、“自分の映画”という感じがします」と、“らしさ”溢れる、中島のパブリックイメージそのままの映画であり、自信作でもあると太鼓判。

中島健人から“ケンティーらしさ”が溢れる麗司へのメッセージは? 撮影/梁瀬玉実
中島健人から“ケンティーらしさ”が溢れる麗司へのメッセージは? 撮影/梁瀬玉実

作中では麗司が、30歳を目前に葛藤する姿も描かれるが、中島から麗司に送りたい言葉があるという。「あの気持ちはよくわかる。ラブコメ系のオファーしか来ない。ドラマのオファーが来ない。すごくわかる。だって僕も15、6年くらい出てないから(笑)。それでも、言いたいことがあるんです。お前の作るものを楽しみにしているお客さんが、どれくらいいると思ってんの?って。その人たちのために置かれた場所で咲けよ!と言いたいです」と力を込め、「いまの僕の理論としてはそう思います。ただ、この考えになれたのは僕もこの数年です」と正直に話す。「なんでこういうオファーが来ないんだろうとか、正直ありました。いまもなお叶っていないことももちろんたくさんあるけれど、まず自分がやっていることをフルアウトすれば、結果が出ることもちゃんとわかっています。それがこの社会を生き抜くうえでの礼節だと思っています」とまっすぐな目で語った。

「TBS火曜夜10時のドラマの主題歌に流れていそうなメロディーを意識し、僕の願望が詰まっている」

作品へのアイデアだけでなく、現場に対しても中島のアイデアが取り入れられた。本作では「ファミリーデイ」が設けられ、スタッフ、キャストの家族を招く場が用意されたという。「パパ、ママが現場でなにをしているのか、わかってないお子さんたちがすごく多い。ずっと家に帰ってこないし、帰ってきても深夜だし、1週間家にいないってこともある仕事。家族のために頑張っている姿を見ることで、家族みんながすてきな時間を過ごすことができる。そして、パパ、ママはもっと家族のために頑張ろうという気持ちになれる。実際、ファミリーデイの翌日にスタッフさんから『家族の雰囲気がよくなったよ』とか言われたりしたし、僕もファミリーデイには、スタッフさんの家族とたくさんお話をしました。1回現場に行くだけで、いままで見えていなかったものが見えたりするし、ご家族にとってすてきな時間、体験になればいいなと思いました。こういうことってすごく大切だと以前から思っていたので、今回の現場で提案しました」と自身の考えで実現したことを明かした。

本作の主題歌をはじめ、劇中ドラマの楽曲も中島健人の書き下ろし [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.
本作の主題歌をはじめ、劇中ドラマの楽曲も中島健人の書き下ろし [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.

本作では主題歌「Fiction Love」、劇中ドラマの主題歌「愛してTonight」「ストロベリー」3曲の作詞作曲を手掛けている。「全部作りました!」と満面の笑みを浮かべ、「劇中ドラマ『壁ドン!床ドン!君にドーン!』の主題歌『ストロベリー』は、TBS火曜夜10時のドラマの主題歌に流れていそうなメロディーを意識しています。これはもう僕の願望が詰まっています。TBS火曜夜10時のドラマに出たことないから、自分で叶えてやろうみたいな気持ちで書いてみたら、意外とよくて(笑)。『ストロベリー』はみんなに好きになってもらえる王道メロディー。その後に作った劇中もうひとつのドラマ『執事ラブ』の主題歌、『愛してTonight』は昭和歌謡っぽい感じにしたかったんです。でも、思った以上にかっこいいサウンドになって。昭和歌謡っぽさはなくなったけれど、これはこれでいいかなと思って、フルコーラスで作り上げた自分なりの表現が詰まった楽曲です」と狙いも含めた制作エピソードを披露。

麗司ではなく、中島として歌う主題歌の「Fiction Love」は「インスパイアソングとか、キュンとする感じとか、大人っぽい楽曲とかアイデアを出すなかで、いろいろなものが突き抜けてしまって、衝撃の展開になったという感じ。映画チームには大人っぽいサウンドでクールに愛の曲を歌ってほしいという想いがあって。キーを調整しながら、メロディアスな感じにしようってことになり、試行錯誤するうちに出来上がっていった楽曲。ちなみに、振付、構成も全部僕がやっているのでお楽しみに!」とのこと。まだまだお楽しみが待ち構えているようだ。

「小さな勝負には勝てない、だから大きな勝負に勝てればいいという考えになった」

この映画における麗司は「ほぼケンティーだと思って観てもらっていい」としながらも、細かい部分に違いはあると補足する。「“側(がわ)”は似ています。でも、僕は麗司のように仕事の前日にお酒を飲むのは100%ありえません。本番はもちろん、台本読み合わせの前日も、リハーサルの前日も飲まないし、ツアー先でも絶対にお酒は飲まないです。周りが飲んでいても僕は絶対にウーロン茶です」と自身の絶対のルーティンに触れる。「麗司の姿は、僕がジュニアの頃に『芸能人ってこんな感じ』と抱いていたイメージ。サングラスかけて、バッグ持って、エンジニアブーツ履いて、いろいろなチェーンとかジャラジャラつけて」。

"360度全方位イケメン"と評される麗司は、まさに中島健人が抱く「芸能人」のイメージそのもの [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.

「中島健人の伝記と思っていいのだけれど、“著者が資料を漁り間違えて書いちゃった”みたいなセクションもあると捉えて楽しんでほしい部分もあります。絶対負けねえとか、共演者に対するメラメラみたいな想いは、僕にもちょっとはあります。でも多分、昔のほうがあったかな。いまは共演者にメラメラしたり、悔しいとか感じるターンじゃないのかなって思っています」と吐露。そういった考えに至ったのは、昨年のカウントダウンライブのおかげだと語る。「確実に僕のターニングポイントだったと思います。1個とんでもない殻が破れたというか。あのような場所でしっかり自分の力を発揮できたという経験があるから、たとえいま結果が出ていなくても、いまは嫉妬するターンじゃないんだ、みたいに考えられるようになったのだと思います。いまは僕のターンじゃないんだ。でもきっと自分の勝機は訪れるから、大きな勝負で勝てばいいって。僕、小さな勝負には勝てないんですよ。だから大きな勝負に勝てればいいという考えになりました」。

同世代の仲間俳優が演技派へと成長する姿に、強い刺激を受ける [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.
同世代の仲間俳優が演技派へと成長する姿に、強い刺激を受ける [c]Storm Labels Inc. All Rights Reserved.

「『なんか毎日すごく楽しそうだね』と言われたのがなんだかすごくうれしくて」

劇中で描かれる塩野瑛久演じる、麗司の学生時代からの友人兼俳優仲間の渕上颯真、光石研演じる先輩俳優の山村賢二ら俳優仲間との関係性も見どころだ。光石演じる山村が麗司に対して何気ない言葉をかけるシーンも登場する。中島自身には、最近もらったうれしい言葉はあるのだろうか。「(Mrs. GREEN APPLEの)大森元貴と電話している時に、『なんか毎日すごく楽しそうだね』と言われたのがなんだかすごくうれしくて。あちらはMrs. GREEN APPLE。日本の音楽シーンの頂点にいる人から、『すごく充実していそう』なんて言われるとは!って感じかな。彼は、僕が出演した二宮(和也)くん主演の映画『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌をやっていて、それくらいからの仲。共演したことは1度もないのに、めちゃくちゃ仲良くなって。この電話の時も何時間も喋っていて。『こんなに時間があるなら会えばよかった』って笑ったんだけど(笑)。愚痴も言うし、くだらない話もするけれど、何気ない言葉に胸が熱くなることもある。そんな関係性です」。

【写真を見る】中島健人を撮りおろし!Mrs. GREEN APPLEの大森元貴との“パッション”トークも披露 撮影/梁瀬玉実
【写真を見る】中島健人を撮りおろし!Mrs. GREEN APPLEの大森元貴との“パッション”トークも披露 撮影/梁瀬玉実

大森と仲良くなった理由についても語ってくれた。「この間も『ケンティーはパッションの塊だ』って言っていて。お互いにそのパッションが活かせる場所にいられるなんて最高だよね、という話をしました。僕たちはパッションだ!ってかなり盛り上がりました。多分、それが仲良くなれた要素のひとつ。『僕はパッションだけど、ケンティーはパッションロジカルじゃない?』みたいな話をしていて。僕はあまりロジカルに考えない。ロジカルより優先するのはロマン。パッションロマンだよって返して。パッションロマンとパッションロジカルのパッションナイト。そんな2人でよく会話を繰り広げています。って、結構いい話してきたインタビューなのに、バカみたいな締めになってないかな…大丈夫か(笑)」。

取材・文/タナカシノブ

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