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老人ホームで、利用者家族「水分補給に飲ませて」経口補水液の差し入れするも…施設側が慎重になったワケ

  • 2026.7.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

真夏のある日、ご家族が利用者様のために経口補水液を差し入れてくださいました。

「身体に良いものだから」との思いが込められた贈り物でしたが、持病のある利用者様には気を付けるべき点もあります。

ご家族の思いを大切にしながら、安心して召し上がっていただく方法をスタッフみんなで考えた、介護現場での出来事をご紹介します。

「身体に良いものだから」と届いた夏の差し入れ

これは、私が有料老人ホームで働いていた頃の出来事です。

夏も盛りを迎えたある日、利用者様のご家族が面会に来られました。

「水分補給に飲ませてあげてください」と経口補水液を差し入れてくださったのです。

スポーツドリンクは糖分が気になるけれど、経口補水液なら身体にも良いと思って。

そんな言葉からは、離れて暮らすご家族の「元気に過ごしてほしい」という思いが伝わってきました。

パウチタイプの経口補水液をケースでお預かりしました。利用者様も、ご家族との久しぶりの面会を嬉しそうに過ごされていました。

「身体に良いもの」でも注意が必要でした

一方で、その利用者様には持病があり、食事や内服薬で体調を管理されていました。

特に当時は血圧が高めで、毎日血圧測定を続けていました。

経口補水液は、脱水時などに役立つ飲み物ですが、一般的な飲み物と比べて塩分が多く含まれています。そのため、毎日たくさん飲むことを前提とした飲み物ではありません。

ご家族の優しさはとてもありがたいものでした。

しかし、この利用者様に毎日飲んでいただいても問題ないのかは、慎重に判断する必要がありました。

ご家族の思いも、利用者様の安全も大切にするために

その日の申し送りでは、介護士、看護師、ケアマネジャー、施設長を交えて話し合いを行いました。

検討した結果、利用者様が希望されたときにお渡しすること、1日1本までを目安にすること、そして血圧測定を続けながら、変化があれば主治医へ相談することを、スタッフ全員で共有しました。

利用者様にも理由を説明すると、「それなら安心ね」と笑顔で了承してくださいました。

経口補水液は冷蔵庫で冷やし、入浴後やレクリエーションの後など、汗をかいたタイミングでお渡しすることになりました。

利用者様が楽しみにしていたのは家族とのつながりでした

私は、経口補水液をお渡しするたびに、こう声をかけていました。

「○○さんが持ってきてくださったんですよね。」

すると利用者様は、いつも嬉しそうに笑顔を見せてくださいました。

その様子を見ているうちに、この経口補水液は単なる水分補給ではなく、ご家族とのつながりを感じられる大切な時間になっているのだと気づきました。

その後の夏の間、利用者様は大きく体調を崩すことなく過ごされました。その様子をご家族へ電話でお伝えすると、とても安心されたご様子でした。

「できません」ではなく、「どうすればできるか」を考える

ご家族が差し入れてくださった経口補水液には、「元気でいてほしい」という愛情が込められていました。

一方で、介護現場では利用者様の持病や体調を踏まえ、安全面にも配慮しなければなりません。

どちらか一方を優先するのではなく、ご家族の思いを受け止めながら、その方に合った方法を一緒に考えることも介護職の大切な役割だと感じています。

「危ないからやめましょう」と伝えるのではなく、「どうすれば安心して続けられるだろう」と考える。

その積み重ねが、利用者様の笑顔や、ご家族の安心につながるのだと改めて感じた夏の出来事でした。

※経口補水液の適切な摂取量は、持病や体調によって異なります。ご不安な場合は、必ずかかりつけ医や専門家にご相談ください。


文:しまむらけいこ/介護福祉士・Webライター 

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。二児を育てるワーキングマザー。


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