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「改札口の外が暑すぎる!」利用者から意見が…同じ駅舎でも駅員が“直接対応できない”意外な理由

  • 2026.7.18
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に体験した「トラブルの真相」のご紹介です。駅員としてトラブルに見舞われることはたくさんありましたが、夏場はストレスに加えて暑さもあり、駅員にもお客さまにも、より強烈な思い出として残りやすいように感じます。

灼熱の屋内

駅には様々な構造がありますが、完全に駅ビルなどの建物の中に入っていたり、地下にあったりする駅がうらやましいと感じるのは、職場環境が天候に左右されない点です。

私が3番目に配属された駅は線路が地上で、改札口がその上にあるというものでした。改札口のあるフロアは駅舎の3階にあり、線路をまたいで東口と西口をつなぐ通路は天井が高く、大きな窓もあって開放的なデザインです。

ところが、この大きな窓から夕方の西日が通路の中に差し込み、通路の温度を上昇させていました。きっぷ売り場から見て通路の反対側にあるコンビニエンスストアまで昼食を買いに行くだけでも、むわっとした蒸し暑さを想像し、思わず躊躇してしまうほどでした。

いつもと違う「ご意見」対応

そのような駅で働いていると、きっぷ売り場に、あるお客さまがやってきました。

「改札口の外が暑すぎる。冷房がまったく効いていない」

とのこと。どうやらきっぷの購入ではなく、私に「ご意見」があっていらしたようです。

ほかの接客業も同じかもしれませんが、私が働いていたこの会社は決して「クレーム」や「苦情」という言葉を使いません。たとえ理不尽な内容だろうと本当に会社側に正すべき点があろうと、すべて「お客さまからの貴重なご意見」と表現するのです。

言葉の定義はともかく、ご意見をいただいたからには何らかのかたちで回答しなければいけません。駅の待合室や列車内の空調であれば「申し訳ありません、すぐに調整します」「担当箇所に連絡しておきます」と答えられます。ところが、このときはそうはいかない事情がありました。

改札口の外は鉄道会社のものではない!?

実はこの駅舎は、駅が建っているまちが管理している建物で、改札口から内側だけを鉄道会社が使わせてもらっている仕組みだったのです。

暑い中ご不便をおかけしているのは事実であり、なんとかして差し上げたいものの改札口から外側はまちの所有物なので、ここでは対応のしようがありませんでした。

代わりに、先ほど話に出てきたコンビニの隣にまち運営の観光センターがあり、改札外のことについてはそちらを案内するよう言われていました。

「恐れ入りますが、改札口より外のことについては、あちらの観光案内所にご相談いただけますか?」

暗に「ここは担当するエリアが違う」と示したつもりでしたが、どうやら伝わらなかったようです。

「そもそも本当に冷房はついているのか?」
「移動式の送風機でもいいから設置してくれないと、人が倒れるぞ」

と話は続き、私が「改札口から外はまちの所有物なんです」と対応できない理由を明かしても、お客さまのご意見は止まりません。

立ちはだかる管轄の壁

2つしかないカウンターの片方がふさがり、少しずつ列が伸びていきました。この駅は駅舎こそ立派な3階建てですが、そのうち鉄道会社が持っている設備だけをみると、それほど大きな駅ではありません。3人ほど並べば、すぐに外の通路へはみ出してしまいます。

「観光センターのほうが、早く対応してもらえるかもしれませんよ」

と窓口を空けるよう誘導を試みますが、腕を組んだまま、どっしりとカウンターに寄りかかり、出ていくそぶりを見せません。

「これ以上、時間をかけて聞いても無駄だ」と判断。

「そのご意見は観光センターにお願いします。ここでは通路のことは対応できません」

お客様のおっしゃることはごもっともで、大変心苦しかったのですが、駅員としては対応する権限を持たないため、誠意を持って所管の観光センターをご案内し続けるしかありませんでした。

実は忘れ物の対応でも…

ちなみに、この駅は所有権が改札口で分かれているため、乗降人数はあまり多くないのに忘れ物の受付場所が駅と観光センターにそれぞれあります。そのため駅の改札口に「駅前で拾いました」と財布などを持ってこられても、

「すみません、改札口より外の忘れ物は観光センターにお願いします」

と案内していました。何度か会話をして

「ここで何を言っても無駄なんだな? そうなんだな?」

とようやくカウンターを空けてくださる方もいました。駅という一つの建物に見えても実は所有者が分かれており、現場だけでは解決できないこともあります。

困った際は、遠慮なく駅員にお知らせいただければと思いますが、現場で対応できない場合は案内させていただく別の管轄までお問い合わせをお願いすることも時にはあるのです。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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