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夏の夕立のたびに外壁を伝う水…築20年の一戸建てを買った30代夫婦が直面した“盲点”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「夏の夕立のたびに、2階の屋根の端から、水が滝みたいに落ちてくるんです。雨樋(あまどい)はあるのに、そこからあふれて、外壁をだーっと伝っていて。よく見ると、壁にうっすら黒い筋のような汚れもついていました。これって、放っておいて大丈夫なんでしょうか」

そう話すのは、昨年、郊外の住宅地で中古の一戸建て(築20年・4LDK・延床約100㎡/土地約120㎡、約2,900万円)を買ったMさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。家の近くには、公園の大きな木々。購入時の説明で、築20年なりの手入れは必要になると聞いてはいましたが、水が滝のように落ちる光景までは想像していませんでした。

雨樋は「外壁と土台を守る」ための設備

雨樋は、屋根に降った雨を軒先の樋で受け、集水器から竪樋(たてとい)を通して地面へ流す設備です。これがあるおかげで、雨水は外壁を伝わず、基礎まわりの地面もえぐられずにすんでいます。

その雨樋があふれる一番の原因は、詰まりです。風で運ばれた落ち葉は、雨水を含んで腐葉土のようになり、水をせき止めます。屋根から流れてきた砂ぼこりも、年月をかけて樋の底で固まります。飛んできた袋やボール、鳥の巣がふたをしてしまうこともあります。

そして夏の夕立は、短い時間に強い雨を降らせます。詰まりかけた樋では受け止めきれず、あふれが目に見える形で現れる。夏は、雨樋の不調が表に出やすい季節なのです。

放っておくと、外壁と軒裏が傷んでいく

見過ごせないのは、あふれた水の行き先です。

雨のたびに外壁を水が伝い続けると、壁は本来想定していない量の水を浴びることになります。塗装や目地(つなぎ目を埋める材料)の傷んだところから水が入り込めば、外壁の劣化や雨漏り、軒裏の腐食の一因になります。Mさんが見つけた壁の黒い筋は、水の通り道ができているサインでした。

もうひとつの盲点は、雨樋が「ふだん見ない設備」だということです。不具合は、あふれて初めて気づくことがほとんど。そして気づいたとき、「自分で登って掃除しなきゃ」と思いがちですが、2階の軒先は高さ5〜6メートルの高所です。はしごでの作業は転落の危険があり、実際、台風のあとの屋根まわりの作業では、慣れない人の転落事故が相次いだことがあります。登らないこと。これも大事な備えのひとつです。

Mさん夫婦はどう対応したのか

Mさん夫婦がまず始めたのは、「下からの観察」でした。

次の夕立の日、雷が収まってから傘をさして家のまわりをひと回り。どこからあふれているか、竪樋の下の排水口から水がきちんと出ているかを見て、スマートフォンで動画も撮りました。あふれている場所の竪樋から水がほとんど出ておらず、その上のどこかが詰まっていると見当がつきました。

地面から手の届く範囲の樋や、竪樋の下まわりの落ち葉は自分たちで取り除き、2階の樋は登らずに、屋根と雨樋の業者へ点検と掃除を依頼しました。原因は、集水器にたまった落ち葉と泥。取り除くと、あふれはぴたりと止まりました。落ち葉の原因となっている木は公園のもので、こちらでは変えられません。

そこで、木に近い側の樋には、落ち葉が入るのを防ぐ「落ち葉よけネット」という部材を付けてもらいました。細かな土などは入るため万能ではありませんが、詰まりにくさは大きく変わります。今回は足場を組まずに作業できる環境だったため、掃除からネットの取り付けまであわせて3万円ほどでした。

「それからは、夕立のあとに下から見上げるのが習慣です。雨の日の3分で、家の健康診断ができるんですね」とMさんは話します。

雨樋の点検は「雨の日に、下から」

雨樋は、屋根の雨を静かに地面へ送り届ける、縁の下の設備です。おかげで外壁も基礎も、雨の日に何倍もの水を浴びずにすんでいます。一方で、ふだん目に入らないぶん、不調はあふれて初めて表に出ます。以下を意識しておくと、傷みが大きくなる前に手を打てます。

・雨の日に下から見上げ、あふれや、竪樋から水が出ているかを確かめる
・外壁の黒い筋や苔は、水の通り道ができているサインかもしれない
・掃除や点検の頼みどきは、梅雨や台風の前と、落ち葉のあと
・高い所には登らず、2階の樋は業者へ。掃除で直らないときは、樋の傾きや変形の点検も頼む

雨樋の不調は放置するほど外壁と土台に悪影響が及ぶと知って、雨の日の3分の観察を習慣にすれば、費用を抑えて家を守れるでしょう。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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